日本古生物学會報告・紀事
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100. 陸前國七北田地方に於けるGlycymeris matumori nsisの産出状態に就いて
畑井 小虎中村 萬次郎
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1940 年 1940 巻 17 号 p. 15-18_1

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抄録

仙臺北方七北田地方に發達せる中新統中Glycymerisの帯をなして廣く分布せる礫岩あり。之は筆者等のGlycymeris帯と呼ぶものなり。
該帯中最も多く産する化石はGlycymeris matumoriensis NOMURA and HATAIにして, その形大型にして, 恰も圓形をなし, 厚き殻を有す。
地層中に含まるゝ状態はnormalなり。即ちconvex sideを上方に向けるもの多く, convex sideを下方に向けるもの前者に比し少し。概して地層の傾斜面に封し平行或は少しく斜に位置す。
他の介化石も同様摩滅を受けたるもの, 或は破片となりたるもの甚だ稀にして, 総じて堅牢なるもの多し。
礫岩中の礫は多くの場合大きさの一様なるもの配列し, 其の間に頗る大なるもの挿入することあるも極めて少し。固結物は砂にして, 二次的變化により生じたる石灰物質を以て凝固し, 場所により凝灰質なる部分もあり。
中新統中Glycymeris帯と名付けられたるもの殆んどなく, 鮮新統又は更新統にては時々觀らるゝものあり。介殻の厚さ, 大いさ, 量及層位上より判斷するに該帯は恐らく淺海に於て形成せられしものと思惟す。

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