抄録
波浪推算によって波浪客観解析値を作成するために, いくつかの4次元変分法によるデータ同化手法を第三世代波浪推算モデルに導入し, その適用性を検討しながら精度の向上を図った. スペクトル境界値の同化の精度向上に関する検討では, 選点法を取り入れ, 背景誤差共分散行列を対角行列として扱えるようにすることで, 波浪の推算精度を向上できた. 地形や浅海変形の影響を考慮した場合は, ピーク時の精度が向上した. 地形解像度のみを上げた場合, 初期推定値の精度は向上したが, データ同化の効果は小さかった. スペクトル初期値同化の検討では, 解析サイクルを構築することにより, 高精度かつ簡便にデータ同化が可能になった.