2020 年 27 巻 1 号 p. 23-30
【目的】地域在住中高齢女性の尿失禁の実態と脊柱・骨盤アライメントとの関連について調査を行い、尿失禁の予防・改善に向けた骨盤底筋体操と姿勢に関する指導を実施し、その効果について検証を行うことであった。【方法】対象は地域在住女性29名であった。尿失禁症状・QOL質問評価票ICIQ-SFへの回答および排尿日誌への記録による尿失禁の実態調査と、自在曲線定規による立位時脊柱弯曲およびデジタル水平器による骨盤前後傾角度の測定を行った。姿勢やエクササイズの指導を実施し約4か月経過後、再度調査を行った。【結果】介入後、尿失禁症状は多くの対象者で軽減したが、有意な変化は認められなかった。また介入後、腰椎アライメントの有意な変化が認められた。介入前後で尿失禁症状とアライメントとの有意な相関は認められなかった。【結論】尿失禁症状や骨盤底機能に関する認識や理解には個人差があり、より個別的な指導の必要性が示された。