筑後川は, 流域内外に各種用水を供給している九州最大の河川である. 近年, 筑後大堰湛水域の内部生産や海面上昇に伴う筑後川感潮域における塩分の上昇傾向が指摘されつつあるが, 十分な機構解明には至っていないようである. 本論文は, 筑後川下流域に位置する筑後大堰湛水域, 筑後川感潮域における水質特性について考察したものである. 筑後大堰湛水域では, 取水に伴う滞留時間の長期化が夏期の高水温期と相侯って藻類増殖の一因となっていることが確認された. 筑後川感潮域の塩分変化が有明海の海面上昇と利水形態の変更の影響を受けていること, さらには感潮域停滞部における藻類増殖の可能性を指摘した. この感潮域の藻類増殖を有限容積モデルを用いた水質モデルにより確認した.