理学療法 - 臨床・研究・教育
Online ISSN : 1880-8948
Print ISSN : 1880-893X
最新号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
講 座
  • 木戸 聡史
    2018 年 25 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    呼吸筋トレーニングは呼吸筋力・持久力の向上,運動時の呼吸筋動態の変化とそれに関連した四肢骨格筋動態の変化,換気機能の改善,呼吸困難感の改善などにより運動耐容能の改善をもたらす可能性がある。呼吸筋に外部負荷をかけるトレーニングのモダリティは大きく分けると吸気筋トレーニング,呼気筋トレーニングがあり目的に合わせて使用する必要があるが身体運動との組み合わせて同時に行う方法は注目されていなかった。運動時呼吸負荷トレーニングでは吸気と呼気の負荷量を分離して設定することができ,呼吸負荷と身体運動を同時に組み合わせて実施できる。これまでの研究報告では健常人においては呼吸筋機能と運動耐容能が従来のトレーニング方法より改善効果が高いことが報告されており,今後疾患を持つ方の運動療法手段としても有用性が明らかになる可能性がある。
  • 加藤 研太郎
    2018 年 25 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    理学療法士の養成過程における臨床実習の果たす役割は大きい。当初より継続して行われているが,指定規則により実習時間は減少を続けている。また,理学療法士を取り巻く社会環境や,学生の状況は様々に変化している。環境や対象が変化すれば,それに合わせて臨床実習も変化すべきである。しかし,現状はその変化に対応したものとはなっていないように感じる。養成当初の臨床実習の方法がそのまま継続されている。また,学習科学として知識や技術などの効果的な指導方法が研究されている。昨今,理学療法においてもEBMが推進されている。しかし,指導に関しての根拠があるにも関わらず,十分活用されているとは思えない状況である。本稿では学習科学の視点を踏まえた上で,これからの時代に適した臨床実習のあり方を提案したい。
研究論文
  • 鈴木 陽介, 世良田 拓也, 森 大志, 鈴木 薫, 仁賀 定雄, 小笠原 一生, 中田 研
    2018 年 25 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    本研究は,上肢のバランス反応がジャンプ着地動作時の動的バランスに与える影響を探索することを目的とした。健常成人12名を対象とし,前方または側方へ20 cmの高さから片脚ドロップジャンプ着地テストを行わせ,同側の脚で着地した時の床反力を床反力計により計測した。上肢は1)胸の前で組ませる(以下,RES),2)上肢制限なし(以下,CON)の2 条件とした。CON条件では,矢状方向の足圧中心(Center of Pressure:以下,COP)ピーク速度の時刻が利き脚のみ有意に早くなった(前方;p=0.034,側方;p=0.032)。着地直後には床反力とCOPの制御が予測的に行われており,上肢は矢状面におけるCOPの制御に寄与していることが明らかとなった。上肢の制御が利き脚では特に有効に作用することから,上肢と下肢の協調性の改善により動的バランス能力を向上させる可能性があることが示唆された。
  • 小平 寛岳, 国分 貴徳, 瀧谷 春奈, 藤嶋 弾, 平田 恵介, 名字 名前, 塙 大樹, 小林 章, 金村 尚彦
    2018 年 25 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】歩行速度の違いによる立脚初期の股関節伸展筋群活動の変化に着目し,歩行速度が股関節キネマティクスに及ぼす影響について検討した。【方法】整形外科疾患のない成人男性 7 名を対象とし三次元動作解析装置,床反力計付きトレッドミル,表面筋電図を用いて0.9 m/s 歩行と1.8 m/s 歩行を計測した。計測から得られた立脚初期(10% 歩行周期)の筋活動量(大殿筋,大腿二頭筋,半腱様筋),外的股関節屈曲モーメント,股関節屈曲角度,重複歩長を条件間で比較・検討した。【結果】 0.9 m/s 歩行と比較し 1.8 m/s 歩行で外的股関節屈曲モーメント,重複歩長,股関節屈曲角度,半腱様筋活動に有意な増加がみられた。一方で,大殿筋と大腿二頭筋には有意な変化はみられなかった。【結論】歩行速度の増加に対し,立脚初期では股関節屈曲角度,重複歩長の増加による対応が行われ,この対応には半腱様筋の筋活動量増加の関与が示唆された。
  • 平田 恵介, 国分 貴徳, 宮澤 拓, 塙 大樹, 久保田 圭祐, 園尾 萌香, 金村 尚彦
    2018 年 25 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究は健常人において,split-belt treadmill を用い,非対称歩行時の下肢の変化動態を運動学,及び運動力学的に明らかにすることを目的とした。【方法】健常成人10名に対し,ダブルベルトトレッドミル上で対称歩行中に左右 1:2 の速度比に変化し,再び対称に戻る歩行課題を行なった。この際の運動学,運動力学パラメータの左右対称性を速度変化時や変化前後で比較することで,適応反応や学習効果の残存を抽出した。【結果】ベルト速度が速側の下肢では後方伸展と推進力が増大していることが明らかとなった。【考察】これは先行研究で明らかになっている肢体間協調機能に起因して生じる速側下肢特有の動態であった可能性が示唆された。以上より,本研究は下肢の推進力や後方伸展の不全化を呈する対象者に対し,split-belt treadmillのリハビリテーションツールとしての理論確立の一端となったと考察する。
  • 藤野 努, 金村 尚彦, 国分 貴徳, 園尾 萌香, 久保田 圭祐, 平田 恵介, 塙 大樹, 宮澤 拓, 高柳 清美
    2018 年 25 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】歩行中の上肢運動は,能動的に制御されることで安定化し,歩行効率性に寄与している。しかし,上肢運動の適切な目標変数は明らかでない。本研究は,歩行中の上肢運動が,いかなる目標変数を基に制御されているかを明らかにすることを目的としてUncontrolled manifold(UCM)解析を行った。【方法】タスク変数として水平・鉛直方向の手先位置と速度を設定し,タスク変数に影響を及ぼさない良い変動(以下VUCM),影響を及ぼす悪い変動(以下VORT)を求めた。【結果】手先位置をタスク変数とした場合は水平・鉛直方向ともに,1歩ごとの変動を抑えるような協調構造を有しなかった。手先速度をタスク変数とした場合は鉛直方向のみVUCM>VORTであり(p<0.01),変動を抑える協調構造が存在した。【考察】歩行中の上肢運動においては,手先位置と比較して手先速度が制御の重要な変数である可能性を示唆した。
  • 喜多 俊介, 小栢 進也, 藤野 努, 小林 章, 久保田 圭祐, 園尾 萌香, 国分 貴徳, 金村 尚彦
    2018 年 25 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】筋骨格シミュレーションは筋張力など直接計測が困難な変数を推定可能で,一つの条件のみを変更してその影響を分析する事ができる。一方で日本人の体型にスケーリングされたシミュレーションによる筋活動の妥当性は十分検討されていない。本研究の目的はシミュレーションにより推定した歩行時筋興奮度を表面筋電図の値と比較することでその妥当性を検証することである。【方法】健常成人男性5名を対象に至適歩行速度にて30秒間トレッドミル上を歩行した。EMGは16筋を測定し,筋興奮度は筋骨格シミュレーションソフトであるOpenSimを使用し推定した。【結果】全16筋中12筋は全てのモデルで対象者と類似した波形が得られた。一方で特に膝伸展筋である外側広筋と内側広筋でモデルの値が低値を示した。これはモデルで同時収縮を考慮しない最適化を行ったことが原因の一つとして考えられる。【結論】シミュレーションを使用して解析を行う場合,この同時収縮が結果に影響をもたらす分析においてはこれを考慮した手法を用いる必要がある。一方で筋張力を推定できるシミュレーション研究はそれぞれの筋間や被験者間の比較,一条件を変更してその影響を調査する研究に有用であると考える。
  • 新井 麻佑, 田口 孝行, 新井 啓太, 礒田 のぞみ
    2018 年 25 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    本研究では,足把持力と最大一歩幅を基準とした目標距離に合わせて両脚立位からゆっくりと一歩を踏み出す能力(以下,低速踏み出し動作調節能力)および片脚立位重心動揺(以下,片脚立位保持調節能力)との関係について明らかにすることを目的とした。地域で自立生活する高齢女性と健常女子学生を対象に,足把持力と低速踏み出し動作調節能力・片脚立位保持調節能力を測定した。足把持力と片脚立位保持調節能力は,高齢者のみ足把持力と総軌跡長で有意な負の相関関係が認められた(r=-0.416,p<0.05)。このことは,今後,高齢者の姿勢安定性向上に繋がる足把持力のトレーニング方法を検討する根拠となると考えた。一方,先行研究では低速踏み出し動作の連続で成り立つ低速歩行と足把持力の間に相関関係を認めているが,本研究では低速踏み出し動作と足把持力の間に相関関係は認められなかった。これについては,先行研究と本研究との対象者の違い(高齢入院患者,自立生活する活動的な高齢者)によるためと考えられた。
  • 座間 拓弥, 山本 澄子
    2018 年 25 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】長下肢装具における足継手の設定が歩行立脚期に与える運動学的・運動力学的な影響を明らかにすること。【方法】対象は健常者10名。長下肢装具の膝継手を屈曲0°に統一し,足継手の設定は①底屈遊動・背屈遊動,②底屈制動・背屈遊動,③底屈制限・背屈遊動,④底屈制限・背屈制限の4条件とし,三次元動作解析装置を用い装着下肢における歩行時の運動学的・運動力学的分析を行った。【結果】立脚期前半では設定①②と比較し設定③④で,床反力後方成分ピーク値,足関節底屈角度ピーク値の減少,足関節背屈モーメント持続時間,膝関節伸展モーメント持続時間の延長,膝関節伸展モーメントピーク値の増加,股関節伸展モーメントピーク値の減少がみられた。立脚期後半では設定①②③と比較し設定④で,床反力前方成分ピーク値,足関節背屈角度ピーク値の減少,股関節屈曲モーメントピークの早期発生がみられた。【結論】底屈方向の設定は立脚期前半に,背屈方向の設定は立脚期後半に影響を及ぼすことが明らかになった。
  • 園尾 萌香, 久保田 圭祐, 国分 貴徳, 平田 恵介, 塙 大樹, 藤野 努, 名字 名前, 金村 尚彦
    2018 年 25 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】近年,初期変形性膝関節症(膝OA)の軟骨厚の減少に矢状面の膝関節トルクの関与が報告された。そのため膝OA患者が立ち上がり動作時に矢状面において力源に主にどのトルク成分を用いているか,また,膝関節の力学的動態に対して股関節や足関節がどのように関係しているかを明らかにすることを目的とした。【方法】対象は膝OA患者4名,健常高齢者3名,課題動作は立ち上がり動作とした。逆動力学計算を用いて下肢3関節のネットトルク(NET),筋トルク(MUS),相互作用トルク(INT),重力トルク(GRA),椅子からの反力(CHAIR)を算出し,動作全体,相ごとの各トルクの寄与率(CI)を求めた。【結果】離殿~足関節最大背屈相においてCIは膝関節MUSで有意に高く,膝関節INTでは有意差を認めなかった。またすべての関節においてNETは高齢者に比べて膝OAで低かった。【結論】膝OA患者は立ち上がり動作時の膝関節INT生成に股関節機能を利用できず,結果として膝関節の筋の負担が増大していること示唆された。
  • 小野田 翔太, 武田 尊徳
    2018 年 25 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】脳卒中患者の在宅復帰の際,理学療法士も退院支援に関わることが必要とされ,この退院支援内容は退院後の在宅脳卒中患者の生活の拡がりを左右すると考える。本研究の目的は当院退院後の在宅脳卒中患者の生活実態と生活満足度,退院支援における充足度の関係を明らかにすることである。【方法】対象は脳血管障害で当院へ入院し自宅退院され,収集したデータに不備のなかった74例とした。対象者へ退院6ヶ月後にアンケート調査を実施し,生活実態とLife space assessment(以下LSA)について回答して頂いた。また,退院時の基本情報・身体機能評価を後方視的に診療録より抽出した。分析は得られたデータの平均値,中央値,人数,割合を算出した。また,退院支援充足度とLSA,生活満足度,その他の調査項目の相関係数を算出した。【結果】LSAの平均は80.7点,生活満足度,退院支援充足度は概ね満足という結果であった。退院支援充足度は生活満足度,生活満足度は退院支援充足度,LSA,バランス機能,LSAは全ての項目と相関を認めた。【結論】退院支援を充実させていくことが生活満足度の充実,生活の拡がりへつながる可能性がある。
  • 杉田 洋介, 伊藤 克彦, 櫻井 繁樹
    2018 年 25 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】経口血糖降下薬と嫌気性代謝閾値での有酸素運動の併用が非肥満性2型糖尿病患者の運動耐容能と骨格筋エネルギー代謝に及ぼす影響を検討し明らかにすること。【方法】非肥満性2型糖尿病患者36例を内服群,内服量増加群,内服と有酸素運動併用群の3群に分けて12週間の治療介入を行い,前後で運動耐容能,骨格筋エネルギー代謝を比較した。【結果】内服量増加群と内服と有酸素運動併用群はBMI以外の項目で優位な改善がみられたが,多重比較では3群間に有意差は認められなかった。【結論】非肥満性2型糖尿病患者の骨格筋エネルギー代謝や運動耐容能改善に経口血糖降下薬と有酸素運動の併用は効果的であるが,内服治療単独との差は認められなかった。
  • 杉田 洋介, 伊藤 克彦, 櫻井 繁樹
    2018 年 25 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】非肥満性2型糖尿病患者の骨格筋細胞内脂質量,インスリン抵抗性,運動耐容能改善のための至適運動強度を明らかにすること。【方法】非肥満性2型糖尿病患者30名を低,中,高強度の3群に分類しエネルギー消費量を統一した有酸素運動を8週間行い,前後で骨格筋細胞内脂質量,インスリン抵抗性,運動耐容能を比較した。【結果】いずれの運動強度においても習慣的運動によりインスリン抵抗性,運動耐容能の有意な改善が認められたが骨格筋細胞内脂質量は中,高強度群で増加を示した。【結論】非肥満性2型糖尿病患者のインスリン抵抗性,運動耐容能改善のためには運動強度よりも習慣的な有酸素運動が有効である可能性が示唆された。また中強度以上での有酸素運動は骨格筋細胞内への脂質の取り込みを促進させる可能性が示唆された。
  • 會田 萌美, 武井 圭一, 岩田 一輝, 山本 満
    2018 年 25 巻 1 号 p. 78-81
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では,がん患者の歩行自立度と下肢筋力の関連を明らかにし,自立歩行を維持するための下肢筋力の目標値を検討することを目的とした。【方法】がん患者48例で繰り返し測定した値を含む延べ 68例を対象とし,Barthel Indexの移動の項目から15点を自立群(49例),10点以下を非自立群(19例)とし2群に分類した。ロコモスキャンにて膝伸展筋力を測定し,2群間を比較した後に,ROC曲線からcut off値を求めた。【結果】膝伸展筋力は,自立群が0.53 ± 0.15 kgf/kg,非自立群が0.35 ± 0.10 kgf/kgであり,2群間に有意差を認めた。ROC曲線からcut off値は0.42 kgf/kgであった。【結論】全病期のがん患者を対象にした場合,自立歩行を維持するための膝伸展筋力として, 0.4 kgf/kgを一つの目安と考えられた。
研究と報告
  • 笠井 健治, 中野 克己, 小川 秀幸, 西尾 尚倫, 高山 智絵, 桑原 健吾, 常名 勇気, 宮澤 友里, 清宮 清美
    2018 年 25 巻 1 号 p. 82-86
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】下肢装具使用者に対する継続した支援体制の整備に資するため,生活期において理学療法士が下肢装具へ介入する際に影響する因子を明らかにすること。【方法】生活期に従事する理学療法士を対象に郵送による自記式質問紙調査を行った。下肢装具を見直す頻度より介入群と非介入群に大別し,群間に影響する因子を明らかにするためにロジスティック回帰分析を行った。【結果】介入群は 125名,非介入群は 114名であった。群間に影響を及ぼす因子として「急性期・回復期との装具に関する連携」「装具に関連する制度の知識」「下肢装具を調整した経験」「下肢装具を検討・作製した経験」が抽出された。【結論】生活期で理学療法士が積極的に下肢装具へ関わるには急性期・回復期からの情報提供が有効であることが示唆された。また,下肢装具に関する教育体制の検討が必要と考えられた。
  • 芝﨑 伸彦, 今井 哲也, 望月 久, 沼山 貴也
    2018 年 25 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    本研究は,人工呼吸器装着中の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象に,人工呼吸器の気道内圧モニターの表示による最高気道内圧(PIP)および動的肺コンプライアンス(Cdyn)の相対信頼性および絶対信頼性を明らかにすることを目的とした。方法は人工呼吸器管理のALS患者24名に対し,PIPとCdynの測定を2名の理学療法士が行い,相対信頼性としてPIPとCdynの検者内および検者間の級内相関係数(ICC)と,絶対信頼性として最小可検変化量(MDC)の95%信頼区間であるMDC95を検証した。PIPの検者内および検者間のICCは0.98と0.99で,CdynのICCは0.94と0.97であった。またPIPのMDC95は1.99 cmH2Oで,CdynのMDC95は4.23 ml/cmH2Oであった。相対信頼性の結果よりPIPとCdynは再現性に優れた評価で,絶対信頼性の結果は呼吸ケアおよびリハビリテーションの即時的な変化量の参考値となる。
  • 木村 太祐
    2018 年 25 巻 1 号 p. 91-97
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,施設利用高齢者の施設利用における歩行の自立度と下肢荷重率(下肢Weight bearing ratio : WBR以下,下肢WBRと明記)の関係を明らかにすることである。【方法】対象は,介護老人保健施設を利用する高齢者80名とした。市販の体重計(タニタ社製 ヘルスメーターTHA - 528)を使用し,下肢WBRを計測した。その他の測定項目に,握力,膝伸展筋力,片脚立位時間,最大10 m歩行,Timed Up and Go test(TUG),Functional Reach test(FRT)を行った。歩行自立度の群間比較に,対応のない t 検定にて比較した。歩行自立度を従属変数,各運動機能測定項目を独立変数とした多重ロジスティック解析を実施した。【結果】下肢WBRは,施設内の歩行自立群と非自立群との間に有意な差を認めた。歩行自立度に対する影響因子として TUG(オッズ比1.38,95%信頼区間<1.146-1.660>,P<0.01)と下肢 WBR(立位)(オッズ比 0.84,95% 信頼区間,<0.753-0.93>,p<0.01)が抽出された。【結論】施設利用高齢者の施設利用における歩行自立度において,下肢 WBR は,これまでの観察による歩行の質的判断に対して定量的な参考指標の一助となり得る可能性があり質的・量的評価の併用の有用性が考えられた。
調査報告
  • 原田 脩平, 佐野 幸子, 井上 貴裕
    2018 年 25 巻 1 号 p. 98-102
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】筆者らは,健康相談室の活動の一つとして,生体電気インピーダンス法による筋肉量,脂肪量などの測定を行っている。今回,筋肉量減少および脂肪量増加に対する予防の開始時期や注意点,男女の違いを明らかにすることを目的とした。【方法】埼玉県内の住宅団地やイベント会場などにて参加を呼びかけ承諾の得られた男女483人を対象者とした。測定にはマルチ周波数体組成計MC-780A(タニタ社)を使用し,測定値を年代別,性別に区分して分析した。【結果】筋肉量の年代ごとの変化では,男女ともに中年期以降で下肢の筋肉量の低下が有意にみられた。脂肪量は男性では青年期から壮年期にかけて有意に増加し,女性では中年期に男性よりも有意に多かった。【結論】男女ともに45歳以上の中年期から下肢筋力低下の予防の必要性が考えられた。脂肪量は,男性では青年期から壮年期にかけて増加を防ぐ必要があり,女性では中年期に過剰な蓄積を防ぐ必要があることが考えられた。
症例検討
  • 西澤 祐輝, 大熊 克信, 茂木 宏昌
    2018 年 25 巻 1 号 p. 103-106
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】糖尿病性下腿切断者に対して,理学療法士,義肢装具士の客観的な評価を,患者本人の主観的な評価はVisual Analogue Scale(以下,VAS)を用いて数値化して行い足部パーツの選択を行った。主観的な評価を用いる重要性があることを経験したことについて報告する。【症例紹介】左下腿切断術を施行した50歳代の男性。【経過】左足趾に潰瘍が出現,2週間後に近医を受診し,糖尿病足壊疽と診断される。診断された翌日に,前医の皮膚科を受診し,壊死性筋膜炎の診断にて入院。保存加療が困難となり,左下腿切断術を施行。術後40日目に,当院の回復期リハビリテーション病棟に転入した。【結果】術後71日目のVASでJ-Footが71,トライアスが64,C Walkが61とJ-Footが最も評価が高かった。主観的な評価と健側下肢の感覚障害や筋力低下を考慮して,本人,義肢装具士と相談の上,J-Footを選択した。【結論】足部を選択する際,本人の主観的な評価を数値で示して決定した報告は少なく,今後のパーツ選択におけるメディカルスタッフとの関わりとして,理学療法士の役割の手段となり得ることが示唆された。
  • 瀧澤 快至, 江連 亜弥
    2018 年 25 巻 1 号 p. 107-110
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー
    【はじめに】近年,大腿骨近位部骨折は年間15万人以上に達していると推定され,急性期病院から在宅復帰を果たす方も多いが,痛みや関節可動域制限が残存し活動と参加を制限されているケースも少なくない。慢性疼痛残存症例に対する約1ヶ月半の理学療法介入での臨床推論を報告する。【症例紹介】左大腿骨頸部骨折受傷(人工骨頭置換術)から,約1年経過した60歳代の女性であり,特徴として左立脚中期(以下,MSt)で左股関節近位前内側部に痛みの訴えが強く体幹左側屈及び左股関節外転代償が著明であった。本人Hopeは「痛みなく生活したい。杖なしで元の様に歩きたい」であった。【方法】平成28年7月5日~同年8月20日の期間で理学療法士による20分間の個別リハビリを週3回の頻度で行った。【結果】左MStでの疼痛は消失し,体幹左側屈及び左股関節外転代償に改善が認められた。【考察】本症例においては「慢性疼痛」と「誤学習」が臨床推論していくうえで重要であったと考えた。
feedback
Top