主催: 情報システム学会
会議名: 情報システム学会 第14回全国大会・研究発表大会
開催地: 神奈川県
開催日: 2018/12/01 -
p. S2-B2-
本論文では,火災が発生した建物内からの避難の際に,在館者(被災者)を特定の経路に集中させることなく分散さ せることによって,全体的な避難効率と安全性を向上させる誘導経路の探索手法を提案する.本手法では,建物内には 2 種類のセンサが多数設置されていることを前提としている.一つは,人流センサであり,これによって在館者分布情 報が常時収集される.もう一つは,熱感知センサや煙感知センサなど,災害の発生とその位置,範囲,規模等の災害状 況を取得するセンサである.これらセンサによって取得された情報は,クラウドサーバへ定期的に転送される.この前 提は,火災の発生とその状況,ならびに,その直前までの,ある程度の在館者分布が把握できることを意味している. クラウドサーバでは,発災直後にセンサ情報(在館者分布と災害状況)に基づき,単純化した避難シミュレーションを 短時間で実施し,避難経路上の避難者の混雑状況を推定する.そのもとで,在館者全員が避難するために要する時間の 平均を最小化する経路の探索を最適化問題としてとらえ,メタヒューリスティクスによる求解を図る.その解に基づ き,館内各所で,そこにいる避難者にとって適切と推定される避難経路を通知する.今回は,特にホテルや大学の研究 室のような間取りを持つ建物を対象に,火災発生から短時間で避難経路を求め,各室へ通知することを想定したシミュ レーション実験を行い,その条件下における各メタヒューリスティック手法の効果を確認した.