抄録
波の散乱解析の結果を利用して, 周波数スペクトルおよび方向スペクトルを推定する方法を示し, Bretschnider-光易型周波数スペクトル, 光易型方向分布関数を有する不規則波を仮定して, 白島石油備蓄基地を対象に, 島周辺での周波数スペクトルおよび方向スペクトルを推定した.その結果, 反射側海域では島からの反射波が複雑に重なり合い, しかもその影響が相当遠くまでおよぶため, スペクトルには空間的な変動が大きく現れ, 入射波のスペクトルとは大きく異なること, 島の背後域では静穏域が相当遠くまでおよぶこと, また方向スペクトルの推定では分解能の良いスペクトルが容易に推定できることを示した.