2004 年 51 巻 p. 1301-1305
2003年9月26日に発生した十勝沖地震を対象として, 地震時の漁民および漁業組合の行動, また避難した漁民への情報伝達などの実態をアンケート調査と現地調査を行うことによって明らかにしようとした. その結果, 低価格の漁船や小型漁船を保有する漁民の避難割合が低いこと, また, 漁港に駆けつけた漁民は, 漁船の様子を確認し, 自船を避難させるか否かを決定していることが明らかになった. これらの行動は個人の判断に委ねられているのが現状であり, 漁船避難を支援した漁業組合は少ない. また, 情報伝達手段として, 携帯電話を用いている漁民が多いため, 洋上で情報から孤立する可能性があり, 災害時における漁業無線の有用性を指摘した.