抄録
環境管理施設の健全な機能を維持するにはその更新が必要である. その際, 異なった主体がそれぞれ所有するいくつかの施設をまとめて同時に更新することで, 各主体の維持管理の費用を削減できる可能性がある. しかし, 個々の主体が選好する更新のタイミングが一致する保証はない. 本研究では, 動的協力ゲーム理論を援用して, 複数の施設をまとめて同時に更新することで節減できる費用を主体に適切に配分するとともに, 効率的に総期待割引費用を削減するためのメカニズムを構築する. その上で, 費用配分ゲームの特徴が更新費用の節約額の関数によって特徴づけられることを示す. さらに, 費用配分手法に要請される公理を明らかにするとともに, それらを満たす手法としてシャープレイ値が有効であることを示す.