抄録
本報告では, 既設地下構造物の免震対策の一つとして, 地表面からトンネルの両側に柔らかい免震層を鉛直壁状に設置することを提案し, 免震層の設置深度, トンネルからの離隔距離, および免震層の厚さが地震時増分断面力に及ぼす影響について, 2次元FEMモデルによる地震応答解析と応答変位法解析により検討した。その結果, トンネルの耐震性に大きく影響する地震時増分曲げモーメントとせん断力は, 免震層をできるだけトンネル側壁に近づけてトンネル下面深さの2倍以上の深さまで設置すると効果的であることが分かった。今回の条件では, トンネルの側壁から1.0mの位置に地表面から20mの深さまで, 厚さ10cmの免震層を設けた場合は6-7割に, 厚さ30cmの免震層を設けた場合は4-5割に減少した。