2008 年 16 巻 p. 137-144
低炭素社会を実現するためには都市交通部門でもCO2排出削減目標を設定し, これを達成するための新しい制度を導入していくことが必要である.本研究ではこうした社会的技術の一つとしてボーモル・オーツ税を取り上げ, その導入の影響を評価する新たな都市モデルを開発する. そして, このモデルを名古屋都市圏に適用し, 通勤交通からのCO2排出量を削減するために必要な都市空間マネージメントについて分析が行われる. 分析の結果, 現在の従業者分布を前提にしてCO2排出量を10%削減するためには, 1) 自動車交通に依存した郊外部に多くの費用負担を求める必要があること, 2) 公共交通のサービス水準の高い都心部の居住者数を増加させる必要があること, 3) これに伴い都心部では宅地価格が上昇し, そこで働く世帯への影響が大きいこと等が明らかにされる.