抄録
静岡県大井川港から焼津に至る駿河海岸はわが国有数の侵食海岸として知られ, その対策として従来型の異型ブロック離岸堤に加えてわが国初の有脚式離岸堤が設置され, 大井川港西側海浜の土砂によるサンドバイパスを合わせた事業が継続的に実施されている. これら複合的な海岸保全対策の長期的な効果について検証した結果, 有脚式離岸堤およびサンドバイパスの組み合わせによって長期的な海浜の安定性が得られること, 並びに, その方法によって海浜安定性に変化が生ずることが認められた. あわせて, 今後この海岸を管理していくための, 総合土砂管理システムとしての方向性を示す重要な知見が得られた.