朝鮮咸鏡北道古乾原古第三紀夾炭層産化石フジバシデ屬の苞の1種をEngelhardtia koreanicaと命名せり。從來知られたる本屬の化石及び現生種の分布は興味あるものなり, 即ち本屬の化石として知られたる15種の大部分は南歐め第三紀層より産し, 僅かに4種が北米の古第三紀層に産出するのみ。然るに現生種15種の分布を見るに, 唯だ1種中部亞米利加に存在するのみにして他は皆東亞に産し, 東南亞細亞の颱風帶に生育す。故に今囘東亞より本屬の化石の1種が産出せる事は古生植物地理學上に重要なる材料を提供せるものと云ふ可し。