2006 年 53 巻 p. 346-350
潮流の変化の激しい海域で, 比較的低い濃度でも影響を与える生態環境などの問題を扱う場合, 汚染物質を含む河川水や汚水処理水などの混合物の流動と拡散を正確にとらえることが重要になる. 本研究では, GPSを組込んだ浮標の追跡によるプリューム拡散場の観測と同時に, 流速と水温, 塩分濃度を計測することにより, ラグランジュ的計測とオイラー的計測の比較を行い, お互いの計測法の有用性と精度について調べた. 潮流の変化の小さい時間帯で放流口近傍の拡散は従来の計測で精度よく計測できるが, 潮流の変動の激しい時間帯のプリュームの挙動を正確にとらえるには, 浮標を用いた軌跡のラグランジュ的追跡が有用であることが分かった.