2005 年 33 巻 p. 477-485
黄河流域は, 近年の急速な経済成長の結果, 慢性的な水不足にある. こうした条件下に置かれた流域の水資源管理のためには, 流域を構成する各地域・各セクター (農業, 工業, 生活) の水資源需要の変化を把握しつつ流域全体の需給バランスをいかに達成するか, 地域間・セクター問の公平性を考慮しつつ各地域・各セクターにどのように水を配分するのが物理的・経済的に効率的かといった問題を分析する必要がある. このため, 上流から下流へと配置された県市を基礎単位として, 地域ごとの水資源需給バランスを空間的ダイヤグラムとして表示することにより, 流域全体の水資源需給を把握分析する手法を提示する. また, これを用いて, 断流現象が観測された1997年とそれが観測されなかった2000年について, 流域全体の水資源需給の空間構造を分析する.