2003 年 50 巻 p. 281-285
土石流によって発生する津波は被害規模が大きいものの発生頻度が低く, 発生・伝播機構に関する詳細な研究例は少ないために未だに実用性の高いモデル化が行われていない.本研究では, 土石流突入による津波発生・伝播の現象や機構を水理実験によって明らかにし, 一連の過程を土石流流下・津波発生・伝播の3つ段階に分けてモデル改良の検討を行った.従来の2層モデルを基礎として, 土石流流下段階では底面粗度と水平拡散項が支配的であり, その係数を同定することで良好な結果を得た.津波伝播の段階では, 二段階混合差分法を用いて波数分散性を考慮したモデルに改良した.津波発生の段階では, 混合を含めた相互作用力に課題が残っている.