2007 年 29 巻 p. 123-131
本論文では, 常時微動H/Vスペクトル比と近傍の地震動観測記録のみを用いて地震動を推定する方法の定式化を示し, 2地点間距離が3~6kmと短い宮崎県内のK-NET観測点とFDMA (消防庁) 観測点の地震動記録と常時微動観測記録を用いて地震動推定法の推定精度を検証した. その結果, 宮崎県内の8観測点のうち, 延岡, 北川の2つの観測点を除くと, 周期0.06秒から2秒の範囲での推定地震動スペクトル振幅は, 実地震動スペクトル振幅の0.4~4倍の範囲であることを示した. 地盤の卓越周期近傍では, 誤差は約半分になり0.5~2倍の範囲であることを示した. 推定精度の悪い2つの観測点においては, 地震動の上下動成分の違いの影響が大きいことを示した.