2007 年 44 巻 p. 625-632
16SrDNAをターゲットとしたランダムクローニング法により, 生ごみを対象とした, ラボスケールおよび実施設の高温メタン発酵槽における微生物群集解析を経日的に試みた. ラボスケール反応器から最も多く検出されたのは, Bacillus infernus, Uncultured bacterium clone g3Cl, およびUncultured bacterium clone MBA08などに近縁な種であった. メタン発酵槽の運転で特に問題となるプロピオン酸蓄積と, Bacillus infernusに近縁な種の占有率の増減傾向が類似していることが示された. 実施設反応器においては, 種汚泥として下水汚泥発酵槽からの汚泥を投入しており, 運転開始時に検出されたCoprothermobacter spp. に近縁な種などは, 運転開始後数ヶ月でほとんど検出されないようになり, 次第に人工生ごみを対象としたラボスケール反応器と同様の菌相へと変化した. 処理状況を反映する重要な微生物群が示され, 今後, 現場での運転管理に役立つ情報となるものと考えられる.