2006 年 53 巻 p. 1176-1180
貧酸素化が顕著な水域では, 水域環境の改善手法として底層付近に酸素を供給し, 好気的な環境を維持する方法が用いられている.その手法として, 加圧条件下で溶存酸素が飽和酸素量を超える酸素飽和度200%以上までが達成できる「高濃度酸素水発生装置」を開発し, 現地実験により装置の有効性を既に実証している.本研究では, 高濃度酸素水発生装置の実用レベルの設計方法を確立するため, 底質の有機物量, 微生物に着目した室内実験により底質改善効果を検討し, 水域の底質浄化に必要な溶存酸素DOのレベルを明らかにした.さらに, スケールの異なる規模を対象とした流動・水質数値解析により水域規模に応じた最適な放流量の設計諸元を明らかにし, 実用レベルの装置の試設計を完了した.