抄録
単結晶シリコンは,IC基板として重要な半導体材料であると同時に,暗視野集光装置用赤外線レンズの母材としても多用されている.超精密・マイクロ加工のさらなる高精度化・高品質化を図るために,シリコンの微視的な機械的特性および変形・破壊のメカニズムを究明することがますます重要になっている.前報では,バーコビッチ型ダイヤモンド圧子を用いて異なる荷重条件で単結晶シリコンのナノインデンテーション試験を行い,押し込みによって生じた脆性破壊および相変態の形態について検討した.本報では,さらに高倍率透過電子顕微鏡を用いて押し込み領域を原子レベルで観察し,相変態や転位の発生形態について詳細に調べた。