抄録
1969(昭和44)年から始まった情報処理技術者試験制度は,情報処理人材の育成に大きく貢献してきた.この50年近い歴史の中で最後に大きな改革があったのは2009(平成21)年である.その改革においてIT人材の裾野を広げる目的で新設したITパスポート試験であるが,その狙いが達成されているとは言い難い.それはなぜか? 検定なり,レベル判定なりの仕組みは,具体的な目標提示という点で,社会にとって不可欠な制度である.ITパスポート試験の経緯と現状を踏まえ,IT,情報処理,情報システムなどの分野における人材育成の仕組みを考える.