2004年の新潟県中越地震では4000箇所以上の斜面崩壊が発生した. 国土交通省がまとめた新潟県中越地震情報集約マップにより斜面崩壊箇所とその規模に与える要因の分析を試みた. 崩壊のタイプを7つに分類し, 震央距離, 地震の入射エネルギー, 斜面勾配, 崩壊の方向, 地層構造や地質年代に着目して検討した. また,道路,河川,池への影響についても分析した.
これらの分析より, この地震で大規模な崩壊を起こしているのは, 主に流れ盤滑りであることがわかった. さらに, 地震の入射エネルギーと斜面の崩壊が密接に関係していることが明らかとなった. また,今回判別した斜面崩壊のうち,約20%の崩壊では道路,河川, 池のいずれかに被害を与えていることがわかった.