1994 年 1994 巻 175 号 p. 521-552
イースタン・デザート地域のスエズ湾からナイル川を横断する道路(EL Sheikh Fadl road)沿いには, 石灰岩, 泥灰岩, 頁岩・砂岩からなる古第三系の地層群(Esna, Thebes, Maghagha, Qarara, El Fashn層)が露出している。これらの地層は浮遊性有孔虫化石を多産し, これらの化石をもとにPlanorotalites pseudomenardii, Acarinina aspensis, Globigerinatheka subconglobata, Morozovella lehneri, Truncorotaloides rohriの5つの化石帯に区分することができる。これらの化石帯はP4帯(後期暁新世), P9-10帯(後期暁新世から最後期前期始新世), P11帯下部(前期中期始新世), P11帯上部(前期中期始新世), P12-14帯(後期中期始新世)にそれぞれ対比できるものと考えられる。したがって, Esna層は後期暁新世, Thebes層は後期暁新世から前期始新世の地質時代を示す。Maghagha層とQarara層は, 両者とも中期始新世で, 同時異相関係にあることが明らかとなった。