抄録
紀淡海峡周辺海域において2年間にわたり実施した水質観測結果と, 2005年夏季に実施した断面フラックスの調査結果を基に, 流動と水質の変動特性を明らかにするとともに, 紀淡海峡を通じての物質輸送に及ぼす黒潮離接岸の影響について解析を行った. その結果, 黒潮離岸時と接岸時では流動・水質の断面構造に明瞭な相違が認められ, 海峡断面を通じての栄養塩の輸送に大きな影響を及ぼしていることがわかった. 特に黒潮離岸時には硝酸態窒素とリン酸態リンが底層で高濃度を示すことがわかった. しかし, 海峡部の水質は黒潮離接岸の影響を上回るほどの大きな季節変動を有し, 特に溶存態の窒素・リンは冬期に高濃度を示すことも明らかとなった.