抄録
フッ素エラストマーは、耐熱性や耐油性に優れ、Oリングなどのシール材として利用されている。色や材質、充填材などが異なるフッ素エラストマーを一体成形することができれば、高機能でかつ高付加価値を有する新しいシール材が得られるものと考えられている。しかし、フッ素エラストマーは、極めて接合し難く、界面形状のコントロールが難しい材料であるために、多層成形するためには、高度な成形温度制御技術が必要となる。本報告では、著者らがこれまでに開発した圧縮成形用誘導加熱・冷却金型を応用した、上型と下型の温度が独立して制御できるフッ素エラストマー多層圧縮成形用誘導加熱・冷却金型を設計・製作し、本金型を用いて、多層成形品における薄肉層の形成について検討を行った。その結果、本金型を用いた二段階成形により、平坦で直線状の良好な界面形状が得られること、また、最小0.2mmまでの薄肉層を有した多層成形品が成形できることを明らかにした。