抄録
本研究では, 紙リサイクル原料古紙の地域間物流が輸送量及び輸送エネルギー消費に及ぼす影響を分析した. まず, 古紙統計年報等から求めた都道府県間の古紙発生・購入量に対し, 線形計画法を用いて現状の古紙パルプ生産能力を制約として, 総輸送トンキロを最小とする地域間発生・購入量を推計し, 現状と比較して約4億トンキロの輸送量及び現状の輸送機関分担率で2, 053百万MJの輸送エネルギーが削減される結果を得た. また古紙回収が進み地域間移出入量が増大した場合でもエネルギー輸送原単位は削減する傾向と推計された. さらに, 各地域での古紙受入能力を2倍に拡大した場合には, 輸送エネルギーは約7割に削減し, 北海道, 東北に広域の, その他の地域には自地域内中心の移出入が形成される結果となった.