関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第25回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 22
会議情報

変形性膝関節症に対するRCTによる保存療法の比較検討
ヒアルロン酸と運動療法の効果の検討
*橋川 拓史寺門 淳
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】変形性膝関節症に対して外来で行える保存療法のうち、どの治療法が効率的であるかを調査、検討することを目的とした。
【方法および選択基準】2004年6月から7月まで当院を初診した40歳以上80歳未満の患者で膝関節痛を訴え、発症より2週間以上経過し明らかな外傷歴がなく、階段昇降時痛か動作開始時痛を訴える者を対象とした。治療選択は乱数表にて無作為に運動療法単独群(以下Ex群)、ヒアルロン酸単独群(以下HA群)、ヒアルロン酸と運動療法併用群(以下Ex+HA群)に振り分けた。評価は日整会膝OA治療成績判定基準(以下JOA)とvisual analog scale(以下VAS)を用いて、治療開始前、3週、5週、8週で評価した。JOA点数の群内比較、群間比較はWilcoxon検定を、VASの比較はt検定を用いて検討した。
【対象】対象症例はEx群25例30膝、HA群23例25膝、Ex+HA群27例33膝、合計75例88膝であった。脱落例はEx群21例、HA群11例、Ex+HA群15例であり最終評価対象症例はEx群4例7膝、HA群12例13膝、Ex+HA群12例17膝であった。
【結果】JOAの腫脹、歩行能、可動域に関しては各群ともに治療開始前後で有意差はなかった。JOAの階段昇降能では3週目でEx+HA群がHA群よりも早期に有意な改善を示し、HA群は5週目から改善を示した。8週目では各群間の有意差はなかった。またEx群も他2群と同様の改善傾向を示した。JOAの合計点数では3週目でEx+HA群がHA群よりも早期に有意な改善を示し、HA群では5週目から改善を示した。8週目では各群間の有意差はなかった。VASではEx+HA群、HA群ともに3週目で有意に改善を示した。またEx群も他2群と同様な改善傾向を示した。
【考察】本調査ではEx群が他の2群に比べJOA、VASとも類似した結果であったにも関わらず脱落症例が多く患者に運動療法継続のモチベーションを維持させることの難しさを示している。またヒアルロン酸の有効性に関しては疼痛、運動機能の点に認められたがEx+HA群は3週目よりHA群より早期に改善が認められたことからヒアルロン酸と運動療法を併用することが膝OA症状に早期治療効果が期待できると考えられた。今後の課題としてより効果的な運動療法の方法や患者のコンプライアンスを上げるための工夫などの検討が必要であろう。
【まとめ】
1)運動療法併用群はヒアルロン酸単独群より早期にJOAスコアの改善が見られた。
2)8週時点では運動療法併用群とヒアルロン酸単独群のJOAおよびVASの改善度には有意差はなく、両者とも有効であった。
3)運動療法単独群は他2群と比較しても遜色のない改善を得られる可能性がある。
著者関連情報
© 2006 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top