抄録
次回の南海地震の発生確率は, 50年以内に約80%と予測されている. 南海地震のような海洋型の巨大地震では津波による被害を伴う事が特徴的である. 津波から人命を守るためには, 住民の防災意識を高め, 全員参加の定期的な避難訓練により, 問題点を事前に抽出し適切な対策を実施する必要がある. しかし, 現実には全住民参加の避難訓練を行うことは容易ではない. 以上のようなことより, 本研究では, 自主防災組織で活用可能な津波避難シミュレーションシステムの開発を目的として, 各住民の歩行速度ならびに家屋倒壊による道路閉塞等を考慮した津波避難シミュレーションシステムをペトリネットを用いて構築し, 徳島県阿南市の一部の津波被災リスクの高い地区に適用して, その有用性を確認した.