抄録
河川から海域へは粗粒土砂に加え微細土砂が懸濁物質として流出し, 塩分と混合することによりフロックを形成し沿岸域に沈降する. この懸濁粒子は, 窒素, リン等の栄養塩を含有し沿岸域の生態環境に大きな影響を与えている. 本研究では, 北海道の三河川を対象とし, 水中顕微鏡を用い感潮域の懸濁粒子の凝集過程を把握すると共に, 洪水時に河川の濁粒子を採取し系統的実験及び物質特性を調査し凝集・沈降特性を考察した. その結果, 河川が同ーでも採取した洪水毎懸濁物質の凝集特性に違いがあること, 塩分濃度に対しては, 粘土鉱物, 有機物の含有量が影響していること, フロックの降速度は粒径の0.6ー0.82乗に比例することなどがわかった.