2000 年 28 巻 p. 453-458
本研究は東アジアにおける急激な工業化に伴う資源・エネルギー消費による社会経済的影響を環境面に拡張された産業連関分析により評価し, 持続可能な産業構造転換への提言を行うことを主目的としている。まず中国の地域傾斜的な経済施策と地域環境問題について述べ, 次いで経済開放区を下流に抱える長江流域及び珠江流域を対象地域として, 地域間産業連関分析の手法を用いて地域産業間の財・サービスの移動に伴う環境負荷 (NOx) の誘溌構造を明確にする。最後に環境効率改善型施策導入による効果を線形計画モデルにより評価する.その結果, 長江流域では流域内での産業連携を推し進める必要性が示唆されたのに対し, 珠江流域では外部依存型の産業構造からの脱却の必要性が示された。