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篠田 豊
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1-
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
日本の卵の消費量は世界4位で1人当たり年間320個消費しているが,その内,80%の卵殻(年間25万トン)が廃棄物として生まれている。
我々は,企業から提供して頂いた廃卵殻を用いた多孔体の研究開発を行ってきた。当該企業ではうずら卵の水煮缶などを製造し,一日約100万個,年間約3億個のうずら卵を加工している。うずら卵殻の廃棄量が約1.5トン/日,鶏卵殻の廃棄量が約1トン/日に及び,これらの廃棄処理に膨大な予算を投じている。そこで,我々は廃棄卵殻を付加価値の高い多孔体として再利用し強アルカリ水を得ることに成功した。
当初,高温焼成による気孔率の低下(比表面積の減少)と酸化カルシウムの生成による,強アルカリ溶液化の阻害を懸念したが,酸化カルシウムからの水酸化カルシウムの生成で,強アルカリ側に推移することが判明した。また,高温焼成による気孔率低下が多孔体強度を向上させた。鶏卵,うずら卵の双方において同様の傾向が認められた。
このようにして作製した多孔体の応用として
1. 強アルカリ温泉への利用
2. 酸性雨により弱った土壌の中和改質
等を提案している。
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大島 多美子
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2-
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
グリーン・デジタル産業の発展においては,製品の高機能化,小型・軽量化,省エネルギー化,さらには環境負荷低減の実現が求められています。これらを支える重要部品の製造には,レアメタルやレアアースなどの希少資源が不可欠です。これらの材料は,カーボンニュートラルの達成に向けて今後さらに需要の拡大が見込まれていますが,日本ではその多くを海外からの輸入に依存しており,供給源が特定の国に偏在していることから,安定供給の確保に向けた政策的対応が進められています。同時に,Society 5.0 の実現に向けては,新素材や材料技術の革新によって製品や社会の在り方そのものを変革するマテリアル・イノベーションが不可欠です。さらに,AI やビッグデータの進展により,研究開発の期間短縮や低コスト化が世界的に加速しており,各国間での技術開発競争が起こっています。こうした状況の中で,日本が生産性向上と新たな価値創出を実現することは,国際的な競争力の強化につながります。
本講演では,材料の安定供給とマテリアル・イノベーションの両面に貢献が期待できる技術として,プラズマプロセスを用いた機能性材料の創製に関する研究紹介を行います。
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泉屋 琉奈, 遠田 明広, 徐 嘉楽, 宍戸 道明
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3-4
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
視覚障碍者が衛生的かつ安全に情報を取得するためには,接触を必要としない新しい点字提示手法の開発が求められる。従来の点字デバイスは機械的可動部による故障リスクや設置制約が課題であったが,流体噴射を用いることで,これらの問題を解決できる可能性がある。本研究では,ビルジポンプを用いた流体噴射型点字デバイスを試作し,各噴射口の入力・出力水圧特性を解析した。ひずみゲージ式圧力変換器およびベルヌーイの定理を用いて,6つの噴射口における入力水圧と出力水圧を測定した結果,入力水圧は下段噴射口で高く,上段では低い傾向が認められた。一方,出力水圧は逆に上段が高く,下段が低い結果となった。さらに,ノンパラメトリック検定により,入出力水圧いずれも噴射口間で有意差が確認され(p‹.05),またWelchのt検定においても,上下段間で有意差が認められた(p‹.001)。これらの結果は,入力水圧には流路配置や局所損失,出力水圧には噴射口設置高さ差が主因となることを示唆する。本知見は,今後,圧力分布の均一化や配管設計の最適化を通じ,視覚障碍者の点字判読精度向上と装置実用化の加速に寄与すると期待される。
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堀田 源治, 宗澤 良臣, 桐山 聡, 石川 洋平, 堀田 孝之, 坂本 英俊
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5-6
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
作業集団の行動測定を工学的方法により測定して、事前にグループの危険性や安全性を知るとことにより適時適所の人材配置により業務の効率化と安全の確保を図る。
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中村 翔太, 西原 篤樹, 廣重 凌, 大内 幹雄, シャーミン タンジナ, 武下 俊宏, 折居 英章, 三角 真, 高村 紀充, 吉田 亨 ...
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7-8
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
病原性レプトスピラ(Leptospira interrogans )は、ワイル病などのレプトスピラ症(leptospirosis)を引き起こす。菌の種類によりその凝集体には特徴があるので、医学的に菌の種類を判別するために、菌の凝集体写真を利用したシミュレーションが有効である可能性がある。本研究では、画像関連に関して広く利用されている言語であるProcessingを用いて、拡散律速凝集モデルにより、菌体の種類による凝集形態のモデル化について、菌体の接触判定条件並びに、菌のサイズ、形状をパラメータとして検討した。
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白井 達也, 森 荘太, 鈴木 龍之介
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9-10
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
複数のモーターで一つの出力軸を駆動するマルチモーター駆動方式のパワーユニット(以下,MMPU : Multi-Motor Power Unit)を開発している.特に,不思議遊星歯車機構を応用した減速機を内蔵したことで,非常にシンプルな構造を実現している点が最大の特徴である.さらに,二種類のモーターを組み合わせている点も特徴の一つである.本報告では,各モーターに印可する電圧と実際に流れる電流を計測可能なモーター電流電圧計測システムを開発し,以前よりも正確なモーター特性の測定を行った結果を報告する.
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武井 永久, 篠田 豊, 梶山 直栄
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11-12
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
Mullite (Al₄+2xSi₂-2xO₁₀-x) is a ceramic material with excellent heat resistance and mechanical properties, but its performance can be further enhanced by controlling its crystal orientation. In this study, we focus on the electric field during spark plasma sintering (SPS). Mullite powder (Al₂O₃:SiO₂ = 2:1) was sintered under two conditions: 1400°C (vacuum, 50 MPa) and 1850°C (N₂, 1 MPa, held for 5 min.) X-ray diffraction (XRD) results show that the (001) peak intensity is significantly increased for samples exposed to electric fields, suggesting that dipole The dipole interaction and the local electric field promoted the crystal orientation. These results emphasize the possibility of electric field-assisted orientation of mullite, and future research will focus on optimizing sintering conditions that promote orientation and suppress secondary phases.
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白井 光, 澤木 雄作, 景山 陽一
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13-14
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年,世界的に脱炭素化の取り組みが加速しており,2021年のCOP26終了時点で,154か国と1地域が2050年までのカーボンニュートラル達成を表明している。日本でも2020年に同様の目標を掲げ,「J-クレジット制度」を通じて再生可能エネルギーの利用や森林によるCO₂吸収量をクレジット化し,カーボンニュートラルの達成に活用している。特に,森林由来のJ-クレジット認証には,間伐や再造林などの適切な森林施業が必要とされる。
従来の森林モニタリングは地上調査や航空写真に依存していたが,コストや作業負担の観点から広域的・持続的な管理には限界がある。このため,ドローン(UAV)を用いたリモートセンシング技術が注目されている。UAVは高解像度画像を柔軟に取得できることから,3次元データを活用した森林情報の把握に有効である。これまで,衛星画像やUAV画像と地上調査を組み合わせたCO₂吸収量の推定が行われているが,現地調査や高価なLiDARセンサの導入が課題となっている。
本研究では,低コストかつ高効率な森林モニタリング手法として,UAVから取得した画像をStructure from Motion(SfM)解析と画像処理を組み合わせて処理し,樹高や樹冠といったCO₂吸収量推定に必要な森林パラメータの推定手法について検討を行った。
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菊地 亮太, 白井 光, 石沢 千佳子, 末廣 健二, 高橋 伸明, 斉藤 洋樹, 小林 拓也, 佐竹 久美, 佐藤 直子, 景山 陽一
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15-16
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
高齢者の認知機能を維持・向上させることは、健康寿命を延ばすために不可欠である。 そのような中、近年、認知能力を高める可能性があるとして注目されているのがエレクトロニックスポーツ(eスポーツ)である。 eスポーツ中に発生する感情を定量的に検出することで、参加者の楽しさを客観的に評価することが可能となり、こうした活動の有効性を評価する一助となる。 本研究では、ゲームプレイ中の感情発生区間を推定し、誘発された感情をポジティブ感情とネガティブ感情の2種類に分類する手法を検討した。 その結果、提案手法で用いる顔の頬領域における彩度の時系列変化が、感情分類の重要な指標となる可能性を見出した。
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山下 茜音, 景山 陽一, 横山 洋之
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17-18
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究は、秋田市における除排雪車両の出動判断を支援するシステムの構築を目的とし、過去の稼働実績や気象データなどに基づいて、1時間ごとの除雪ドーザの稼動台数を予測する2段階モデルを提案する。提案手法は、以下の流れで構成される。まず、稼働の有無を2値分類する。データの不均衡に対応するため、GOLIATHを用いてオーバーサンプリングを行う。その後、SHAP値に基づき寄与率の高い特徴量を選択し、回帰器により稼働台数を予測する。さらに、予測結果に対してスプライン回帰による後補正を実施する。その結果、提案手法は分類器でF1-score=0.94、回帰器でMAE=1.13、R² = 0.54の精度を示した。
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鈴木 健太, 伊藤 悠大, 伊藤 慎一, 渡部 剣, 景山 陽一
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19-20
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
顧客行動の分析には従来、視覚的観察やアンケート調査が用いられてきたが、これらの手法は労力が大きく、被験者の行動に影響を及ぼす可能性がある。本研究では監視カメラ映像と画像解析を組み合わせ、商品棚前での「歩行」「立ち止まり」「商品手に取り」「その他の棚前行動」の4種類の行動を階層的に分類するシステムを提案する。人物追跡にはByteTrackを用い、行動認識では骨格特徴点や時系列座標変化、速度・方向などの動的特徴量を活用した。実験結果から、高精度な棚前行動分類が実現でき、マーケティング施策や棚配置最適化への応用が期待される。
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渡部 洸矢, 石沢 千佳子, 伊藤 悠大, 景山 陽一
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21-22
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究では、リアルタイムタスクにおける視線ベース入力中のユーザー意思決定タイミングを推定する手法を提案する。従来の多くの手法は、まばたきや長時間の注視といった特定の動作に依存しており、これらは操作性や使いやすさを低下させる要因となっていた。本研究では、視線運動の時間的な変化に着目し、長短期記憶(LSTM)ニューラルネットワークを用いて意思決定の瞬間を検出する方法を検討した。数値キーパッドを用いたパスワード入力タスクの実験を実施し、収集した視線データから特徴量を抽出して学習および検証を行った。その結果、視線情報の連続的な変化から意思決定のタイミングを効果的に推定できることを確認した。以上より、LSTMネットワークによって解析された視線の時間的特徴量は、明示的なユーザー動作に依存せず、より直感的でシームレスなリアルタイム操作システムを実現する上で有効であることが示された。
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竹本 修, 野崎 佑典, 吉川 雅弥
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23-24
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
産業用IoT(IIoT)デバイスに対する模造品の脅威に対して,デバイスから一意の指紋を生成する物理的複製不可能関数(Physically Unclonable Function: PUF)が提案されている。PUFは国際標準化を経て多様な応用が進められており,近年では暗号回路と組み合わせて効率的に実装するSuperSonic-GPUFが報告されている。しかし,この手法は,性能指標の一部が実用性能を満たしておらず,スマートファクトリーのように多数のデバイスから構成される環境では利用できない。そこで本研究では,認証性能を改善するPUF付き暗号回路を提案する。さらに,機械学習手法に対する安全性を評価する。評価実験の結果,提案手法は認証性能を改善し,機械学習攻撃の高い耐性を有することを明らかにした。
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加藤 萌々子, 竹本 修, 野崎 佑典, 吉川 雅弥
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25-26
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年,監視カメラは商業施設や工場のみでなく,街のあらゆる場所で見かけるようになった。しかし,一般的な監視カメラでは異変が起きた後にカメラ映像を確認することが多く,長時間の映像を見返す必要がある。この問題を解決するため,監視カメラにAIによる画像解析技術を用いるシステムが普及し始めている。これらのシステムの多くが,AIによって監視カメラに映った物体を検出・識別して,その結果を専用のソフトや電子メールで担当者に通知するようになっている。一方で,社内外での情報共有やコミュニケーションの手段として,電子メールよりもビジネス用チャットツールの利用が増えている。そこで,本研究では不審者・不審物を検出・識別した結果をビジネスチャットに自動通知するシステムを開発する。提案手法により,リアルタイムに不審者・不審物情報を適切な人・グループで共有することができ,適切な対応を迅速に行うことができる。
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東條 巧弥, 熊谷 瞭, 竹本 修, 野崎 佑典, 吉川 雅弥
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27-28
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年、深層学習による人工知能を活用したシステムがさまざまな分野で活躍している。深層学習には多くのデータが必要であるため、他者と協力してデータ収集することも考えられる。しかし、人工知能を協調的に開発し、安全に活用する上で、以下の3つの課題が存在する。第1の課題は、プライバシー保護の観点から生じる「データ集約の困難性」である。第2に、各クライアント間で画像への正解ラベル付与の精度や基準が異なり、学習に悪影響を及ぼす「ラベル付けの品質管理」の課題がある。そして第3の課題が、モデルの誤認識を誘発する攻撃、「敵対的サンプル(AE)への脆弱性」である。これらの課題はモデル開発における深刻な障壁であるため、筆者らは、これまで連合学習にVirtual Adversarial Training (VAT)を統合した新しいセキュアな学習プラットフォームの設計・開発を行い、このプラットフォームを提案してきた。本研究では、このプラットフォームで開発したモデルの敵対的頑健性を定量的に評価する。評価実験により、本手法が大きな性能低下を伴うことなく、これらすべての課題を解決できる可能性を明らかにした。
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大喜多 和真, 竹本 修, 野崎 佑典, 吉川 雅弥
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29-30
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
日本の各省庁では、公益通報制度(いわゆる内部告発)の整備や活用が積極的に推進されている。これに伴い、産業界においても同様の仕組みを導入する必要性が高まっている。公益通報者に対する不利益な取り扱いは禁止されている一方、現在も報復等を目的に懲戒処分となるケースが多発している。このような背景から通報者の身元を守るため、匿名での通報が可能なシステムが求められている。しかしその設計や構築には専門知識と多大なコストが伴い、企業や組織に大きな負担を強いる。本研究は、RSA ベースのリング署名技術を活用し、利用者が匿名性を確保しつつ簡便に公益通報できるアプリケーションを開発する。また評価実験から、提案アプリケーションの有効性と実現可能性を実証した。
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片貝 直登, 東條 巧弥, 竹本 修, 野崎 佑典, 吉川 雅弥
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31-32
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年,深層学習を用いた画像認識モデルの高精度化が進み,医療・監視・自動運転など幅広い分野での応用が進んでいる。その一方で,敵対的攻撃と呼ばれる,入力画像にわずかな摂動を加えることで誤分類を誘発させる攻撃が深刻な問題となっている。特にFast Gradient Sign Method(FGSM)は,わずかな処理時間で悪性な画像を生成できるため,非常に脅威である。これに対し,入力画像に対して画像加工処理を適用する,前処理ベースの防御手法が広く検討されてきたが,その有効性は攻撃の強度やモデル構造に依存し,実験環境によって結果が異なることが知られている。さらに,画像分類の分野において代表的な高精度モデルであるVison Transformerに対しては,FGSMに関する評価が不十分である。そこで本研究では,Vision Transformerに対するFGSMの防御手法を提案し,評価実験によってその有効性を実証した。
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的場 凜将, 藤川 真樹
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33-34
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
The authors have proposed a child monitoring system capable of estimating four risk conditions during a child’s outing—lingering in dangerous locations, deviating from designated school zones, abduction by vehicle, and immobility in arbitrary places—and notifying the guardian’s device of such conditions. The novelty of the proposed system lies in its foundation on the Crime Opportunity Theory and its ability to quantify the degree of danger at any given location. This enables more flexible condition assessment compared to conventional system. In an experiment conducted using a prototype within an actual school district, the simulated child device successfully inferred all four risk conditions and transmitted the corresponding notifications to the simulated guardian device.
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森山 鈴太郎, 芹川 聖一, 中島 優介, 戸木田 三郎, 谷口 愛莉
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35-36
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大は依然として収束しておらず、日本では2025年第1週に新たに約9万5千人の感染者が報告されている。感染経路の一つである接触感染を防止する手段として、物理的な接触を避けることが重要視されており、ユーザーが直接触れることなく操作できる非接触型タッチパネルの需要が高まっている。本研究では、先行研究で開発された単眼カメラを用いた非接触型タッチパネルにおけるジェスチャー認識の改良を目的とした。本システムは、ユーザーが離れた位置から操作可能であり、利き手の人差し指と右目を検出してモニター上に操作点を表示し、反対の手によるジェスチャーで操作を行うことができる。実験の結果、操作点の誤差は最大で36mmであったが、この程度の誤差であれば、指先をわずかに動かすことで目標位置に簡単に移動できた。また、ジェスチャーの動的認識においては94%の精度で識別が可能であった。操作精度をさらに高めるためには、表示画面を拡大することで対応可能である。以上の結果から、本研究で開発した非接触タッチパネルは、ジェスチャー認識のバリエーションが増加し、ユーザーにとって直感的かつ高精度な操作が可能であることが示された。これにより、離れた場所からでも快適に操作できる非接触型インタフェースとしての有用性が確認された。
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中島 優介, 芹川 聖一, 森山 鈴太郎, 戸木田 三郎, 谷口 愛莉
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37-38
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
従来のウェアラブルカメラを用いた自動検出・通知システムは、機械学習により物体検出を行うため、メーカーや品番などの対応機種に制約がなく、低コストで実装が容易な実用的なシステムとなっている。その一方で、状態の検出が可能な家庭内事象がテレビ・エアコン・ドアノブの鍵・窓の鍵の4事象と小数であるため、日常生活で使用するには、不十分なシステムとなっている。そこで本研究では、先行研究と同様に、メガネ型のウェアラブルカメラを常時装着していることを想定して、視点の映像を解析することで、新たに照明とガスコンロの電源状態を検出対象とする。また、開発したシステムの検出可能な角度や精度検証を行うことで、提案システムの有用性を示した。
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谷口 愛莉, 芹川 聖一, 北園 優希, 白石 桃香, 戸木田 三郎, 中島 優介, 森山 鈴太郎
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39-40
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
動物由来感染症は約200種類あると言われている。しかし、近年ペットを飼う人が増えており、そのような状況下で予防対策は非常に重要である。そこで、私たちは排泄物からの感染に注目した。排泄物からの感染は、排泄物に触れたり、排泄物を長期間放置したりすることで起こる。そこで、画像処理によって自動でペットの排泄を確認するとペットシーツを廃棄し,新たなペットシーツを設置する全自動ペットシーツ交換システムを開発した。この装置を利用すると飼い主が不在でも排泄物をすぐに処理できるため,動物由来感染症に感染する確率を大きく下げることができる。しかし、本装置では排泄物をすぐに処理してしまうため、排泄物の状態を飼い主が確認することができない。排泄物の状態は、ペットの健康状態を管理するうえで、観察するべき重要な要素である。そこで、本研究では、機械学習を用いてペットの排泄物の状態を推測し、飼い主にメールで排泄物の状態のテキストメッセージと画像を通達するシステムを開発した。
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邵 広生, 永田 寅臣, 渡辺 桂吾, Habib Maki K.
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41-42
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
欠陥検出用のCNNモデルを訓練する場合にまず必要となるのが学習用の画像データの収集である。訓練時に設定しなければならないパラメータとしては,①最大エポック数,②ミニバッチサイズ,③学習率,④汎化性を得るための訓練に用いる画像の枚数などがある。研究室で開発中のMATLABアプリケーションでは様々なタイプの欠陥検出モデルを訓練する際,これら四つを含むパラメータの調整が可能になっているものの,現状ではオペレータが勘を頼りに試行錯誤的にこのようなパラメータを決めており,手間のかかる作業となっている。本研究では,インタラクティブGAを用いてそのようなパラメータの自動調整を試み,設計者が望ましいCNNモデルを構築していく上で,指針となる条件を提案できるシステムの構築を目指す。インタラクティブGAにより,ユーザとのインタラクションを通して,目標とするCNNモデルの構築が可能となる。
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合志 和洋, 中村 恵輔
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43-44
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究では,白杖を持った視覚障害者が周囲の状況・存在を把握することを容易にすることを目的とする.そのためにRFIDとスマーフォンを使用した,位置情報などを必要とする歩行者に提供するサインポストシステムを提案する.
本稿では,このシステムで使用されているRFIDの特性を明らかにする.次に,検出されたIDに基づいて,スマートフォンにインストールされたLINEアプリケーションで情報を表示できることを示す.そして,実施した検証実験の結果からサインポストシステムが有用であることを示す.
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葉山 清輝, 入江 博樹, 岡崎 祥明, 尾﨑 彰則
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45-46
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
We developed and prototyped an autonomous underwater vehicle (AUV) designed to stir and aerate residual matter on the seafloor in benthic aquaculture operations. A receiver was mounted on a surface float, enabling remote control via an R/C system. Field tests confirmed that the float successfully tracked the AUV’s movements, allowing stable and flexible navigation at a constant depth.
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尾﨑 彰則, 入江 博樹, 葉山 清輝, 岡﨑 祥明, 岡安 崇史
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47-48
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
This study presents a practical approach for monitoring pond bottom conditions in kuruma shrimp (Marsupenaeus japonicus) aquaculture by combining an autonomous boat, an underwater camera, and deep learning-based image classification. Underwater videos were collected during autonomous navigation in a shrimp pond located in Amakusa, Japan. From the videos, 128×128 pixel image patches were manually extracted and labeled into four categories based on visual features: (1) gravel, (2) residual feed pellets, (3) white fungal-like matter, and (4) sludge-like sediment. A convolutional neural network (CNN) was developed and trained using these labeled patches. The trained model was then applied to classify pond bottom conditions by segmenting video frames into non-overlapping 128×128 patches and assigning class labels to each. The resulting spatial distribution maps revealed that residual feed tended to accumulate in low-flow regions, while sludge-like sediment was often found behind aerators. These spatial patterns indicated localized organic matter accumulation and environmental degradation, providing useful information for pond management. The proposed approach offers a low-cost and efficient tool for visualizing bottom conditions and supporting decision-making in aquaculture operations.
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加藤 博久, 永田 寅臣
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49-50
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究はPhi-3 Visionのような軽量マルチモーダルモデルを用い、ファインチューニングなしで金網画像の欠陥検知を試みた。特に、Chain-of-Thought (CoT)に類似した構造化プロンプトを導入することで、分類指示のみのベースラインプロンプトと比較して、欠陥検知の正解率が約69.5%から約87.6%に有意に向上することが確認された。これにより、プロンプト設計がモデルの識別性能を改善することが示唆された。
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宮古 菜々, 石沢 千佳子, 景山 陽一
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51-52
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年、コンピュータプログラムによるCAPTCHAの突破が可能となりつつあり、新たな方式の開発が求められている。本研究では、人間特有の知覚特性であるカテゴリカル色知覚に着目し、それを利用したText CAPTCHAに使用可能な文字色を検討した。具体的には、赤と認識される色の範囲に基づいて文字色を設定した。目視評価実験を実施し、色分けされた文字列に対する人間の認識成功率を評価した。その結果、本研究で用いたHSV表色系における明度40以上の文字色は、認識成功率が80%以上であり、多くの提示画像で100%を達成した。また、入力する文字数を指定することで、認識成功率と回答時間の両方が向上することを示した。
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大石 稜, 白井 光, 景山 陽一, 川村 茂, 佐々木 一音, 小川 啓太, 中川原 聡
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53-54
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
非鉄金属精錬所では、貴金属を回収するために廃電子基板がリサイクルされている。現在、このリサイクル工程では、作業員が目視により過去に取り扱った基板画像と比較し類似性を判断することで、基板の適切な処理方法を選定している。本研究では、この視覚的判断に基づく画像選別および類似度判定の工程を、機械学習および画像処理技術により自動化する手法を提案する。はじめに、構造が明瞭な画像を自動的に抽出し、次に独自で設計した特徴量に基づき、類似度を定量的に評価することで、処理の一貫性および客観性の向上を図る。特徴量抽出から類似度評価までの全工程に機械学習を適用する手法との比較評価を実施すした結果、提案手法がより高い類似度判定精度および優れた汎化性能を有することが認められた。
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伊藤 悠大, 石沢 千佳子, 景山 陽一
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55-56
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
文章が読みづらい場合,その内容を理解するために作業が滞る場合がある.特に,オンライン授業等では,学生の授業資料に対する困惑が授業に取り残される要因となる一方で,教員側がその状況を把握することは難しい.このため,視線や顔表情の変化から読者の困惑を自動的に検出し,補足情報を提示したり,教員側に通知したりする技術が必要であると考える.本研究グループではこれまでに,視線と顔表情の時系列データを用いて難読状態の有無を推定するモデルを提案した(1).しかしながら,難読状態の推定精度を検証したものの,実際の読みづらい対象である文節等の検出精度を評価するまでには至っていない.そこで本研究では,難読状態の推定精度において高い値を示した2つのモデルを応用し,文節単位で読みづらい箇所(難読文節)を検出した場合の精度を評価した.
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金野 将也, 景山 陽一, 上田 祐司, 菅原 剛史, 小山内 英世
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57-58
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
金属セラミック基板は,高電圧・高電流の電力変換を行うパワーデバイスの部品として使用されている.金属セラミック基板は,製造工程で傷やシミなどの欠陥が少量発生することがある.そのため,基板の外観から欠陥の有無を判断する必要があり,目視や機械による検査が行われている.しかしながら,目視検査は作業員への負担やコストがかかる.一方,機械による検査は,基板上に存在する結晶粒界が欠陥に類似していることや,基板撮影時の照明条件ごとに画像情報が変化することに起因し,高精度の判別が困難である.本研究では,画像処理および機械学習を用いて,傷およびシミの検出を可能にするアルゴリズムの開発を目的とする.本稿では薄いシミの検出について検討を行った.検出手法では,はじめに前処理としてマスク処理とコントラスト強調を行った.次に,二値化処理を用いて欠陥領域を抽出した.最後に,抽出した画素数を参照することで,画像上の薄いシミの有無を判別した.実験の結果,薄いシミの基板と良品基板の判別精度は99.4%を達成した.これは,提案手法が薄いシミの検出に有用であることを示唆している.
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雲 河晨, 鈴木 翔, 景山 陽一, 石沢 千佳子, 加藤 伸彦, 五十嵐 健, 川本 健
p.
59-60
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年,少子高齢化に伴い,日本の建設現場における作業員の高齢化と人手不足などが喫緊の課題になっており,作業の効率化やヒューマンエラーの低減,遠隔監視などの改善・対策が求められている。一方,画像処理および深層学習に関する技術の進展に伴い,動画から人物の骨格情報を推定する手法が注目を集めている。この手法は,リアルタイムで遠隔から作業状況や作業者の身体状態を把握できるため,作業安全管理や異常検出に活用されている。しかしながら,実際に監視する場合,特に建設現場では,カメラから人物までの距離が遠くなることに起因し,低解像度の動画が使用される場合も多く,既存の姿勢推定モデルでは人物を十分に検出できない,あるいは骨格推定が失敗するなどの課題が挙げられる。
本研究では,遠距離および低解像度環境下における姿勢推定の検出失敗・精度低下を解決するために,超解像解析と人物姿勢推定を組み合わせた多段階処理を用いて,リアルタイムで遠距離の目標人物における骨格情報を推定可能なモニタリング手法を提案する。
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味戸 滉英, 高橋 智
p.
61-62
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究では,従来のロバスト設計手法であるタグチメソッドおよび中沢メソッドの理論的枠組みに着目しつつ,これらの限界を克服するための新たなアプローチとして,モンテカルロ確率論的最適化法(MOST)をロバスト設計に応用し,その有効性を検証した。このMOSTを,タグチメソッドに基づく電子回路設計問題へ応用し,S/N比と平均性能に基づく2段階の設計戦略と整合性を持つ結果が得られることを示した。さらに,出力とコストに対する誤差を統合したトータル誤差最小化という多目的視点からのロバスト設計問題にMOSTを適用し,ノイズ条件下においても高い性能安定性が維持されることを確認した。これにより,MOSTは,離散・連続・多目的最適化のいずれにも柔軟に適用可能な設計手法として,ロバスト設計の実用的展開を後押しするものであると位置づけられる。
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林 洸輝, 一田 啓介
p.
63-64
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
Underactuated manipulators are defined by having some passive joints. Usually, general manipulators have more than an actuator in joint. Therefore, underactuated manipulators need to use more complex control than general manipulators. However, reducing the number of actuators brings some advantages such as light weighting, energy saving and cost reduction. For these reasons, underactuated manipulators are expected to be active in the space field where there is no influence of gravity. In this paper, we try to perform verification of partial stabilizing controllers for planar two-DOF underactuated manipulators. Here, we design this real-time control system with sBOXⅡ using MATLAB/Simulink. The effectiveness of this proposal method is illustrated with some experiments. In future work, we consider a switching system using partial stabilizing controllers.
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西田 圭吾, 一田 啓介
p.
65-66
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
Underactuated manipulators consist of some passive joints which equipped with nor actuators or holding brakes. Because the number of actuators is less than the number of degrees of freedom, they are expected to reduce the weight, compactness, energy consumption, and cost of the controlled object. However, they require the control of many generalized coordinates with limited inputs. Therefore, this system has complex structural properties. In this paper, we implement a fuzzy inference system in MATLAB/Simulink and simulate of a planar three-link underactuated manipulator using the fuzzy energy region switching method. Also, we aim to optimize the gain parameters of the partial stabilization controller and the design parameters related to the energy region. The effectiveness of this method is demonstrated with some simulations.
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田中 泰斗
p.
67-68
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
Damping materials are essential for achieving precise and stable motion in high-speed robotics. In this study, a magnesium-based composite reinforced with 10 vol% of silicone powder (KMP-602) was developed to improve viscoelastic damping performance. The loss tangent (tanδ), an index representing the ratio of loss stiffness to storage stiffness, was measured using the nanoDMA function of a nanoindenter.
The results revealed that tanδ exhibited frequency-dependent behavior. In particular, tanδ showed relatively higher values in the 60–80 Hz range, indicating enhanced energy dissipation within this frequency band. However, the measurements also showed notable variation at the same frequency, with differences reaching up to three to four times across different test points.
Several factors likely contributed to this variability. These include incomplete mirror polishing of the sintered specimen surfaces, non-uniform dispersion of KMP-602 particles, and a mismatch between the nanoindenter’s shallow indentation depth (~1 μm) and the relatively large powder sizes used (180 μm for Mg, 30 μm for KMP-602). As a result, the local microstructure had a significant effect on the measurements.
Future work will focus on either employing evaluation methods better suited for heterogeneous microstructures or developing composite materials with finer, more uniform structures. These improvements are expected to reduce data variation and lead to a more accurate understanding of the composite’s damping properties.
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高橋 智, 味戸 滉英
p.
69-70
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究では、グリーン水素生産システムの最適化を目的に,評価システムを構築し,沖縄のデータを用いて検証した。年間を通じて一定量のグリーン水素を製造することを前提に,太陽光・風力発電の最適設備容量と液体水素タンクの最小容量を同時に導出するための最適化を行った。最適化には、モンテカルロ確率論的最適化法(MOST)を用いた。本手法は地域固有の出力変動特性に依存せず,他の地域においても実測データを用いた柔軟な適用が可能である。
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戸木田 三郎, 中島 優介, 森山 鈴太郎, 谷口 愛莉, 芹川 聖一
p.
71-72
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年、認知症高齢者の増加に伴い、徘徊行動の頻度も増加しています。徘徊に伴うさまざまなリスクの中でも、溺水は特に危険性が高く、リアルタイムでの検知が困難です。本研究では、徘徊傾向のある高齢者の安全確保と介護者の支援を目的として、溺水事故を未然に防ぐためのシステムを提案します。本システムは、防水性を備えたペンダント型デバイスにマイコンと無線通信モジュールを搭載し、着用者が水に入ったことを検知すると、即座にモバイル機器を通じて介護者に通知を行います。これにより、緊急時に迅速な対応が可能となります。さらに、本システムは水中などで通信が途絶した場合でも、自動的に再接続を行う機能を備えており、信頼性の向上を図っています。本研究を通じて、高齢者の安全性向上と介護者の負担軽減に貢献することを目指します。
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森山 鈴太郎, 芹川 聖一, 中島 優介
p.
73-74
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年、建物内の電力消費の中で照明が占める割合は依然として高く、持続可能な社会の実現に向けて照明の省エネルギー化が求められている。本研究では、人間の視覚が周囲の明るさに応じて順応する特性(目の順応)に着目し、この性質を照明制御に応用することで、視環境の快適性を損なうことなく照明の消費電力を低減する手法を提案する。具体的には、周囲照度や視対象の明暗変化に応じて照度を段階的に調整するアルゴリズムを設計し、実験環境下での被験者評価と消費電力の計測により効果を検証した。その結果、従来の一定照度方式に比べて、視認性を保ちながら約20〜30%の電力削減が可能であることを確認した。本研究は、人間中心の照明制御による新たな省エネルギー手法としての可能性を示すものである。
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中島 優介, 森山 鈴太郎, 戸木田 三郎, 谷口 愛莉, 芹川 聖一
p.
75-76
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
従来の音声翻訳システムでは、ユーザの発話をリアルタイムに翻訳・音声出力することが可能である一方、翻訳音声の出力中は新たな音声入力を受け付けられないという制約が存在する。このため、ユーザは出力が終了するまで次の発話を待たなければならず、自然な対話を妨げる要因となっている。そこで本研究では、のどの振動を感知するマイクを用いることで、ユーザ自身の声と外部の音声出力を高精度に識別し、翻訳システムにおける非同期な音声入力を可能とする手法を提案する。本システムにより、ユーザは翻訳出力を待つことなく、任意のタイミングで次の発話を行うことができ、よりスムーズでインタラクティブな音声翻訳環境の実現が期待される。
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石田 祐也, 山田 麻祐子, 野坂 敦史, 佐熊 範和, 小野澤 明良, 村井 まどか, 天谷 賢児
p.
77-78
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
製品化された腐食過程の可視化装置の実用性の向上を目標に、複数試験体を並行して試験することは可能か、2試験体間の相互影響を実験により検証した。その結果、試験体の種類によって影響度には差があり、例えば鋼板と並行して試験をするとZDCの腐食進行に影響を及ぼした。ただし、試験体間の距離を開くことでその影響は抑えられることがわかった。
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岡部 忠
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79-80
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究では、画像を入力すると画像の内容を解析して、解析結果を出力する生成AIを使うことで、さまざまな用途に対応できる汎用AI監視カメラの開発に向けて、火災検知や火の元の監視という用途だけの試作と判定精度の評価を行った。構築したシステムと得られた性能などについて本稿で報告する。
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三浦 由佳, 中西 正一, 中村 弘史, 梶木 幹雄
p.
81-82
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
通常,レベル出しにかかる時間は,複数人による手作業で60分以上要しており,作業工程のボトルネックになっている。本研究では,デジタル精密水準器と電動ジャッキを連動させ,自動で装置のレベル出しを可能にする「精密加工機用全自動レベル出し調整システム」を開発し製品化した。本製品は,「誰でも」「一人作業で」「3分以内」でレベル出しを完了することができる。本製品はすでに社会実装されているため,その実例を紹介する。
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福田 純, 森本 雅和
p.
83-84
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究では、H形鋼鋳造工程における実際の操業データを用い、機械学習による不良品発生の予測を試みた。協力企業であるヤマトスチール株式会社より提供された構造化データには、数値・順序・カテゴリ型を含む206次元の量質混合データと、不良有無のラベルが含まれている。本研究では、ランダムフォレストおよびLightGBMを用い、不均衡データへの対策としてアンダーサンプリング、SMOTE、クラス重み付けなどを比較した。実験の結果、数値・順序データのみを特徴量とし、LightGBMを用いてクラスの重みを調整した条件下で、F-Scoreが0.492と最良の予測精度を示した。今後は、時系列や画像といった他モダリティの情報を統合したマルチモーダル学習の導入により、更なる精度向上と不良発生メカニズムの解明を目指す。
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高橋 朗人, 趙 旭, 村岡 幹夫
p.
85-86
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
デスクワークや工程内の製品組み立てなど,日々の作業のあらゆる場面で頭を前に倒した姿勢(うつむき姿勢)になることがある。このとき約5 kg の重量の頭を支える首には負荷が集中する。工程の作業現場では頭部の安全確保のためにヘルメットを着用し,溶接作業のときにはヘルメットに溶接面を追加で取り付けて使用することもあり,重量増分が大きい場合では1 kg 程度になる。本研究では,ヘルメットに組み付けることで装着者の作業を妨げることなく首にかかる負荷を軽減する装具を試作し,装着者の後頚筋の筋電による定量的評価と使用感のアンケートによる定性的評価を行った。それぞれの結果から,うつむき姿勢で首にかかる負荷を軽減できることを確認し,一方で,ヘルメットが拘束されることによる不快感を今後の設計開発における課題として見出した。
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小山 瑞貴, 山本 真, 仲林 裕司, 山田 悟
p.
87-88
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
本研究は、モーショントラッキング技術を用い、従来の静止画像認識が持つ計算コストや環境要因への脆弱性といった課題の解決を目的とする。MediaPipeで抽出した手の関節座標をデータセットとし、MLPおよびGNNで学習させた際の時間を静止画像の場合と比較した。結果、関節座標をデータセットとして用いることで学習時間は大幅に短縮され、特に関節座標とGNNの組み合わせが最も高速であった。このことから、モーショントラッキングデータと、その構造的特徴を反映できるGNNは、指文字認識の学習効率を高める上で非常に有効な組み合わせであると結論付けられる。
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山口 真央, 岡本 征晃, 仲林 裕司
p.
89-90
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
電気電子分野における実験実習の学習支援を目的として,生成AIを活用した教材ソフトウェアを試作した。生成AIを活用した場合は,従来のプログラミング言語の基本的な理解を含めた試作手法と比較して,教材開発時間を約1/15まで短縮し,生成AIが教材開発の時短のために有用な手段の一つであることが明らかとなった。
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鄭 哲霖, 永田 寅臣, 渡辺 桂吾
p.
91-92
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
Variational Autoencoder (VAE)は入力画像から潜在変数を抽出し,新たな情報を生成することができ,特徴抽出や画像拡張に広く利用されている。近年,様々なVAEモデルが開発され,ネット上に公開されているものもある。本研究ではこのようなVAEの設計と訓練を支援するための機能をMATLABアプリケーション内に実装し,KLD (Kullback-Leibler Divergence)損失とMSE (Mean Squared Error)損失を効率的に減少させていく訓練方法を提案したので報告する。
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彭 裕基, 鄭 哲霖, 永田 寅臣, 渡辺 桂吾
p.
93-94
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
近年,製造業においては不良品のもととなる欠陥の検出に深層学習モデルを応用した例が数多く見受けられ,新たな手法も提案され続けている。最近では,発生した不良品の欠陥について,これまで蓄積されてきた過去の不良品の画像データの中に類似した欠陥がなかったのかを迅速にチェックできるシステムについてのニーズも見受けられる。これは,メーカーにおいて長年にわたり生産されている製品の場合など,熟練した観察技術を持つ品質検査の担当者の退職などの理由により,経験の浅い担当者に変更となることを余儀なくされるケースがあり,このような場合には今回発生した欠陥がこれまでにない新たな種類のものであるのかを判断することが容易ではないためである。
農業分野においても葉などに現れる視覚的な異常から早期に病気を発見し,対処したいといったニーズがある。本研究では,このようなニーズに対応するためにカルバック・ライブラー情報量(Kullback-Leibler Divergence:KLD),コサイン距離,及びL2ノルムに基づく学習レス型データセットモデルによる欠陥検出法を提案し,テスト画像の分類実験により有効性を検証する。
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坂田 真吾, 下釜 颯斗, 永田 寅臣, 藤沢 清志, 渡辺 桂吾
p.
95-96
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
これまでに開発してきた繊維状ワークの不良品の仕分けロボットに対する新たな付加機能として,キャッピングタスクの自動化について検討した。ここでのキャッピングタスクとは,樹脂製の繊維状ワーク本体を樹脂製のキャップに「カチッ」と節度よく装着する作業である。従来,ロボットがグリッパで把持した製品本体をキャッに取り付けようとする際には,高さ方向の繊細な位置決め制御や,ロボット座標系とワーク座標系のキャリブレーションが必要となるだけでなく,押し込み負荷により治具にたわみが発生することもあり,一定量の押し込み動作だけでは安定的な自動化を実現できていなかった。そこで製品がキャップに収まる際の「カチッ」という装着音に注目し,装着音の検知によってロボットの押し込み動作を停止させることで安定的かつ連続的にキャッピングタスクを行えるようにシステムを検討したので報告する。
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西田 尚生, 今村 耀太, 永田 寅臣, 渡辺 桂吾
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97-98
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
会議録・要旨集
オープンアクセス
データサイエンス教育における学生のニューラルネットワーク関連の応用的実務能力の向上と,欠陥検出や異常検知のためのAIモデルの実装技術を必要とする企業支援のための基本ツールとして活用するために,これまでMathWorksから紹介されているMATLAB上で作成可能な様々なニューラルネットワークモデルを簡易操作で統合的に設計,訓練,評価できるアプリケーションを開発してきた。本稿では,自動運転システム,製造工程の自動化ライン,医療診断システムに加えて,社会生活の場面でも移動ロボットなどへの応用が期待されているリアルタイムオブジェクト検出用のYOLOモデルと,インスタンスセグメンテーション用のSOLO,Mask R-CNNモデルも設計体験できるように機能を拡張したので報告する。
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