2006 年 43 巻 p. 509-516
沖縄本島南部に位置する島尻地区で下水再生水による畑地灌漑が計画されている。再生水中のNH4+を主とする高濃度窒素分の土壌中における窒素動態解明を目的に連続系・間欠系の2種類の灌漑方式で、現地土壌を用いたカラム試験を行った。その結果、カラム間隙水・流出水中NH4+は硝化や土壌吸着により濃度が低下した。一方NO3-は特に連続系カラムの下層部にて濃度低下が確認され、脱窒の進行が推察された。また、動態解明のための指標として窒素安定同位体比 (δ15N値) の測定も平行して行った。その結果、特に流出水にて脱窒による同位体分別と推察されるδ15N値の大幅な上昇が確認された。さらに表層土壌ではδ15N値の低下が見られ、複雑な土壌カラムでの窒素動態解明へのδ15N値測定の有効性が示唆された。