日本古生物学會報告・紀事 新編
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金沢兼六固に於けるヤシ化石
小倉 謙
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1952 年 1952 巻 8 号 p. 223-230_1

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抄録

金沢の兼六固内タ顔亭の庭先に「竹根石」とLて知られる化石があり, かつて海外から運ばれたものと伝えられているがその史実は詳かでない。幹の基部は根で蔽われ, 上部つは二次的に出来たと思われる大きな孔があつて竹に似た点があるが, 節がなく, 幹と根との組織が極めてよく保存せられ, その構造からヤシ類の1種たることが明かである。幹では維管束が散在し, それに大きな識維鞘を伴い, その横断面は心藏形をなし, 基本組織には著るしい細胞間隙を具え, 細い繊維条を変える。根では皮層に放射状の間隙があり, 中心柱は常型を示す。これを従来知られたヤシ類と比較して未知の種であるのでPolmoxylon Maedoeと名附ける。種名は藩主前田家に藏じたものである。

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