2007 年 44 巻 p. 613-623
土壌マイクロコズムに自己伝達性または可動性プラスミドを保持する細菌を導入し, 土着微生物群の構造と物質循環機能の遷移を解析した. 外来菌の導入によって、土着微生物群の構造が一時的に変化することが認められたが, その攪乱は外来菌数の減少によって緩和された. また, 自己伝達性プラスミドを導入した場合は, 外来菌から土着微生物への接合伝達によってtransconjugantが検出されたが, その数は外来菌数と共に減少し, 土着微生物群の構造と機能への明確な影響は認められなかった. これらの結果から, 外来菌及びtransconjugantが定着しない条件下では, 外来菌の導入が土着微生物群に及ぼす影響 (バイオリスク) は、長期的に持続するものではないと考えられた.