2004 年 51 巻 p. 1361-1365
大韓民国の馬山市では, 台風0314号の高潮によって岸壁から約700mにわたる市街地が浸水した.馬山湾の検潮所では約2.3mの高潮偏差が観測されたが, 検潮施設の一部が損傷した.そこで, この高潮の特性を明らかにするために, 馬山湾沿岸において, 浸水時の状況を住民等からヒアリングするとともに, 浸水の痕跡高や建物の損傷状況を調べた.また, Janssenによる波齢を考慮した海面抵抗係数を用いて, 馬山湾の高潮を追算した.その結果, 検潮記録, 浸水の痕跡, 数値計算による高潮偏差は概ね一致し, 馬山湾では検潮記録が示すように2mを超える高潮偏差が生じていたことが明らかになった.