抄録
食品工場の製造ラインにあるシールの溶着過程では,正常に溶着ができていない不良品が出現する.この不良品を自動識別する食品包装管理システムが開発されている.
ところで,大量の正常な教師データだけを学習させ,通常とは異なるパターンを検出させる異常検知手法がある.異常検知手法の1つであるPatchCore では,製品異常画像データセットMVTec ADに対して高い認識精度を得ている.私たちは PatchCoreを用いて,シール溶着過程で生じる不良品を完全に検出できることを示した.しかし,検出速度が約0.1秒/枚であり,食品工場の製造ラインとして利用するには,速度向上が求められる.
そこで,本研究では,PatchCoreを用いた不良品検出において,残す特徴量の割合,画像サイズの変更特徴量抽出方法などを変更させるこどで,高い検出精度を維持しつつ検出速度を向上させる手法を検証した.その結果,画像サイズを112pxに縮小し,特徴抽出モデルをより浅いネットワークであるResNet18に変更することで検出精度の著しい低下なしに検出速度が約0.01秒/枚まで向上することがわかった.特徴量の削減は速度改善の観点において一定の閾値まで効果的であり,それを超えると大きな変化がなかった.今後は,工場の生産工程で生じる,他の不良品の検出に本方法が有効であるか検証を行う予定である.