2008 年 45 巻 p. 389-398
2つのUASB槽と接触酸化槽から構成した新規の都市下水処理システムにおいて, システムの窒素除去を担う, 第2UASB槽内の脱窒素細菌の群集構造解析を行った. 集積培養とPCR-DGGE法を組み合わせた解析において硫黄脱窒素細菌ではThiobacillus denitrificansが, 従属栄養的脱窒素細菌はAcidovorax avenaeがそれぞれ存在していることが判明した. また, 系内には硫酸塩還元細菌が共存しており, 第2UASB槽内で硫細黄菌の酸化還元サイクルが発生していた. DAPI染色細胞に対する水素資化性硫酸塩還元細菌, 硫黄脱窒素と従属栄養的脱窒素細菌の割合の比は, 2.6%: 2.8%: 6.6%であった. 第2UASB槽のCODcr, 硫黄および窒素に関する物質収支から推定したエレクトロンフローでは, 全窒素除去の82%を硫黄脱窒素細菌が, 18%を従属栄養的脱窒素細菌が担っていた.