2005 年 52 巻 p. 996-1000
本研究では, 漂流ブイによるラグランジュ的な水質の変化を捉えるとともに, オイラー観測も併用することにより, より正確な潮間帯と潮下帯での物質変換機構を明らかにすることを目的とする. 現地観測の結果から, 盤洲干潟潮間帯が沖合からの粒状態有機物のシンクであると同時に溶存態無機物のソースとして機能しており, 干潟直上水が沖合の一次生産に貢献していることを観測によって捉えることができた. また, 日中に冠水する場合には, 特に潮間帯の岸側部分において溶存態無機物を底生微細藻類が摂取し, このことが水質の構造や窒素循環に寄与していることが示唆された.