環境工学研究論文集
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人用抗生物質の活性汚泥への吸着特性
八十島 誠原田 新小森 行也鈴木 穣
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2006 年 43 巻 p. 95-104

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抄録

近年, 下水処理水を通して水環境に存在する医薬品が注目されはじめている. 本研究では, 特に人用の抗生物質 (レボフロキサシン: LVFX、クラリスロマイシン: CAM、アジスロマイシン: AZM) を対象とし, 下水処理場における除去メカニズムの一要因と考えられている活性汚泥への吸着に注目して, その特性を評価した. 回分式吸着実験結果をFreundlichモデルで解析したところ, CAMとAZMのl/nはほぼ一致し, LVFXのl/nはこれらより高い値を示した. この傾向は, 単成分系・3成分混合系に共通した. また, 単位平衡濃度あたりのそれぞれの比吸着量の大きさはLVFX>AZM>CAMであり, この順に水相から除去されやすいと考えられた. 不活化させた活性汚泥を用いた回分式吸着実験では, 平衡濃度が最大で10倍程度増加し, 吸着能力が低下した. この要因としては, 微生物の生体内への取り込みが阻害された可能性が考えられた.

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© 社団法人 土木学会
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