近年, 都市域において, 下水処理水等に付加的処理を施した再生水を都市の自己水源として利用することが注目されている. このような再生水の利用のためには, 用途に基づいてリスクや許容性を検討することが必要である. 本研究では河川水における水質分布を「物差し」として, 再生水の相対的な水質評価を行うこととした. まず全国から選定した36河川の化学的, 生物学的な水質分析を行い, 河川水質分布を非超過率として把握した. 河川の選定には流域面積を指標として, 選定河川の指標値が偏らないように留意した. 次いで, 二次処理水に高度処理や土壌浸透処理を行った後の再生水の水質を調査や実験で把握し, 河川水質分布と比較した. この結果, 例えば河川水の非超過率90%以上に相当した二次処理水のエストロゲン様活性が, オゾン処理や土壌浸透処理によって40%程度にまで改善されるなど, 窒素を除く多くの水質項目は代表的な河川水質なみに改善されることが確認できた.