抄録
本研究では, 沿岸におけるヨシ原造成技術を確立するため, 潮風を直接受け淡水供給が雨水のみの人工干潟後浜部という厳しい条件下で, ヨシの移植実験を実施した.実験区は, 貯水機能を検討するために, 遮水シート区, 矢板区, 保水材区及び対照区を設け, さらに底質の違いを比べるために対照区の1/4に鹿沼土を客土した.移植は陸生及び沿岸生の地下茎を採取し, 陸上で苗に育てた後に移植した.移植1年目には高潮による海水の冠水を受けたが, 地下茎は生存していた.移植2年目の観測結果より地上出現葉茎数は遮水シート区>矢板区>保水材区>対照区の順となり, 雨水貯留対策の必要性が確認できた.また客土の有効性も確認できた.陸生の苗が沿岸生の苗より, 若干, 地上出現葉茎数が多い結果となった。