日本古生物学會報告・紀事
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32. 現棲及び化石Tubiporaに就いて
矢部 長克杉山 敏郎
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1937 年 1937 巻 6 号 p. 33-38_2

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抄録

本邦沿岸及び南洋諸島産現棲標本及び琉球群島の琉球石灰岩産出化石標本合せて約50個に就いて調査した結果Tubipora musica LINNÉ及びTubipora purpurea LAMARCKを區別することが必要となつた。前者は珊瑚管が細く, 密集し且棚板が數多く密集し, 尚その個々が廣く發達するのを特性とし, 後者は反對に管太く, 相互の距離遠く, 棚板が不充分に且つまばらに發達してゐる。尚前者の1型として管の切斷面が八角形を呈するものがある。これをTubipora musica forma sulcataと稱することにした。何れも熱帯亜熱帯の淺海に繁殖するもので, 後種は前種よりも遙に北方まで其分布區域を延ばしてゐる。即ち小笠原父島までも分布してゐる。
在來印度-太平洋より7種が區別されたが實際は上掲の2種に合せることが出來よう。HICKSONは全部同一種に包含すべきものだらうと言ふて居たが, 化石を取扱ふ者にはmusicapurpureaの2種を區別することが必要の様である。
Tubiporaの化石は在來甚だ記録に乏しい。FELIXがチモールの鮮新層からT. purpurea (=rubiola QUOY et GAIMARD) を報告したことがある。本邦では琉球群島所々の琉球石灰岩からT. Purpureaが發見された。著者等が今迄でT.musicaの名で載録したものが即ちそれである。

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