日本古生物学會報告・紀事 新編
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975. 埼玉県葛袋の中新統都幾川層群産の束柱目歯化石
島田 賢舟犬塚 則久
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1994 年 1994 巻 175 号 p. 553-577

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抄録

埼玉県東松山市葛袋に分布する中新統都幾川層群下部の神戸礫岩部層から産出した束柱目の単離歯15点を詳細に記載した。これらにはPaleoparadoxiaとDesmostylusの両属が含まれる。このうち12点はPaleoparadoxia属で, さらにそのうち5点がP.tabataiに同定できる。歯種は上顎の犬歯, 第1, 第2, 第3大臼歯, 下顎の第3小臼歯と第3大臼歯が同定できた。Desmostylus属は臼歯の咬柱片から同定した。葛袋標本はPaleoparadoxiaとDesmostylusが同じ産地の同一層準から産した点に意義がある。しかし, これらが二次化石である可能性も否定できない。同じ産地からは鰭脚類, 鯨類といった海生哺乳類や各種のサメ化石を産し, 束柱目の古生態を復元するうえで重要である。

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