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國分 佳奈, 松崎 祐太朗, 藤原 侑士, 古谷 英孝, 星野 雅洋
原稿種別: 口述 1 運動器 1
セッションID: O-01-01
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに、目的】
頸部痛を有する約 60%の患者は Forward Head Posture を呈しており,位置覚に影響を及ぼすとされている.近年,モニターを利用した視覚フィードバック(FB)を用いた運動は,アライメントや位置覚の修正に有効であることが報告されている.今回,頸部痛が残存する頸椎術後患者に対し,視覚 FB を用いた頸椎安定化運動の効果を AB 法にて検討した.
【症例紹介、評価、リーズニング】
頸椎症性脊髄症に対し椎弓形成術(C3-7)を施行した 70 代男性である.頸部痛の軽減を目的に外来リハビリテーションを実施していた.術後 8 ヶ月経過したが頸部痛が残存し,長時間の作業に制限をきたしていた. 介入前の評価は, 頸部痛 Visual Analog Scale(VAS)60mm,Neck Disability Index(NDI)12/45 点,Craniovertebral angle(CVA)34.8°,筋力と頸椎可動域に明らかな異常はみられなかった.頸部位置覚(Joint Position Sense:JPSE)は伸展が 7.5°,左回旋が 5° でありカットオフ値(4.5°)を超え,位置覚の異常を認めた.位置覚の異常によりアライメント不良が生じ,頸部痛が生じていると考えた.そこで,頸椎安定化運動を視覚 FB下で実施した.
【倫理的配慮、説明と同意】
患者本人に対し介入に関する説明を十分に行い,同意を得たのちに実施した.
【介入内容と結果】
介入デザインは AB 法とした.A 期は,通常の理学療法に加え仰臥位でスタビライザーを利用した頸椎安定化運動,B 期は通常の理学療法に加え,座位での頸椎安定化運動を矢状面から撮影してモニターに映し,視覚 FB を用いて実施した.介入期間は各期 4 週,計 8週とした. 評価項目は, 頸部痛 VAS,JPSE,CVA,NDI, 筋力(CCF-S,CCF-E),ROM とした.評価時期は,JPSE は毎介入時,その他の項目は A 期開始前(A‘期),B 期開始前(A 期),B 期介入後(B 期)とした.効果判定は,VAS と NDI は臨床的最小重要変化量(MCID),JPSE は 2-standard deviation 法(2SD),CVA,筋力,ROM は記述的統計を用いた.結果は,頸部痛VAS[mm]は(A’→A→B:60→63→27)であり, B 期で MCID(31mm)を超える変化を認めた.頸部屈曲 JPSE[°]は A 期(平均値±SD)は 4.98±0.3,B 期は 3.38±0.3 であり,B 期では A 期の 2SD(0.6)を超える改善を認めた.その他の項目は改善を認めなかった.
【考察】
今回の介入により,頸椎疾患術後患者に対する視覚 FB を用いた頸椎安定化運動は,JPSE の改善,頸部痛の改善に有効である可能性が示された.
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肥後 佑生, 池津 真大, 深谷 聡志, 工藤 慎太郎
原稿種別: 口述 1 運動器 1
セッションID: O-01-02
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに,目的】
内側半月の逸脱(MME)は,変形性膝関節症(KOA)の進行や膝痛に関連する.今回,我々は超音波画像装置を用いて評価した脛骨大腿関節アライメントと MME の関係に着目した理学療法で歩行時痛が減少した症例を経験したため報告する.
【症例紹介,評価,リーズニング】
68 歳,女性.診断名は左 KOA であり,Kellgren-Lawrence 分類は 2 であった.主訴は歩行時の左膝内側部痛であり,Numerical Rating Scale(NRS)6 であった.MME は,トランスデューサーを膝前内側に当て,大腿骨内側顆の遠位端と脛骨内側顆の近位端を結ぶ線から内側半月の外縁までの垂直線距離として算出した.本症例の MME は 4.4mm であった.脛骨大腿関節アライメントは,トランスデューサーを膝窩に当て,長軸像で大腿骨顆と脛骨顆の最突出部から体表までの距離の差分を内側(MCG)と外側(LCG)で算出した.本症例の MCG は 3.7mm,LCG は 8.2mm であり,膝内側で大腿骨に対する脛骨後方位を認めた.圧痛は半膜様筋に認めた.そのため,膝内側の脛骨後方位は,半膜様筋の柔軟性低下が関連していると推察した.
【倫理的配慮,説明と同意】
本報告は「ヘルシンキ宣言」を遵守しており,本症例には発表の趣旨を十分に説明し同意を得た.
【介入内容と結果】
超音波ガイド下で半膜様筋に対する徒手療法,大腿四頭筋セッティングを実施した.歩行時痛は NRS6 から 1 ヵ月後 NRS3,2 ヵ月後 NRS1,3 ヵ月後 NRS0 に改善した.MME は 4.4mm から 1 ヵ月後4.2mm,2 ヵ月後 3.6mm,3 ヵ月後 3.3mm に改善した.MCG は3.7mm から 1 ヵ月後 5.8mm,2 ヵ月後 5.8mm,3 ヵ月後 7.7mm に改善した.LCG は,8.2mm から 1 ヵ月後 6.4mm,2 ヵ月後 7.4mm, 3 ヵ月後 7.9mm であった.
【考察】
本症例は,脛骨大腿関節アライメントと MME の関係に着目した理学療法で歩行時痛が改善した.先行研究では,MME と脛骨後方位が関連することが報告されている.解剖学的研究では,内側半月は半膜様筋腱の腱鞘と後内側関節包と連続した構造であることが報告されている.そのため,脛骨後方位アライメントが改善したことで半膜様筋や関節包の張力が増加し,MME が減少したと考える.
【結論】
脛骨後方位アライメントの改善は MME を減少させ,歩行時痛が減少する可能性がある.
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荒川 世麗, 大山 由廉, 小澤 哲也, 佐藤 隆一, 霜田 直史
原稿種別: 口述 1 運動器 1
セッションID: O-01-03
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに】
下腿・足関節骨折術後の足関節背屈可動域制限に対する理学療法の報告は散見されるが,関節可動域制限が遷延した下腿・足関節骨折術後患者に対して,エコーガイド下で実施した下腿深層筋群のストレッチ効果について報告は少ない.今回,脛腓骨開放骨折術後に足関節と足趾の関節可動域制限が遷延した術後 10 ヶ月の患者に対して,エコーガイド下で下腿深層筋群のストレッチを実施し,関節可動域と片脚立位時間に改善を認めた一例を経験したため報告する.
【症例紹介】
40 歳代男性.X 月 Y 日,仕事中に左脛腓骨開放骨折を受傷し,同日に創外固定術が,Y+6 日に脛骨髄内釘・腓骨外果プレートによる内固定術が施行された.X+3 ヶ月時点で左足関節自動背屈 0°,他動背屈 5° であった.X+10 ヶ月時点で足関節可動域に改善は認めず,背屈時の足趾の他動伸展が困難で,第 2,3,4 趾 MTP 関節伸展 40° と claw toe を呈し関節可動域制限が遷延していた.また,足趾~足底の痺れと足背に 6/10 の表在感覚鈍麻があり,母趾側への荷重により痺れの増強,疼痛を認めていた.片脚立位保持時間は右 30 秒以上,左 19 秒であった.
【倫理的配慮】
発表にあたり,患者の個人情報とプライバシーの保護に配慮し,口頭と書面にて同意を得た.
【介入内容と結果】
左足関節背屈可動域制限の要因として考えられる下腿深層筋群と軟部組織の癒着,滑走性低下に対して,エコーガイド下で長母趾屈筋・長趾屈筋・後脛骨筋のダイレクトストレッチを実施した.筋緊張の緩和,実施時の疼痛軽減を目的に,ストレッチ実施前にホットパックにて温熱療法を実施した.その結果,即時効果としてエコーにて足趾自動屈曲伸展運動時における筋の滑走性向上を認め,自動背屈 0° 他動背屈 15°,背屈時の足趾の他動伸展は困難なままであったが,第 2,3,4 趾 MTP 関節伸展 20° となった.母趾側荷重時の痺れと疼痛に軽減がみられ,片脚立位保持時間は左 42 秒に改善した.
【考察】
本症例は,術後 10 ヶ月経過しており可動域制限が遷延していた.エコーガイド下で目的とする下腿深層筋群にストレッチを実施できたことで,即時的な他動背屈角度と背屈時の第 2,3,4 趾 MTP 関節伸展角度の改善を認めた.また,可動域の改善により片脚立位時間が延長した.本症例のような関節可動域制限が遷延した症例であっても,エコーガイド下での徒手的なストレッチは即時的な可動域の改善に効果的である可能性が示唆された.
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渡邉 省吾, 小平 智之, 鈴木 裕貴, 初川 蓮, 狩野 拓海, 横田 怜, 篠崎 哲也
原稿種別: 口述 1 運動器 1
セッションID: O-01-04
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに】
人工股関節全置換術(以下,THA)後の歩行上の問題点として,立脚後期の股関節伸展角度減少が報告されている.一方で,免荷式歩行器 POPO(以下,POPO)に備え付けられている前進負荷機能は抵抗を加えながら進むことができ,推進力の指標である Trailing Limb Angle(以下,TLA)の増加を認めたと報告されている. TLA の構成要素には股関節伸展角度があるが,前進負荷歩行の効果について股関節伸展角度に言及した報告は渉猟し得た限り見当たらない.今回,歩行中の股関節伸展角度の減少を呈した THA 症例に対し,POPO の前進負荷歩行練習を行い,歩行中の術側股関節伸展角度の変化に着目して検討したため報告する.
【症例紹介,評価】
80 歳代女性.X-126 日,右大腿骨頸部骨折に対し骨接合術を施行.Ⅹ日,スクリューの骨頭穿破に対し後方侵入法にて THA を施行した.X+33 日,T 字杖歩行が見守りで可能となり矢状面での歩行を iPad にて動画撮影した.その後,画像解析ソフトウェア Image J を用いて,右立脚後期の静止画より右股関節最大伸展角度を3回計測し平均値を求めた.結果,右股関節最大伸展角度の平均は-11.8° と減少を認めた.また,10m 歩行での歩行速度は 0.37m/秒,平均歩幅は 33.3cm であった.倫理的配慮として,本報告は,ヘルシンキ宣言に基づき対象者に十分な説明を行い,同意を得た.
【介入内容と結果】
X+33 日より,通常の理学療法に加え,POPO を使用した前進負荷歩行練習を連続 5 日間,平均 60m/日実施した.前進負荷歩行中は右立脚後期に股関節伸展運動の出現を認めた.5 日間の前進負荷歩行練習直後,T 字杖歩行時の右立脚後期の静止画において,右股関節最大伸展角度の平均は-2.2° となり,前進負荷歩行前後で 9.6° 拡大した.10m 歩行速度は 0.55m/秒に改善し,平均歩幅は 38.5cm と増大した.
【考察】
POPO の前進負荷歩行は,前方への推進力がより必要となる. THA 症例の前進負荷歩行では推進力の発揮として股関節伸展の運動範囲を広げたと考えられた.そのことが前進負荷歩行練習後の股関節伸展角度の拡大につながり,歩行速度や歩幅の改善にも影響したと考えた.今後は前進負荷歩行後の経日的ならびに長期的な持続効果の検証も必要と考える.
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田丸 憲, 永島 修子, 和田 太, 保苅 吉秀, 藤原 俊之
原稿種別: 口述 1 運動器 1
セッションID: O-01-05
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに,目的】
骨形成不全症(OI)は骨脆弱による易骨折性を特徴とし,骨折後の治療では再骨折のリスクや骨癒合に応じた慎重な介入が求められる.今回,OI を有する患者が大腿骨骨幹部骨折の手術中に転子部骨折を併発し再手術となった.複数回手術を行った OI 患者の理学療法に関する報告は乏しく,術後の荷重スケジュールや機能予後の見通しに難渋したため,その経過を報告する.
【症例紹介,評価,リーズニング】
症例は OI を有し,両側大腿骨に髄内釘挿入歴がある 20 代男性である.X-57 日に転倒により左大腿骨骨幹部を骨折し保存加療後,X日にプレート固定および骨切り術を施行した.術中に転子部骨折を認め,K-wire で固定したが固定性不十分のため,X+15 日に転子部へプレート固定術を施行した.X+4 日より理学療法を開始し,術後 2 週間はベッド上で介入を行い,X+15 日に離床を開始した. X+4 日の評価では,術側 ROM は膝伸展-10°,屈曲 45°,股屈曲 40°,股伸展 0° で,膝屈曲最終域で大腿前面に Numerical Rating Scale(NRS)8/10 の伸張痛を認めた,徒手筋力検査(MMT)は膝伸展・屈曲,股屈曲,股外転すべて 1 であった.X+18 日の再評価では,術側 ROM は膝伸展-5°,屈曲 85°,股屈曲 110°,股伸展 10°,MMT は膝・股屈筋 2,膝伸筋 2(extension lag 25°)であった.疼痛の局在と増悪の有無,ROM や筋力の経過を評価し,画像所見による仮骨形成の状況は主治医から共有されたうえで,X+41日に TWB を開始した.
【倫理的配慮,説明と同意】
本症例には報告の目的と内容を十分に説明し,書面にて同意を得た.
【介入内容と結果】
荷重開始までは ROM 練習と筋力強化練習を中心に実施し,TWB開始後は歩行練習を加えて段階的に両松葉杖歩行へ移行した.X+ 56 日には TWB 下で両松葉杖歩行が自立となり,退院した.退院時,術側 ROM は膝伸展 0°,屈曲 115°,股屈曲 120° であり,膝屈曲最終域で膝蓋下に NRS2/10 の伸張痛を認めた.MMT は膝伸筋・股屈筋 4,膝屈筋 3,股外転筋 2 であった.
【考察】
OI 患者は再骨折リスクが高く,成人期以降は特に骨折治癒の遷延が指摘されている.本症例は術前から骨質の低下を認め,画像所見から癒合遅延や骨壊死リスクが考慮された.標準的プロトコルがない中で,疼痛の程度,ROM や筋力の変化,画像所見による骨癒合状況などを総合的に評価し,患者の状態に合わせた個別的な介入計画を立案・実行した一例として,今後の臨床の参考になると考えられる.
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風間 康志
原稿種別: 口述 1 運動器 1
セッションID: O-01-06
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに、目的】
うちわ歩行とは、進行方向に対して足尖が内側を向いてしまう歩容の事である。うちわ歩行の評価には Craig’s test 等の静的な評価が用いられる。しかし、動的な指標となる評価が少なく、歩容に関しては視覚による評価が主となっている。今回の目的は、足底板療法が膝関節内反モーメント(Knee Adduction Moment:以下 KAM)に与える影響を歩行解析計と理学所見を用いて解明する事である。
【症例紹介、評価、リーズニング】
うちわ歩行と診断された 3 症例① 5 歳女児② 8 歳男児③ 9 歳男児に対して、A 期:初回介入(X 日)、B 期:足底板挿入(X+2W)、C期:足底板未挿入(X+2W)の 3 回に分けて歩行解析計 iMU-One(京セラ)を使用し KAM を測定した。また、足底板挿入前後で形態・ 可動域測定として Leg Heel Angle(以下:LHA)、Craig’s test を評価した。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に則り対象者には説明と同意を文書にて得た。
【結果】
iMU-One
A 期:KAM①(右 1.4 左 1.5)②(右 2.5 左 5.2)③(右 5.2 左 3.8)
B 期:KAM①(右 1.1 左 1.03)②(右 2.5 左 2.5)③(右 4.5 左 3.2)
C 期:KAM①(右 1.5 左 1.2)②(右 2.2 左 2.2)③(右 1.1 左 3.4)形態・可動域測定(A 期/B・C 期)LHA①(右 4° 左 8°/右 4° 左 6°)②(右 8 左 8°/右 6° 左 4°)③(右 4° 左 6°/右 3° 左 6°)Craig’s test①(右 72° 左 50°/右 50° 左 49°)②(右 48° 左 48°/右 46°左 41°)③(右 50° 左 51°/右 44° 左 44°)
【考察】
iMU-One の結果より足底板挿入時の KAM が低値である事から、膝関節にかかる内反モーメントの減少が認められた。また、形態・可動域測定の結果から足底板挿入後では、股関節では内旋から外旋方向へ、足関節では回内から回外方向へ角度変化が認められた。足底板による距骨下関節、横足根関節斜軸の回外誘導により LHA が変化したと考えられる。さらに上行性の運動連鎖によって股関節が外旋誘導され Craig’s test が変化したと考えた。
結論として、足底板療法は横足根関節、距骨下関節の回外誘導により歩行時の膝関節内反モーメントを減少させる事が示唆された。今後、うちわ歩行と膝関節内反モーメントの関係性を定量的に評価し、うちわ歩行の治療法を確立していきたい。
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樋口 大輔, 髙橋 雄太, 佐藤 清香, 竹内 真理, 篠原 智行
原稿種別: 口述 2 地域 1
セッションID: O-02-01
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに、目的】
フレイルは表現型と累積欠損型に大別される。各概念に基づき判定方法があるが、判定法により異なる高齢者が抽出されることが知られている。そこで、本研究では、異なる基準で抽出された高齢者の特徴の違いがあるかどうかを明らかにすることを目的とした。
【方法】
A 県の通いの場での前向きコホート調査のベースライン調査に参加した 65 歳以上の人を対象とした。フレイル判定が完了しなかった人は除外した。フレイル判定には JCHS 基準と後期高齢者の質問票(QMCOO)を用いた。調査項目は、①身体面(握力、歩行速度)、②認知面(認知症スクリーニング:RDST)、③社会面(社会的フレイル質問紙:SF)、④栄養面(食欲質問紙:SNAQ)、⑤薬剤面(剤数)、⑥活動面(中等度以上の身体活動時間:MVPA)とした。両基準該当を F 群、JCHS 基準のみ該当を J 群、QMCOO のみ該当を Q 群、両基準非該当を R 群とし、調査項目を Mann-Whitney の U 検定(Holm 法による p 値補正)で比較した。欠損値はペアワイズし、有意水準は p=0.05 とした。
【倫理的配慮、説明と同意】
B 大学倫理審査委員会の審査を経て学長の承認を得た(承認番号: 2362、2374、2411、2467)。各参加者より参加の同意を得た。
【結果】
1 人を除外し 658 人を解析対象とした。F 群が 32 人(82.0 歳、女性比 78.1%)、J 群が 16 人(83.0 歳、87.5%)、Q 群が 130 人(81.0 歳、85.4%)、R 群 が 480 人(79.0 歳、87.5%)だ っ た。R 群(22.6kg、1.2m/s)と Q 群(22.3kg、1.1m/s)と 比 べ、J 群(16.8kg、0.9m/ s)と F 群(20.2kg、0.9m/s)の握力と歩行速度は低かった。R 群、 Q 群、F 群の順序性を考慮し、R 群と Q 群との間でのみ差があった項目は SNAQ(R 群:15.0 点、Q 群:14.0 点、F 群:14.0 点)と SF(同 1.0 点、2.0 点、2.0 点)だった。R 群または Q 群と F 群との間でのみ差があった項目は RDST(同 10.0 点、10.0 点、9.0 点)と剤数(同 3.0 剤、4.0 剤、6.5 剤)だった。R 群と Q 群との間、Q群と F 群との間の両方で差があった項目は MVPA(同 59.9min/d、 47.8min/d、29.5min/d)だった。
【考察】
J 群、Q 群、F 群に異なる特徴を認めた。J 群は身体機能の低下が主徴だった。一方、Q 群は食欲不振や社会的機能の低下により活動量が減少していた。F 群は、J 群や Q 群の特徴に認知機能の低下や多剤使用のリスクが加わり、さらに活動量が減少していた。なお、 J 群も活動量が低かったが(MVPA:40.9min/d)、サンプルサイズが小さく差を検出できなかった。
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小林 好信
原稿種別: 口述 2 地域 1
セッションID: O-02-02
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに・目的】
高齢者における身体活動の維持は、体力の維持、転倒・要介護状態の予防に重要である。国際標準化身体活動質問票(IPAQ)は身体活動量を簡便に把握できる有用な指標である。本研究では、IPAQ-Short を用いて活動量を高・中・低の 3 群に分類し、体力指標および筋量との関連を検討することで、介入の個別化や評価指標選定に資する知見を得ることを目的とした。
【方法】
対象は、A 市の介護予防教室において 2024 年度に体力測定を受けた、60 歳以上の地域在住高齢者 112 名(男 18 女 94;75.86±5.71歳)である。調査項目は、①体力測定(握力、SS-5、4m 歩行速度、 TUG、2 ステップ、片脚起立、FRT、長座位体前屈)、②身体活動量(IPAQ-Short により METs を算出)、③筋量(InBody270 による四肢筋量測 定)、④ロコモ 度(GLFS-25)、⑤注意遂行機能(TMT-B)、⑥生活空間(Life Space Assessment;以下、LSA)である。身体活動量は国際基準に基づいて高・中・低の 3 群に分類し、体力指標および筋量の群間比較には ANOVA または Kruskal-Wallis 検定を用いた。さらに、身体活動量と関連のあった項目をもとにクラスター分析を実施し、活動量と体力の関連性を検討した。統計解析には IBM SPSS Statistics ver.20 を用い、有意水準は 5%未満とした。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は所属士会の研究倫理委員会の承認(2024-01)を受け、対象者と市の担当責任者には研究の目的および方法を説明し、書面にて同意を得た。
【結果】
身体活動量による 3 群間比較の結果、LSA において有意差が認められ、中活動群は低活動群と比較して有意に高い結果を示した(p<0.05)。また、4m 歩行速度および LSA の 2 項目を用いたクラスター分析の結果、歩行速度が速く生活空間が広い群と比較して、歩行速度が遅く生活空間が狭い群では、ロコモ 25 が有意に高く(p< 0.05)、ロコモ度が高い傾向が示された。
【考察】
本研究では、身体活動量と体力・筋量との関連を検討したが、LSAを除いて有意差は認められなかった。これは、自己記述式による身体活動量の評価が、体力や筋量を必ずしも正確に反映しているとは限らない可能性を示している。また、生活環境、移動範囲が活動量に影響する可能性も考えられる。特に、歩行速度の低下と生活空間の縮小はロコモ度の上昇と関連しており、移動能力と行動範囲の把握は、身体活動や生活機能の評価に有用と考えられる。
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辻 俊太郎, 沢谷 洋平, 広瀬 環, 河野 流奈, 杉浦 匠, 滝本 理緒奈, 西村 優人, 糸数 昌史
原稿種別: 口述 2 地域 1
セッションID: O-02-03
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに、目的】
フレイル・ロコモ克服に向けた医学会宣言では、幼少期からのロコティブシンドローム(ロコモ)対策の重要性が指摘されている。本研究ではさらに早期の乳幼児期に着目し、これまで先行研究のない若年者のロコモと乳幼児期体格との関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2024 年 4 月に実施した後ろ向きコホート研究で、対象は正常分娩で出生した大学生 62 名(19.6±1.3 歳)とした。ロコモ度テスト(立ち上がりテスト、2 ステップテスト、ロコモ 25)を実施し、ロコモの有無を判定した。2 ステップ値は 2 歩幅を身長で除して算出した。0、1、3 歳時の身長体重は母子手帳より聴取した。統計解析は、ロコモ該当群と非該当群における 0、1、3 歳の身長体重の群間比較、およびロコモ度テストと 0、1、3 歳の身長体重との関係をピアソンの積率相関係数・スピアマンの順位相関係数にて分析した。また、従属変数を相関分析で有意であったロコモ度テスト、独立変数をステップワイズ法にて投入した 0、1、3 歳時の身長体重、調整変数を性別と現在の運動習慣とした多変量解析も実施した。
【倫理的配慮、説明と同意】
研究参加の同意を書面で得た。倫理審査委員会の承認を受け、ヘルシンキ宣言のガイドラインを遵守した。
【結果】
ロコモの有無で乳幼児期の体格に有意差は認めなかったが、2 歩幅と 0 歳身長(r=0.430)・0 歳体重(r=0.438)・1 歳身長(r=0.368)・ 1 歳体重(r=0.356)・3 歳身長(r=0.319)、2 ステップ値と 0 歳体重 (r=0.260)、ロコモ 25 と 0 歳身長(ρ=-0.281)の間に有意な相関関係を認めた。重回帰分析では 2 歩幅と 0 歳身長(p=0.002)、二項ロジスティック回帰分析ではロコモ 25 が 1 点以上と 0 歳身長 (p=0.017)が有意に関連していた。
【考察】
本研究は、若年者のロコモ度テストと乳幼児期の体格との関係を調査した世界初の報告である。その結果、正常分娩の集団にも関わらず、両者の間に弱い~中等度の関連が明らかとなった。フレイル・ロコモ克服に向けた医学会宣言において、ロコモに対する取り組みは小児期から高齢期までの各段階に応じたライフコースアプローチが求められている。本研究はその起点をさらに早い時期に置くことの意義を示している。
【結論】
若年者のロコモ度テストは乳幼児期の体格と関連している。ロコモ予防には成人期を待たず、乳幼児・小児期からの予防的なアプローチの重要性が示唆された。
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上條 真尋, 北澤 奈美, 島貫 功大, 毛利 智哉, 福田 恵里子, 渡邉 ことえ, 茂手木 俊也, 黄 智軒, 渡邉 光太, 新永 拓也
原稿種別: 口述 2 地域 1
セッションID: O-02-04
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに、目的】
高齢化の進行に伴い,サルコペニアやフレイルが注目されており,身体機能や心理的要因が転倒リスクと関連することが報告されている.特に,転倒関連自己効力感は,身体活動や日常生活動作に影響を及ぼすとされる.本研究では,八王子市の地域在住高齢者における転倒関連自己効力感と身体機能との関連性,およびフレイルを有する高齢者にみられる特徴を明らかにすることを目的とした.
【方法】
対象は,病院が運営する地域サロンに参加された 65 歳以上の高齢者とした.基本情報として性別,年齢,身長,体重,BMI を確認した.身体機能評価は,握力測定,筋肉量測定,4m 歩行時間,歩行速度,5 回立ち上がり時間,Short Physical Performance Battery (SPPB)を実施した. 認知機能評価(Mini-Cog), 身体活動量 (IPAQ 日本語版),転倒関連自己効力感(Short FES-I)を確認した. フレイルの有無は改訂日本版 Cardiovascular Health Study (改訂 J-CHS)に基づき定義した.統計解析は,Spearman の順位相関係数を用いて Short FES-I の点数と各項目との関連を分析し,フレイルの有無の 2 群間比較は Mann-Whitney の U 検定を用いた.
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき,帝京科学大学倫理委員会の承認(承認番号:24A056)を得て実施した.対象者に,本研究の内容を十分に説明し,同意を得た上で実施した.
【結果】
参加者 16 名(年齢:中央値 83.0[82.5-83.0]歳)を分析した.Short FES-I の点数は 4m 歩行時間(r=0.61,p<0.05)と有意な正の相関を,歩行速度(r=-0.61,p<0.05)および SPPB 合計点数(r=-0.55, p<0.05)と有意な負の相関を示した.フレイル・プレフレイル群とロバスト群の比較では,フレイル・プレフレイル群で年齢,4m 歩行時間,5 回立ち上がり時間,Short FES-I の点数が有意に高値であり(p<0.05~0.01),歩行速度は有意に低値を示した(p<0.05).
【考察】
本研究の結果から,転倒関連自己効力感は歩行能力やバランス機能との関連が示唆された.また,フレイルを有する高齢者において,年齢や身体機能だけでなく転倒関連自己効力感が低いことが示唆された.転倒関連自己効力感が低いことは,フレイル・プレフレイルの進行と関連する可能性があると考える.
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佐藤 豊, 石川 有理, 広木 健太, 星野 俊人, 和田 辰哉, 森下 大, 井上 麻由, 茂木 一樹, 関口 裕紀, 篠原 智行
原稿種別: 口述 2 地域 1
セッションID: O-02-05
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【目的】
群馬県桐生市は、高齢化率が 37.7%と県内でも高く、介護予防施策の推進が急務となっている。今回、通いの場の参加者の調査に基づき、今後の本市の事業展開の基礎資料とするために、フレイルの実態率やフレイルに関係する健康状態を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は、令和 5 年度および 6 年度にリハ職派遣事業に選定された通 いの場 16 か所に参加した地域在住高齢者 264 名のうち、欠損を除 いた 226 名(男性 49 名、女性 177 名)とした。平均年齢は、男性 75.9 歳、女性 79.0 歳であった。フレイル評価は、改定日本版 CHS基準(以下 J-CHS 基準)、健康状態は後期高齢者の質問票(以下 QMCOO)で評価した。解析処理は、J-CHS 基準に基づいてフレイル群と非フレイル群の 2 群に分け、年齢は t 検定、性別は Fisherの正確確率検定、QMCCO の合計点は Mann-Whitney の U 検定、下位項目はカイ二乗検定または Fisher の正確確率検定にて群間比較を行った。有意水準は 5%とした。
【倫理的配慮】
本調査は、ヘルシンキ宣言に沿った報告である。本報告は、参加者に測定データの解析について趣旨説明を書面にて行い署名にて同意を得た。また、事業主体である本市担当課にもデータ使用に関する了承を得た。
【結果】
J-CHS 基準による 226 名の内訳は、ロバスト 89 名(48.1%)、プレ フレイル 117 名(44.3%)、フレイル 20 名(7.6%)であった。フレイル群は 20 名(男性 5 名、女性 15 名)、非フレイル群は 206 名 (男性 44 名、女性 162 名)で、年齢には有意差が認められた(p = 0.009)が、性差はなかった。QMCOO の中央値(IQR)は、フレイル群 3.8(2.0-5.8)、非フレイル群 2.0(1.0-3.0)であり有意差が認められた(p<0.001)。QMCCO の不良回答割合は、フレイル群/非フレイル群の順に、Q1 健康状態で 30.0%/8.7%、Q2 心の健康状態で 30.0%/6.8%、Q6 体 重 変 化 で 55.0%/9.5%、Q7 歩 行 速 度 で 95.0%/41.8%、Q9 運動習慣で 80.0%/17.9%、Q15 ソーシャルサポートで 15.0%/1.5%であり、これらに有意差を認めた。
【考察】
メタアナリシスによる本邦のフレイル率は 7.5%、プレフレイル 48.1% と報告されており(Kojima, J Epidemiol, 2017)、本市の通いの場へ参加している地域在住高齢者は、全国レベルとほぼ同様のフレイル率であると考えられる。今回の調査から、本市におけるフレイル高齢者の課題は運動や社会参加であることが示唆され、これらに着目した事業展開を重点に実施する必要がある。
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佐々木 奨之, 田坂 龍太, 遠藤 洋平, 小林 和樹
原稿種別: 口述 2 地域 1
セッションID: O-02-06
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに、目的】
移動機能低下を招くロコモティブシンドローム(以下ロコモ)の予防と早期発見は健康寿命延伸に不可欠である.今回,第 10 回いたばしウォーキング大会参加者を対象にロコモ度と年齢・性別・運動習慣の関連を検討し,地域保健活動の基礎的知見を得ることを目的とした.
【方法】
板橋区主催のウォーキング大会参加者で,調査に同意の得られた 20 歳以上の成人 94 名へアンケートとロコモテストを実施した.測定項目は年齢,性別,身長,運動習慣の有無,日本整形外科学会のロコモ度テストに基づき,立ち上がりテスト,2 ステップテストを実施.ロコモ度を,非該当および該当(ロコモ度 1 以上)の 2 群に分類し,年齢・性別・運動習慣との関連性を検討した.2 つのロコモ度テストで年齢とロコモ該当,非該当群で正規性を確認した結果,正規性を認めなかったため,Wilcoxon の順位和検定で比較,性別・運動習慣とロコモの比率の差はχ2 検定を実施.R v4.4.2 使用.
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言に基づき書面同意を取得し,当院施設倫理審査委員会の承認を得た.
【結果】
平均年齢 55.5±14.3 歳,男性 32 名(34.0%),女性 62 名(66.0%),運動習慣あり 42(44.7%).立ち上がりテストロコモ該当 51 名 (54.3%),2 ステップテストロコモ該当 17 名(18.1%).Wilcoxonの順位和検定で立ち上がりテスト W=843,p=0.0542,2 ステップテスト W=465,p=0.0625,有意差なし.χ2 検定では運動習慣×立ち上がりテストχ2=0.849,p=0.356,運動習慣×2 ステップテストχ =0.048,p=0.827,性別×立ち上がりテストχ2=1.065,p=0.302,性別×2 ステップテストχ2=0.015,p=0.904,いずれも連関なし.
【考察】
年齢・性別・運動習慣はいずれも有意差を認めなかった.他因子を考慮しても年齢がロコモの主要因子とされる報告(Yamada K, 2020)とは異なり,本集団は日常的に活動量が高く年齢では有意差を認めなかった可能性がある.一方,立ち上がりテストでは 54.3%が該当した.年齢に依存せず下肢筋力低下を捉える高感度ツールとされている(Yamada K, 2020).本調査では,活動量の高い集団でも,ロコモ該当者を的確に抽出し得ると可能性があると考える.今後は,住民が自身の状態を把握し,運動教室や生活習慣改善プログラムへ円滑につなぐ仕組みが重要である.本調査は活動量の高い集団を対象に,ロコモテストの有効性と,背景因子に左右されず筋力低下者を抽出できることを確認し,今後の地域保健活動の基礎的知見を得ることができた.
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橋本 拓也, 蜂谷 恭平, 柴田 知輝
原稿種別: 口述 3 神経 1
セッションID: O-03-01
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに】
脳卒中患者の独居退院の可否判断は臨床現場で経験に依存することが多く、客観的な判定基準の確立が求められている。本研究では機械学習手法を用いて、退院時評価情報から独居退院可否を客観的に判別する支援モデルの構築を目的とした。
【方法】
当院回復期リハビリテーション病棟に入院し独居退院を希望した脳卒中患者 106 名を対象とした。目的変数を独居退院可否とし、説明変数には退院時 FIM 運動項目、MMSE、BBS スコア、年齢、介護保険状況、GMT の 6 項目を設定した。モデル構築にはランダムフォレストを用い、5 分割交差検証を実施した。性能評価には AUC、正答率、感度、特異度を用いた。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は倫理審査委員会の承認を得て、対象者の同意を得て実施し、個人が特定されぬよう匿名化と情報管理を徹底した。
【結果】
5 分割交差検証の結果、AUC は 0.842±0.085、正答率は 0.793±0.109 と良好な判別精度を示したが、分割間でのばらつきが認められた。特徴量の重要度では、退院時 FIM 運動項目と BBS スコアが最も高く、MMSE も一定の寄与を示した。
【考察】
本モデルは良好な判別精度を示し、従来の経験的判断を客観的データで補完できる可能性が示された。FIM 運動項目と BBS が重要な予測因子であることは、身体機能とバランス能力が独居生活に重要であることを裏付けている。一方で、認知機能(MMSE)なども一定の寄与を示し、独居生活には多面的な能力が必要であることが示唆された。ただし、サンプルサイズの制約により性能にばらつきが見られるため、今後は多施設での外部検証が必要である。
【結論】
退院時の多面的な評価情報を統合することで、独居退院の可否を客観的に予測できるモデルを構築できた。本モデルは臨床現場での意思決定支援ツールとして活用可能であり、今後は外部検証や他施設データによる汎化性の確認が課題となる。
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内田 武正, 謝敷 宗秀, 山本 哲
原稿種別: 口述 3 神経 1
セッションID: O-03-02
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに】
脳卒中例における運動機能の予後予測には皮質脊髄路(Corticospinal Tract:CST)の損傷程度に関する指標を用いることが有用とされている。Uchiyama Y(2021)は頭部 Computed Tomography (CT)より CST 病変体積を半自動で算出する方法を開発し、回復期リハビリテーション病棟退院時の運動機能と相関関係があることを報告した。この半自動解析方法の信頼性の検討は成されていない。そこで今回の目的は、CT により算出した CST 病変体積の検者内信頼性の検討を行うことである。
【方法】
対象は当院に 2023 年以降に入院した初発の被殻または視床出血例の 10 例とした。CST 病変体積は急性期病院で撮像された頭部 CTを使用し、FMRIB Software Library(FSL)を用いて解析した。患者画像を標準空間に線形変換した後、CT 値が一定以上のボクセルを血腫と定義して二値化した血腫画像を作成した。CT 値の閾値は 40~60 の範囲から、各症例において検者が選択した。血腫画像および JHU ICBM tracts の CST を患者画像空間へ線形変換し、血腫と CST が重複するボクセルから CST 病変体積を求めた。1 名の検者が 1 か月以上の間隔を空けて 2 回解析を行い、測定の再現性は級内相関係数である Intraclass Correlation Coefficient(1,2)〔ICC (1,2)〕により評価した。統計解析は R を使用し、有意水準は 0.05とした。
【結果】
全 10 例の CST 病変体積(ml)は、1 回目が 0.3、1.9、0.8、0.2、 0.0、0.4、2.3、0.1、1.8、0.2、2 回目が 0.3、1.9、0.8、0.1、0.0、0.5、 2.4、0.1、1.9、0.3 であった。ICC(1,2)は 1.00(p<0.01)で、95% 信頼区間は 0.991.00 と非常に高い一致度を示した。
【倫理的配慮】
本研究は当院倫理審査委員会の承認を得て実施した。オプトアウト方式により同意を取得した。個人情報はすべて匿名化し、個人が特定されない形式で解析を行った。
【考察】
CT により算出する CST 病変体積の検者内信頼性は非常に良好であった。そのため CST 病変体積測定の再現性は高いと判断できる。こ れ は、Magnetic Resonance Imaging(MRI)に よ る fractional anisotropy(FA)値を用いた Lewis A ら(2020)の研究と同様の結果であった。CT により算出する CST 損傷体積は、MRI の FA値と同様に信頼性の高い指標であることが示された。
CT を用いた指標の信頼性が証明されれば、一部の施設でしか使用できない MRI に比べて、より多くの臨床現場で簡便に予後予測が可能となる点で、実用的な意義は大きいと考えられる。
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小山田 知弘, 小林 将生, 四元 憲太郎, 齋藤 拓之, 瓦林 毅, 臼田 滋
原稿種別: 口述 3 神経 1
セッションID: O-03-03
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに】
脳卒中患者において麻痺側下肢筋力は歩行や日常生活活動に関連し、重要である。皮質脊髄路の健全性と麻痺側下肢筋力の関連性は十分に検討されていない。本研究は拡散テンソル画像による皮質脊髄路の健全性と麻痺側下肢筋力の関連性を近位筋として股関節屈曲筋力、遠位筋として足関節背屈筋力に分け検討することを目的とした。
【方法】
回復期リハビリテーション病棟に入棟した初発脳卒中患者 50 名を対象とし、 年齢、 性別、Body Mass Index(BMI)、 入棟時の Functional Independence Measure(FIM)認知項目を収集した。入棟時に拡散テンソル画像を撮像し、中脳大脳脚 Fractional An- isotropy(FA)を算出し、損傷側/非損傷側にて FA 比(rFA)を算出した。退院時に Hand Held Dynamometer にて麻痺側と非麻痺側の股関節屈曲、足関節背屈筋力を測定し、麻痺側/非麻痺側にて非麻痺側比を算出した。統計解析は股関節屈曲、足関節背屈筋力の非麻痺側比と中脳大脳脚 rFA との Pearson の相関係数を算出し、従属変数を股関節屈曲筋力および足関節背屈筋力の非麻痺側比、独立変数を年齢、性別、BMI、中脳大脳脚 rFA、FIM 認知項目とした重回帰分析を実施した。有意水準は 0.05 とした。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は老年病研究所附属病院の倫理審査委員会で承認を受け(承認番号 84)、対象者に説明し、書面にて同意を得て実施した。
【結果】
対象の 29 名が女性であり、年齢は 72.9±12.2(平均±標準偏差)歳であった。BMI は 22.9±3.3、中脳大脳脚 rFA は 0.9±0.1、FIM認知項目は 25.4±5.9 点であった。非麻痺側比は股関節屈曲が 0.9± 0.3、足関節背屈が 0.8±0.5 であった。非麻痺側比と中脳大脳脚 rFA の相関係数は、股関節屈曲筋力が 0.64、足関節背屈筋力が 0.61で有意な相関を認めた。重回帰分析の結果、股関節屈曲筋力の非麻痺側比(R2=0.52)は、年齢(標準化β=-0.36)および中脳大脳脚 rFA(0.68)、足関節背屈筋力の非麻痺側比(R2=0.42)は中脳大脳脚 rFA(0.66)のみ有意であった。
【考察】
他の要因を調整した場合であっても、近位筋、遠位筋を問わず、麻痺側下肢筋力と皮質脊髄路の健全性は関連性を認めた。遠位筋には皮質脊髄路の健全性のみ有意な関連を認めたが、近位筋には皮質脊髄路の健全性に加え、年齢が選択され、他の要因が関連する可能性が示唆された。
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福田 京佑, 泉谷 ひかる, 近藤 壮一, 岡田 康佑, 平田 恭子, 小野田 智咲, 甘利 貴志, 坂本 祐太, 宮原 拓也, 濵野 祐樹
原稿種別: 口述 3 神経 1
セッションID: O-03-04
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに、目的】
脳卒中の再発は ADL の低下や要介護状態を招く重大な問題である。再発予防は医療・介護の両面で重要な課題であるが、急性期治療後の退院戦略において、再発リスクが考慮されているかは明確でない。本研究では、退院先の決定因子に脳卒中再発リスクが影響するか検討した。本研究の目的は脳卒中再発予防の視点から退院戦略の実態と問題点を明らかにすることである。
【方法/症例紹介、評価、リーズニング/実践内容、方法】
研究デザインは後方視的研究である。2017 年 4 月~2021 年 3 月に A 病院へ入院した脳梗塞患者 1563 名を対象とした。除外基準は、入院中の死亡、入院前の居住地が医療関連施設、データ不備とし、 1219 名が解析対象となった。脳卒中の再発リスクは Stroke Prognosis Instrument II(SPI-II)により低・中等度・高リスクに層別化した。退院先(自宅または医療関連施設)を従属変数とし、退院時 modified Rankin Scale(mRS)を主な説明変数、共変量として年齢、性別、糖尿病・心疾患など脳卒中の再発リスク因子を加えた強制投入法による多重ロジスティック回帰分析を行った。統計学的有意水準は 5%と設定した。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は所属機関の倫理委員会の承認を受けた後,ヘルシンキ宣言に則り,対象者の個人情報保護に十分配慮して実施した(承認番号:1091)。
【結果/介入内容と結果】
解析対象者のうち自宅群は 914 名、医療関連施設群は 305 名であった。自宅群のうち 78.6%が中等度以上の再発リスクを有していた。全体の解析では退院時 mRS と年齢が退院先を決定する有意な因子であった。SPI-II による層別解析では mRS は全てのリスク層で有意であり、年齢は中等度リスク層でのみ有意であった。脳卒中の再発リスク因子はいずれのモデルでも有意ではなかった。
【考察】
退院先の決定は短期的な機能的自立度に基づいて行われていた。一方、脳卒中の再発リスク因子は退院先の決定に大きな影響を与えていなかった。本研究では自宅へ退院する脳梗塞患者の 78.6%が中等度以上の再発リスクを有していた。急性期治療に携わる医療従事者は一定の再発リスクを認識し、抗血小板薬の処方や外来受診予約を通じて継続的な管理を試みている。しかし、退院後の支援体制には限界がある。したがって、再発予防の視点をより明確にした退院支援体制の整備と地域包括ケアとの連携強化が今後の課題である。
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-改良Frankel 分類C1 から歩行獲得に至った一症例-
塚野 萌香, 野田 悠太, 彦田 直
原稿種別: 口述 3 神経 1
セッションID: O-03-05
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに、目的】
改良 Frankel 分類 C1 に該当する患者が D 以上に回復する可能性は,一定程度報告されている.一方で,改善が得られない症例も少なくない.したがって,改良 Frankel 分類のみで予後を予測するのは難しく,臨床判断に迷うこともある.今回,最終的に杖歩行を獲得した入院時改良 Frankel 分類 C1 相当の症例を経験した.本症例を通じて,急性期病院入院中の高齢脊髄損傷患者における歩行回復に関与した因子を検討した.
【症例紹介、評価、リーズニング】
81 歳女性,受傷前 ADL は自立.X 日,転倒受傷で非骨傷性頚髄損傷(改良 Frankel 分類 C1)と診断され,X+2 日に C3 椎弓切除・ C4-C7 椎弓形成術を施行.初期評価では MMSE23 点,ASIA 下肢筋力スコア(LEMS)16 点,仙髄領域の痛覚は残存していた.家族 (娘)は介護に協力的,患者本人もリハビリテーション(以下,リハビリ)に対して前向きな発言が見られた.患者・家族共に歩行獲得を希望され,最終的には歩行自立を目標に介入をした.
【倫理的配慮、説明と同意】
本報告はヘルシンキ宣言に則り,本人から書面での同意,当院倫理審委員会の承認(症例番号 25-010)を得た.
【介入内容と結果】
X+4 日より離床を開始.寝返りや端坐位練習,下肢筋力強化練習などを実施した.X+14 日には LEMS18 点と向上,感覚障害の改善を認め,回復期病院へ転院調整開始.X+28 日には LEMS21 点まで改善し,車椅子移乗の介助量が軽減した.臀部褥瘡による連続床時間の制限はあったが,肺炎などその他の合併症はなく経過.X+30日に回復期病院へ転院後,X+45 日より長下肢装具を使用した歩行練習を開始.X+116 日で歩行器歩行を獲得し,X+175 日に自宅退院.その後も訪問リハビリを継続し,X+180 日に屋内杖歩行が可能となった.
【考察】
Van らの予後予測スコアでは,LEMS,L3・S1 領域の触覚の有無,年齢が歩行予後に関連する因子とされている.この他にも受傷時の S1 領域の痛覚残存や非骨傷性頚髄損傷であること,受傷後に肺炎の発症がないことが歩行予後の関連因子として報告されている.今回,本症例はいずれの条件にも該当していた.加えて,家族の支援による動機づけも歩行獲得に寄与した可能性があった.これらの身体的・環境的因子が機能回復に寄与した可能性が示唆された.
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篠原 智行, 丸山 歩, 矢花 優太, 上條 美結, 齊藤 翔太
原稿種別: 口述 4 セレクション 1
セッションID: O-04-01
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【目的】
地域高齢者の生活行動範囲は、身体・認知・心理・社会的要因など複数の要因が関連する。なかでも心身機能の検討は多いが、行動意欲や習慣を規定するような性格特性の検討は少ない。本研究では、性格特性を含めた生活行動範囲の関連要因を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は地域高齢者 152 名(平均年齢 76.0 歳、女性 128 名)とした。生活行動範囲は Life-Space Assessment(LSA)、性格は the Japanese version of the Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)にて評価し た。その 他、握 力、大腿四頭筋筋 力、歩行速 度、 Brief-BESTest、Self-Efficacy for Exercise(SEE)、Rapid Dementia Screening Test(RDST)を測定した。欠損値は hot deck 法にて補完した。 解析は構造方程式モデリングを用い、TIPI-J の 5 つの性格特性から 「Personality」という潜在特性を構成した。LSA を従属変数とし、 Personality と各測定項目が LSA に影響を与える構造を仮定した。モ デ ル の 適 合 度 指 標 と し て、Comparative Fit Index(CFI)、 Tucker-Lewis Index(TLI)、Root Mean Square Error of Approximation(RMSEA)、Standardized Root Mean Square Residual (SRMR)を使用した。統計解析には R(version 4.3.1)を用いた。
【倫理的配慮】
本研究はヘルシンキ宣言を遵守して計画され、演者の所属施設の研究倫理委員会の承認を得た(3032、1941、2116、2240、2358 号)。対象者には事前説明を行い、署名同意を得た。
【結果】
中央値は、LSA が 104.0 点、TIPI-J における外向性 4.5 点、協調性 5.0 点、勤勉性 4.5 点、神経症傾向 4.0 点、開放性 4.0 点、Brief-BESTest が 20.0 点、SEE が 49.0 点、RDST が 12.0 点であった。平均値は、握力 24.8kg、大腿四頭筋筋力 0.43kgf/kg、快適歩行速度 1.26m/sec であった。 モデル適合度指標は CFI 0.938、TLI 0.910、RMSEA 0.051、SRMR 0.065 であり、概ね良好であった。LSA と有意な関連を示したのは、年齢(β= -0.472, p<0.001)および Personality(β= 0.687, p = 0.024)であった。Personality の因子構造では、勤勉性と開放性が Personality の形成に強く寄与していた(標準化因子負荷量 > 0.6)。
【考察】
生活行動範囲には、心身機能よりも性格特性が関連することが示唆された。特に、勤勉性および開放性が高い者では、生活行動範囲が広い傾向が認められた。今後は心身機能への介入や性格特性を考慮したアプローチが生活行動範囲に及ぼす影響について、さらなる検証が必要である。
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濵田 大樹, 臼井 直人, 西山 裕貴, 白井 信行, 阿部 義史, 河西 利昌, 作山 晃裕, 篠崎 信人, 山田 洋二, 齊藤 正和
原稿種別: 口述 4 セレクション 1
セッションID: O-04-02
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに】
血液透析(HD)患者の転倒,骨折の発生率は高く,死亡率上昇や医療費増加と関連する.HD 患者において転倒の発生は起立性低血圧など血圧調節異常に関与する可能性が示唆されている.透析関連低血圧(IDH)は HD 患者の主要な合併症であり,心血管系の代償機転の機能不全が関係する.IDH は血行動態不安定性に起因した転倒や骨折と関連する可能性がある.本研究は多施設共同研究により HD 患者の転倒と身体機能,IDH との関連を明らかにすることを目的とした.
【方法】
多施設共同前向きコホート研究(REPnet-HD study)に登録された歩行が自立した HD 患者を対象とした.身体機能は Short Physical Performance Battery(SPPB)により評価した.IDH は連続する 3回の HD 中の最低収縮期血圧(SBP)および最低拡張期血圧を指標とした.1 年間の転倒,重症転倒および骨折発生を追跡した.重症転倒は医師の診察を要した転倒と定義した.転倒発生と身体機能および IDH の関連をロジスティック回帰分析により検討した.共変量は先行研究より転倒に関連することが示されている年齢,性別, HD 歴,BMI, 転倒歴,Alb,iPTH, 糖尿病, 心疾患, 脳血管疾患,認知機能とした.また,転倒タイミング(HD 前,HD 後,非 HD 日,夜間)と重症転倒発生の関連も検討した.
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は研究主幹施設(承認番号:20-017)および各研究実施施設の倫理審査委員会の承認を受けた.
【結果】
HD 患者 503 例(年齢:71[62-77]歳,女性:41.2%,HD 歴:5.3 [2.2-10.4]年)を解析した.503 例のうち,転倒は 146 件(29.0%),重症転倒は 36 件(7.2%),骨折は 25 件(5.0%)であった.転倒発生は HD 後 23 件(15.8%)に対して, 非 HD 日 90 件(61.6%)と大部分が非 HD 日に発生していた.転倒タイミング別の重症転倒発生率は HD 後 52.2%,HD 前 30.8%,非 HD 日 18.9%,夜間 16.7%の順に高かった(P=0.006). 転倒は最低 SBP(オッズ比[OR]: 0.98,95% 信 頼 区 間[CI]:0.97-0.99,P=0.030), お よ び SPPB (OR:0.90,95%CI:0.83-0.98,P=0.020)と有意に関連した.
【考察】
HD 患者の転倒発生は身体機能と IDH の双方と関連した.IDH は心血管系の代償機転の機能不全を反映して転倒発生に関与したと考えられる.また,HD 後の転倒で重症転倒の発生率が高かったことは,重症転倒には IDH がより強く関与する可能性を示唆している.
【結論】
HD 患者の転倒には身体機能と IDH 双方が関連した.
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諸澄 孝宜, 橋川 拓史, 豊島 生貴, 葉桐 涼矢, 乗附 美柚, 福島 楓, 畔上 湧司, 柴田 一輝, 大友 啓暉, 中村 俊文, 寺 ...
原稿種別: 口述 4 セレクション 1
セッションID: O-04-03
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに、目的】
運動恐怖は、疼痛の慢性化やスポーツ復帰の遅延に関与する心理的因子であり、その評価には Fear-Avoidance Model に基づく Tampa Scale for Kinesiophobia(TSK-11)や Fear-Avoidance Beliefs Questionnaire-Physical Activity subscale(FABQ-PA)が用いられてきた。Optimal Screening for Prediction of Referral and Outcome-Yellow Flag(OSPRO-YF)は、TSK や FABQ を参考に開発され、複数の心理的側面を簡便に評価できるスクリーニングツールである。本研究の目的は、運動恐怖の有無を鑑別する手段として、OSPRO-YF 下位尺度が有用であるかを、TSK-11 および FABQ-PA のカットオフ値に基づく分類を用いて検討することである。
【方法】
ACLR 前後の患者 88 名(平均年齢 25.4±11.3 歳)を対象とした。 TSK-11 は 25 点、FABQ-PA は 14 点をカットオフ値として、運動恐怖あり群・なし群の 2 群に分類し、OSPRO-YF の下位 4 指標 (Fear-avoidance、Catastrophizing、Negative mood、Positive coping)について群間比較を行った。ROC 解析により各指標の AUC・感度・特異度を算出しカットオフ値を導出した。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得て実施された(承認番号:2503-023)。すべての対象者に対して文書および口頭で説明し、同意を得た。
【結果】
TSK-11 および FABQ-PA のいずれの分類においても、OSPRO-YF下位尺度のうち Fear-avoidance が最も高い AUC を示し、TSK-11に 対 し て は AUC=0.779、 感 度 78.6%、 特 異 度 70.3% で あ り、 FABQ-PA に対しては AUC=0.700、感度 58.8%、特異度 79.2% であった。両指標に対して共通して、Fear-avoidance のカットオフ値は 5 点であった。
【考察】
OSPRO-YF の下位尺度「Fear-avoidance」は、TSK や FABQ などに基づいて作成されており、両指標の陽性者を的確に抽出できた点は、その構成概念と整合する妥当な結果であった。さらに、両指標に対して同一のカットオフ値が得られたため、OSPRO-YF は運動恐怖の評価に対する利便性が高いと考える。これらの結果から、 OSPRO-YF は TSK や FABQ の代替となり得ると同時に、簡便で臨床応用性の高いスクリーニングツールといえる。
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佐藤 奏子, 山﨑 紗耶, 笹山 夏歩, 豊島 隆太, 後藤 杏南, 毛利 元樹, 浅野 信一, 渡辺 長
原稿種別: 口述 4 セレクション 1
セッションID: O-04-04
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【目的】
脳卒中発症後に National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)を用いて急性期から自宅退院を予測する研究は数多く報告されているが,軽症例において回復期リハビリテーション病棟の必要性を予測する研究は限られている.本研究では,急性期軽症脳卒中患者における自宅退院と回復期病棟への移行を予測するための入院時 NIHSS のカットオフ値を明らかにすることを目的とした.
【方法】
本研究は後ろ向き観察研究であり,2022 年 1 月から 2024 年 9 月までに回復期病棟を併設する二次救急病院 1 施設に入院となった脳梗塞,脳出血患者のうち,入院時の NIHSS が≦8 点,退院先が自宅または回復期リハビリテーション病棟であったものを対象とした.入院前 modified Rankin Scale4 以上,施設入所,再発性脳卒中のものは除外した.NIHSS は担当理学療法士が初回介入時に測定した.主要アウトカムは退院時の転帰先(自宅または回復期病棟)とした.統計学的検定は転帰先に影響を与えうる因子として,年齢,性別,NIHSS 合 計 点,Mini-Mental State Examination, 上 肢・ 下肢・手指の Brunnstrome stage(BRS),同居人の有無について単変量解析を実施した.その後,有意差のあった項目と NIHSS 合計点に対し spearman の順位相関係数にて多重共線性を確認の上,独立変数を選定し,従属変数を転帰先としてロジスティック回帰分析を行った.回帰分析において有意な因子と判断された変数に対して ROC 解析を実施し,Area Under the Curve(AUC)、感度・特異度およびカットオフ値を算出した.全ての解析には SPSS を用いた.
【倫理的配慮】
本研究は倫理委員会の承認を得て実施した.
【結果】
解析対象は 50 例であり,自宅退院群が 35 例(平均年齢 72.2 歳),回復期病棟移行群が 15 例(平均年齢 75.4 歳)であった.単変量解析では BRS(上肢,手指,下肢),NIHSS の合計点で両群間に有意差があった.多重共線性の確認の結果,ロジスティック回帰分析の独立変数には NIHSS 合計点に加えて BRS 下肢を追加し,NIHSS合計点(p=0.01 OR:1.50, 95%CI:1.11-2.02)のみ有意な因子として抽出された.ROC 解析における NIHSS の AUC は 0.77,カットオフ値は NIHSS2.5 点(感度 80.0%,特異度 74.3%)であった.
【考察】
本研究結果より,脳卒中軽症例では従来報告されている NIHSS のカットオフ値よりも低い点数で回復期が必要となる場合があることが示唆された.回復期病棟併設病院での軽症例に対する早期の退院支援において臨床的判断の一助となることが期待される.
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望月 寛太
原稿種別: 口述 4 セレクション 1
セッションID: O-04-05
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに】
回復期リハビリテーション病棟(以下回リハ病棟)では,患者の歩行能力に応じた適切な補助具選定が重要である.今回回リハ病棟入院患者を対象に,FrailCS-10(以下 CS-10),Functional Balance Scale(以下 FBS),膝伸展筋力(体重支持指数:WBI)が病棟歩行自立度に及ぼす影響を検証したので報告する.
【方法】
対象は,令和 7 年 4 月から 6 月までに当院回リハ病棟入院の運動器疾患・廃用症候群患者 37 名(男性 11 名,女性 26 名,平均年齢 78.5±11.8 歳)とした.中枢神経疾患を有する者,および歩行非自立で長谷川式簡易知能評価スケール 20 点以下の者は除外した.対象を,独歩・片杖自立群(Ⅰ群),両上肢支持具自立群(Ⅱ群),歩行非自立群(Ⅲ群)に分類し CS-10,FBS,WBI を測定した.統計処理は 3 群間比較の Kruskal-Wallis 検定と多重比較検定の Steel-Dwass 法を用いた.さらに,群間の判別に有用であった項目で ROC 解析を行い,カットオフ値を算出した.
【倫理的配慮】
ヘルシンキ宣言に基づき,当院倫理審査委員会の承認を得て実施した(湯倫 7-005).
【結果】
3 群間の比較では,CS-10(p<0.001)および FBS(p<0.001)において有意な差を認めたが,WBI に有意差はみられなかった.多重比較の結果,CS-10 はⅠ群とⅢ群間(p<0.001),Ⅱ群とⅢ群間(p< 0.05)で有意差が認められた.FBS はⅠ群とⅡ群間(p<0.01),Ⅰ群とⅢ群間(p<0.001)で有意差が認められた.ROC 解析の結果, Ⅰ群とⅡ群を判別する FBS のカットオフ値は 46 点(AUC=0.89,感度 0.73,特異度 0.88),Ⅱ群とⅢ群を判別する CS-10 のカットオフ値は 2.0 回(AUC=0.85,感度 0.90,特異度 0.73)であった.
【考察】
本研究の結果から,FBS は独歩や片杖での自立,すなわち高いバランス能力が要求される歩行レベルの判別に有用であることが示された.一方,CS-10 は歩行レベルに関わらず歩行自立か否かを判断する上で有用であることが示唆された.特に,両上肢支持具を使用するⅡ群は,低いバランス能力(FBS 低値)を補助具で代償していると考えられ,FBS だけでは評価が難しいケースでも,下肢筋力を反映する CS-10 が 2 回以上可能か否かを確認することで,歩行自立の判別を簡便に評価できる可能性がある.自立の判別には,個々の患者の認知機能や安全性を含めた総合的な評価が不可欠であるが,簡易的な評価が求められる場面の多い臨床において,自立の判別や歩行補助具選定の一助になると考えている.
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竹内 新治, 福田 明, 櫻井 隆之, 渡邊 愛子, 黒田 潤子
原稿種別: 口述 5 実践報告 1
セッションID: O-05-01
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに】
当院では接触予防策として、施設内を「医療エリア(廊下・待合など)」と「患者エリア(病室・診察室・リハビリ室など)」に区分し、PPE(個人防護具)を装着したリハビリテーション(以下、リハ)は患者エリア内に限定して実施することで感染拡大防止に努めている。そのため、病棟廊下での歩行練習を希望する場合でも PPE を装着した状態では実施できず、病室またはリハ室内での歩行練習に限られていた。一方、体調変動のリスクがある患者に対しては、ナースステーションの近く等、応援の呼びやすい場所でのリハ実施が望まれることがある。このような背景から、接触予防策が必要な患者に対しても病棟廊下での連続歩行練習を可能とする方法について療法士から要望が挙がっていた。今回、接触予防策を講じたうえで廊下歩行での歩行練習を実現するため、院内で協議を重ね実施に至った取り組みについて報告する。
【実践内容、方法】
感染対策推進室(以下、対策室)の専門医・認定看護師とリハビリ部門の代表者が複数回協議を行い、以下の 3 点についてトライアル期間を設けて検証した後、全病棟への展開を図った。(1)病棟廊下を一時的に患者エリアとして扱う、(2)実施場所は人の往来が少ない時間帯・場所を選定する、(3)エリア変更が視覚的に周囲のスタッフや患者に伝わるよう工夫する。
【倫理的配慮、説明と同意】
本報告は当院における取組みに関するものであり、個人を特定できる情報は一切含まれていない。
【結果】
トライアルは 1 フロア 2 病棟で行った。実施時には立て看板の設置と感染用ゴミ袋の準備を行い、場所・時間については療法士と病棟看護師が調整して決定した。3 か月間の運用後、対策室にて問題がないことが確認され、全病棟への展開が決定された。展開にあたっては、対策室が感染対策マニュアルを改訂し、院内共通ルールとして関連職種に周知された。
【考察】
今回の取り組みは、感染対策と患者の運動量確保を両立するためのルール構築であり、感染対策に精通した専門家の見解が不可欠であった。対策室との協議を経たことで、各病棟でのルール変更に対して他職種からの異論もなく円滑に導入することができた。今後も定期的な検証を継続し、質の高い医療提供の維持に努めていきたい。
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中島 菜央, 西牧 航躯
原稿種別: 口述 5 実践報告 1
セッションID: O-05-02
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに,目的】
今回,頚椎症性脊髄症によるしびれ感を訴える症例に対し,しびれ同調 TENS を行った.結果,足底のしびれ感の軽減を認めた.また,動的バランス能力の向上を認めたため,介入経過をここに報告する.
【倫理的配慮,説明と同意】
今回の発表にあたり症例と家族には目的を書面にて説明し同意を得た.
【実践内容,方法】
介入対象部位:両足底 電極配置(5cm×5cm の電極):中趾の中足骨遠位部と踵部 モード:TENS 出力モード:コンスタント 周波数:80Hz パルス幅:150μs 出力:自身のしびれと同調した出力(mA) 実施時間:40 分
介入前期 介入内容:しびれ同調 TENS と併用して歩行訓練 GMT: 上 下 肢 3 体 幹 2,FBS:5 点,10MWT: 実 施 困 難, TUG:実施困難,MMSE:23 点,NPSI:自発痛・発作痛・誘発痛 0,異常感覚(ビリビリとしたしびれのような感覚)6
介入中期 介入内容:しびれ同調 TENS と併用して歩行訓練 GMT: 上下肢 3 体幹 2,FBS:16 点,10MWT:9.8 秒(歩行器使用),TUG:18.9 秒(歩行器使用),NPSI:自発痛・発作痛・誘発痛 0,異常感覚(ビリビリとした痺れたような感覚)3
介入後期 介入内容:しびれ同調 TENS と併用して歩行訓練 GMT: 上 下 肢 4 FBS31 点 10MWT:23.4 秒(Q-cane 使 用), TUG:18.3 秒(Q-cane 使用),MMSE27 点,NPSI:自発痛・発作痛・誘発痛 0,異常感覚(ビリビリとしたしびれのような感覚)3
【結果】
NPSI の異常感覚(ビリビリとしたしびれのような感覚)の項目は入院時 6 から退院時 3 に変化した.上下肢の痺れの優劣を表したところ,入院時は上肢<下肢であったが,退院時は上肢>下肢へと変化した.下肢のみでしびれの優劣を表したところ,入院時は大腿<下腿<足底であったが,退院時は大腿>下腿>足底へと変化した. TENS の電気刺激を認識する閾値が低下した.介入前期では初期閾値 75mA であった.介入後期では初期閾値は 20mA で認識が可能になった.感覚検査の結果より,表在感覚の改善を認めた.深部感覚の改善は認めない.動的バランス評価の向上は認めた.
【考察】
しびれ同調 TENS とはしびれ感に電気刺激を同調させる事で,しびれ感固有の感覚神経を選択的に遮断するもの.それによってしびれ感が減弱する可能性があり,加えて脊髄広作動域ニューロンや感覚皮質への入力が低減し,過剰興奮が抑制され,それの持ち越し効果で及ぶ結果と考えられている.しびれ同調 TENS を実施した足底へのしびれ感の減少が他部位と比較して顕著に認めた.また,足底のしびれ感の軽減に伴う動的バランス能力の向上の一助となったと考える.
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平野 飛鳥, 吉田 由季
原稿種別: 口述 5 実践報告 1
セッションID: O-05-03
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに】
犬や猫の愛玩動物は,飼育者の健康意識の高まりや獣医療の発展に伴い平均寿命が年々上昇している.国内では高齢動物におけるリハビリテーション(以下リハビリとする)についての報告はほとんどされていないが,加齢に伴う変化が起こることは分かっており,高齢動物でもフレイル予防の観点は重要だと考える.理学療法士が動物について学ぶことを前提に獣医療に参画していくことで,愛玩動物と家族の生活の質を向上することができるのではないだろうか.当院は関東・関西・九州・沖縄で展開するグループ病院に属しており,まずは関東のグループ病院よりリハビリの普及を目指し,2024年 8 月より活動を開始した.高齢動物のリハビリは特に需要があることが明らかとなったため,ここに報告する.
【実践内容】
2024 年 8 月より 1 次診療施設の 5 施設と 2 次診療施設の 1 施設に普及活動を行った.リハビリに関するトークルームの作成,挨拶まわりを実施.活動当初は獣医師から適応症例が分からないという意見があり,勉強会の実施,指示書やシニア向けチェックリストや広告の作成を行い,2024 年 11 月より依頼があった施設に訪問を開始した.
【説明と同意】
本報告は当院の取組みに関する内容であり,個人を特定するような情報は含まれていない.
【結果】
活動開始から 3 か月ほどで介入依頼があった.2025 年 5 月までに 11 症例の犬(高齢犬のケア 6 例,椎間板ヘルニア 3 例,脊髄空洞症 1 例,レッグペルテス術後 1 例)の介入に至った.獣医師,愛玩動物看護師と共に飼い主同席のもとリハビリを行った.飼い主から喜ばれ,獣医師からも需要があった.
【考察】
かかりつけ医とされる 1 次診療施設では高齢動物の相談が多かった.高齢動物のリハビリは特に需要があるといえるが,獣医師や愛玩動物看護師が担っている業務は多岐にわたり,リハビリに割く時間や人員の確保が難しい.教育機関においてもリハビリを学習する機会も少なく,理学療法士が協働して獣医療に介入していくことで,それらを解消していきながら普及していくことができるのではないかと考える.当施設における普及活動は始まったばかりである.人に対する理学療法で得られた知見を応用しながら更に獣医療の発展に寄与していきたい.
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渡邊 龍馬, 宮下 正彦, 武井 諒太, 平賀 篤
原稿種別: 口述 5 実践報告 1
セッションID: O-05-04
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに、目的】
産業現場において労働者の健康管理は重要な課題であり、特に製造業などの肉体労働が伴う職場では、身体的負荷による腰痛や転倒などの問題から労働生産性の低下や離職率の増加につながる可能性がある。さらに予防的認識は個々で大きく異なり、身体的問題が軽微な場合は受診せず、業務遂行が困難となった時点で初めて受診を予定する労働者も一定数存在する。その場合、治療期間の長期化や後遺症の残存など労働生産性を低下させる大きな要因になり得る。このような状況の改善を目指すべく、定期的な身体機能チェックと身体的リスクの早期発見ならびに予防指導を実施した。その実践内容を報告する。
【実践内容、方法】
対象は山梨県の A 工場(電機系製造業)に勤務する全職員(約 100名)である。理学療法士が主体となり、取り組みを実施した。具体的な内容は、1)年 1 回の雇用者身体機能チェック(柔軟性、バランス能力、筋力評価等)と健康管理に対する意識確認、2)予防指導として①個別面談と体操指導、②全体講義による腰痛予防教育、 ③職場環境巡視による作業姿勢や動作の評価と助言である。これらの取り組みを 2 年間継続的に実施した。取り組み前後の腰痛などの訴えの変化をアンケートおよび面談記録により把握した。
【倫理的配慮、説明と同意】
本取り組みの実施に際しては、事前に対象者に目的と内容を説明し、自由意思に基づく参加同意を得た。また、身体機能評価および面談など個人情報に関わるデータは厳重に管理した。
【結果】
これまで実施していなかった身体機能チェックを年 1 回取り入れることで、身体機能変化を視覚化することが可能となった。また身体機能を把握することで自身の健康管理に対する意識変化が認められた。予防指導でも健康管理に対する意識が向上したほか、身体的リスクの早期発見が可能となった。対象者からの主観的評価において、腰痛や身体的不調を訴える頻度や転倒回数は実践前に比べて明らかに減少した。
【考察】
本取り組みは産業現場における身体的問題の軽減や予防に一定の効果を示した。特に身体的リスクの早期発見は、労働生産性の維持に直結しただけでなく、対象者自身の身体に対する意識を高め、職場環境の改善にも寄与したと考える。今後アウトカム指標を基にした客観的変化を報告する予定である。
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八木野 孝義, 松田 悠嗣, 波呂 浩孝
原稿種別: 口述 5 実践報告 1
セッションID: O-05-05
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに、目的】
リハビリテーションでは離床早期の歩行訓練や立ち上がり訓練で平行棒を利用する事が多い。その際、平行棒内で膝折れを起こししゃがみ込む患者や平行棒の途中で体力低下により動けなくなる患者を経験する。このような事態に備える為、安全に平行棒内歩行ができる歩行補助具ができないかと考えていた。山梨大学 融合研究臨床応用推進センターからリハビリテーション部へ臨床現場における医療機器ニーズの提案依頼があり、上記の機器の提案を行った。その後企業側と共同し試作品を作成、山梨大学と企業で共同特許出願に至った。 特許出願済み(特願 2025-002142 号) 今回平行棒内での歩行補助具の開発経緯と、今後の展望について報告する。
【実践内容】
2023 年 3 月山梨大学 融合研究臨床応用推進センターの医療機器産業技術人材育成講座から当部へ医療機器のニーズ提供の依頼があった。療法士一人で装着が簡便にでき平行棒内での転倒防止用歩行補助具の提案を行った。受講生であった株式会社 市村製作所アイドラス株式会社 株式会社ミヤケファブリカらの社員が共同して試作品をつくり 2024 年 1 月に修了発表会で披露した。機器の概要は下半身ハーネスタイプで患者に腰部ベルトを装着し、そこから大腿ベルトを両鼠径部から後方へまわし両方の平行棒へベルトを固定する。膝折れ時には大腿ベルトが臀部を支え転倒を防ぐ。また歩行中、大腿ベルトに腰かける事で休憩も可能である。企業側は開発を進め商品化を目指す意向があり、山梨大学と共同出願契約を締結し特許申請を行った。7 月現在特許査定通知が届き、8 月以降特許取得済みとなる予定である。
【考察】
歩行訓練の既存の補助機器としては懸架式歩行補助機器がある。ただ大型で高価な機器となり装着に手間がかかったりする。平行棒内と限定的ではあるが簡便な歩行補助具という臨床現場でのニーズを今回具現化できた。本機器は医療現場だけでなく、簡便に平行棒内での歩行訓練中の転倒防止に繋がり、作成費も安価のため介護施設などでも需要が見込める。企業側にて展示会等での周知活動も同時に進めており今後、商品化を目指し開発している。
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桂田 功一, 大沼 雄海, 神居 寧, 中島 遥人, 小林 愛美, 久保田 智之, 寺尾 友佑, 三小田 桃子, 高橋 仁
原稿種別: 口述 6 神経 2
セッションID: O-06-01
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに】
上肢運動野に対する反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)および集中的リハビリテーション(以下、リハ)治療を行った症例において歩容の改善を認めた。上肢領域に隣接する股関節領域の運動野への賦活を考慮し運動療法を実施した経過を報告する。
【症例紹介】
症例は 6 年前に右被殻出血を発症した 60 歳代男性で、左下肢全体に中等度の痺れと疼痛、左下肢 Brunnstrom Recovery StageⅤの運動麻痺、膝関節屈筋・足関節底屈筋に Modified Ashworth Scale 1~1+ の筋緊張亢進を認めた。油圧式足継手短下肢装具と T 字杖を使用し屋外歩行が自立していた。今回、rTMS および集中的リハ治療目的に入院した。rTMS を右上肢一次運動野に対し 10Hz・ 2400 発/日、作業療法を 80 分/日で 12 日間、理学療法を 40 分/日で 10 日間実施した。移動能力に関する HOPE は「1km を楽に歩きたい」であった。
【倫理的配慮】
本症例報告はヘルシンキ宣言に則り行った。また、本報告の趣旨を患者本人に説明し、書面にて同意を得ている。なお、rTMS はリハ科医師が実施した。
【介入内容と結果】
理学療法では快適歩行における歩幅を考慮した歩容改善を目的に、下部体幹から臀部の筋強化トレーニングと、肩甲帯から上部体幹の自動運動および歩行練習を実施した。結果、Fugl-Meyer Assessment(運動)は介入初期上肢 37 点下肢 21 点から最終評価時上肢 39 点下肢 22 点、Action Research Arm Test は、介入初期には把持 1 握力 4 つまみ 0 粗大 4 点、最終評価時把持 1 握力 3 つまみ 0 粗大 5 点であった。裸足での 5m 快適歩行において、介入初期には 13 歩 9.06 秒を要したが最終評価時には 11 歩 7.61 秒となった。麻痺側の Gait Assessment and Intervention Tool は介入初期 26 点から最終評価時 24 点(股関節伸展および足関節の動作点数が向上)となった。Open Pose を活用した動作解析の結果、歩行中最大の麻痺側の Trailing Limb Angle(以下、TLA)は介入初期 25.7°、最終評価時 28.7° となった。
【考察】
rTMS と併せて集中的リハ治療を実施した結果、歩容の改善を認めた。上肢運動野への高頻度 rTMS により、肩を中心とした上肢粗大機能のみならず、上肢領域と隣接する股関節領域の運動野が副次的に賦活された可能性がある。さらに、体幹および下肢中枢部に対する運動療法により、歩行中の Mid Stance から Terminal Stanceにおける股関節可動範囲が拡大し、結果として TLA が向上したものと考える。
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鶴﨑 陽介, 加藤 宗規
原稿種別: 口述 6 神経 2
セッションID: O-06-02
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
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【はじめに,目的】
片麻痺者の歩行では杖,麻痺側,非麻痺側の順に出す麻痺側先行 3動作揃え型が最も多く採用されており,とくに麻痺が重度の場合に行われる。当院では非麻痺側先行前型歩行などを併用し,比較しながら進めている。今回,重度片麻痺の一症例を対象に様式の違いが歩行効率に及ぼす影響を検討した。
【症例紹介,評価,リーズニング】
70 歳代男性,脳梗塞右片麻痺。32 病日の SIAS 合計 46 点,上肢運動 1-0,下肢運動 2-1-0,座位可能,手すり把持で立ち上がり・立位可能,歩行は長下肢装具(足尖部に紙を巻く),非麻痺側靴底補高 (前足部と踵部に分けて 1cm 補高),四点杖にて見守りであった。トイレ動作は介助であった。歩行は麻痺側先行 3 動作揃え型が麻痺 側振り出しに過剰な努力を要していたため,他の様式も併用し 3 つの様式での歩行を比較した。
【倫理的配慮,説明と合意】
対象者に測定の目的,方法を説明し,書面にて承諾を得たのちに測定を行った。当院研究倫理審査委員会の承諾を得た(番号:1614)。
【介入内容と結果】
理学療法は 1 日 3 単位行い,歩行練習のほか関節可動域運動,非麻痺側下肢筋力増強運動,立位での荷重・ステップ練習を行った。歩行は麻痺側先行 3 動作揃え型(麻痺側先行揃え型)以外に,非麻痺側先行 3 動作揃え型(非麻痺側先行揃え型),非麻痺側先行 3 動作前型(前型)の 3 種を練習した。歩行評価は 10m 至適速度歩行を 1 日 2 種,理学療法の開始と終了時にランダムに行った。そして, Physiological Cost Index(PCI)を算出した。歩行時間,PCI について,Kruskal-Wallis 検定とMann-Whitney U test を用い,有意水準を 5%として Bonferroni による調整を行った。32-53 病日中の 13日の測定における中央値は,麻痺側先行揃え型(7 回)/非麻痺側先行揃え型(7 回)/前型(12 回)の順に,歩行時間が 75.93 秒/66.47秒/57.91 秒で前型が麻痺側先行揃え型より有意に低値,PCI が 1.17/0.83/0.62 で前型が麻痺側および非麻痺側先行揃え型歩行より有意に低値であった。なお,測定最終日での SIAS に変化は認めなかった。
【考察】
重度片麻痺患者において,歩行時間,PCI とも通常選択される麻痺側先行揃え型より非麻痺側先行前型が速度や効率の面で有効である可能性がある。
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飛﨑 智哉, 三木 啓嗣
原稿種別: 口述 6 神経 2
セッションID: O-06-03
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに、目的】
脳卒中は長期的な治療計画になりやすく、予後予測の重要性は高い。急性期からの予後予測として、Time to Walking Independently after STroke(以下TWIST)ツールが提唱されている。TWISTツールとは、発症 1 週間での年齢、MRC、BBS の 3 つの項目で歩行自立度を予測し、発症早期から簡潔に評価することができる。しかし、臨床場面への実装が進んでいない現状である。今回、 TWIST ツールを用いた発症早期からの予後予測により基本動作練習を中心に介入し介助量軽減した被殻出血症例を報告する。
【症例紹介、評価、リーズニング】
病前 ADL 自立の 70 歳代男性。異常行動、不明言動を認め救急要請し、右被殻出血と診断され入院となった。7 病日に症状が安定し安静制限解除となり介入開始し、22 病日に回復期病院へ転院となった。 初期評価は、NIHSS10 点、SIAS 上下肢 4、左膝伸展MRC3、BBS5点、SCP4 点(全項目で加点)、BI5 点、FAC1 であった。また、左半側空間無視や注意機能低下、自発性低下を認めた。基本動作や歩行に中等度介助が必要であり、特に移乗や方向転換での回転動作に介助を要した。 リーズニングでは、前頭葉機能低下や Pusher 現象による姿勢異常により、介助量が増加していると考えた。TWIST スコアは 2 点であり、将来的には歩行獲得可能だが、早期獲得は困難であると予測した。そこで LTG(9 週間)を歩行自立、STG(3~4 週間)を基本動作の介助量軽減、ADL 向上とし、基本動作練習を中心に介入した。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言を遵守し、個人情報の保護に配慮し、本人及び家族へ説明し書面にて同意を得た。
【介入内容と結果】
1 週目は、自発性低下の改善を目標に立位練習や歩行練習を中心に介入した。2 週目から姿勢異常改善と基本動作の介助量軽減を目標に、重心移動練習や基本動作練習を中心に介入した。 最終評価は、SIAS 上下肢 4、MRC 四肢 4、SCP4.5 点、BI35 点、 FAC1 であった。基本動作は監視から軽介助、移乗動作のみ中等度介助、歩行には中等度介助が必要であった。
【考察】
TWIST ツールは経験に基づく予測より歩行獲得期間の予測の正確性が高いと報告がある。今回、早期に歩行獲得期間が予測できたことで、基本動作練習を中心に介入し、ADL 向上や介助量軽減に繋がったと考える。TWIST ツールを用いることは、療法士の経験年数やリーズニング能力に左右されず、効果的な目標設定や治療方針の意思決定の支援に有用であった。
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神居 寧, 大沼 雄海, 桂田 功一, 髙橋 仁
原稿種別: 口述 6 神経 2
セッションID: O-06-04
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに】
脳卒中症例において,歩行の左右対称性が破綻しやすい.今回反復的経頭蓋磁気刺激(以下 rTMS)と集中リハビリテーション目的で当院に入院した慢性期脳卒中症例に対して理学療法を実施した.歩行の対称性を反映するとされるCenter of Pressure(以下COP)の軌跡に変化を認めたため,以下に報告する.
【症例紹介】
症例は 70 代女性で,右視床出血発症から約 4 年経過していた.左片麻痺が残存し,運動麻痺は Fugl Meyer Assessment 上肢 33 点,下肢 21 点で,感覚機能に左右差は認めなかった.歩行は T 字杖と油圧制動式短下肢装具を使用し,屋外修正自立であった.Hope は 「左右バランスよく歩きたい」であった.
【倫理的配慮】
本発表はヘルシンキ宣言に則り,本人より同意を得て実施している.
【介入内容】
rTMS は右一次運動野上肢領域に 10Hz で 1 日 2400 発,リハビリテーション科医師により実施された.理学療法は,麻痺側関節可動域訓練(以下 ROMex),歩容改善に向けた麻痺側荷重練習,ステップ練習,歩行練習を中心に 1 日 40 分実施した.rTMS、理学療法は 12 日間実施された.
【評価と結果】
入院初日に初期評価,最終日に最終評価を実施した.左右対称性の指標として,足圧解析機能付きトレッドミル(Zebris 社)を使用し,安定して歩行可能な快適速度で,歩行時下 COP を 30 秒間測定した.その他に 5m 歩行速度,麻痺側腓腹筋の Modified Ashworth Scale(以下 MAS)を測定した.初期評価時の麻痺側単脚支持期の COP 移動距離は 18.7±6.9mm,COP の軌跡で構成される蝶型の交差点は,正中位から 38.1±20.2mm 麻痺側に位置していた.5m 歩行速度は快適:0.64m/s, 最大:0.70m/s,MAS は 1+であった.最終評価時の麻痺側単脚支持期の COP 移動距離は 28.7 ±11.2mm, COP の交差点は正中位から 11.1±25.3mm 麻痺側に位置していた.歩行速度は快適:0.65m/s,最大:0.71m/s,MAS は 1 であった.
【考察】
12 日間の rTMS,理学療法を経て,麻痺側単脚支持期の COP 移動距離は延長し,COP の交差点は正中方向に近づいた.足関節 ROMex,麻痺側荷重練習およびステップ練習により足関節ロッカー機能が向上したことで,COP 移動距離が延長,COP の交差点の偏位 (麻痺側方向)が軽減し,歩容の左右対称性が改善したと考えられる.また,上肢への高頻度 rTMS が下肢の運動機能に影響を及ぼすことも報告されており,本症例でも COP 移動距離延長,COP の交差点の偏位の改善に影響した可能性が考えられる.
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小薗江 悠弥, 仲田 綾奈
原稿種別: 口述 6 神経 2
セッションID: O-06-05
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに】
今回,脳梗塞を発症し右片麻痺を呈した症例に対して,下肢装具を用いた反復的な立位・歩行訓練により接触介助にて片手すり歩行を獲得したため報告する.
【症例紹介,評価】
属性:80 代男性.現病歴:X 年 Y 月 Z 日,右片麻痺を認め,前医受診し,頭部 MRI にて左内包~放線冠にかけて脳梗塞を認め入院. Z+26 日当院へ転院となりリハビリ開始.
〈初期評価 Z+27~35 日〉右 BRS: 上肢Ⅱ, 手指Ⅰ, 下肢Ⅱ~Ⅲ (足趾の随意運動は可能).TCT:36 点.ROM(R/L): 足背屈 (膝伸展位)0°/0°.MMT(R/L):腸腰筋 1/3,中殿筋 1/2,大殿筋 1/1,大腿四頭筋 1/3,前脛骨筋 2/3.歩行観察:KAFO 歩行 2 人介助,歩行周期全体で後方への倒れ込みあり,後方より下肢振り出し全介助.
〈最終評価 Z+81~86 日(変化点のみ記載)〉右 BRS:上肢Ⅲ,手指Ⅳ, 下肢Ⅴ.TCT:49 点.MMT(R/L): 腸腰筋 3/4, 中殿筋 2/3,大殿筋 2/2,大腿四頭筋 2~3/4,前脛骨筋 3/3.歩行観察:SHB 歩行接触介助,下肢振り出し自力で可能,後方への倒れ込み及び反張膝軽減.
【倫理的配慮】
発表に際して本人・家人に同意を得た.
【介入内容と結果】
Z+28 日平行棒内にて KAFO 歩行訓練開始.Z+54 日平行棒内にて SHB 歩行訓練開始.反張膝出現.Z+63 日 kneeling やステップ動作訓練開始.Z+66 日下肢振り出し自力で可能.Z+71 日 SHBと下腿の間にタオルを入れ背屈角度を調整.歩行周期全体で後方への倒れ込み及び反張膝軽減.Z+81 日平行棒内にて SHB 歩行接触介助.
【考察】
才藤らは KAFO を用いた訓練効果として,麻痺側下肢の支持性を補償し,運動方向を制限することで,運動難易度を調節し,効率的な運動学習と身体機能の改善に繋がることを報告している.また Hesse らは短下肢装具使用により歩行の安定,振り出しの対称性,歩行速度の改善が得られると述べている.今回,下肢装具を用いた反復的な立位・歩行訓練により,姿勢反応を通じた体幹筋への刺激入力が体幹の安定性を高め,その上で振り出し訓練を行ったことが下肢・体幹の協調性向上及び運動学習を促進し,振り出し改善に寄与したと考える.また,体幹アライメント改善や大腿四頭筋の筋力が向上したことに加え,装具の調整により立脚中期から後期にかけて前方への重心移動が促進したことが反張膝軽減に繋がったと推察した.これらのことから,下肢装具の導入と運動戦略の構築が脳卒中患者の歩行能力向上に有効である可能性が示唆された.
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田中 奈津, 松浪 有彩, 小林 愛梨, 下田 友樹, 藤牧 純, 篠原 智行
原稿種別: 口述 7 ビギナーズ
セッションID: O-07-01
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【目的】
超高齢化社会において、いかに健康に生活するだけではなく、いかに満足して生きるかも重要である。我々は生活の満足度にはフレイルや個人の性格が関連しているという仮説を立てた。そこで、本研究では生活満足度とフレイル、性格との関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は地域高齢者 81 名(平均年齢 77.0 歳、女性 55 人)とした。生活満足度の評価にはLife Satisfaction Scale(LSS)を用いた(Shimada H, Front Psychiatry, 2020)。LSS は、日頃の生活における①自分の健康、②経済状況、③家、④家族・親戚との付き合い、⑤自分の時間、⑥自分の役割、⑦友人との付き合い、⑧地域環境、⑨近所付き合い、⑩日本の政治、⑪社会保険、⑫自身の人生、⑬心の健康の 13 項目についての満足度を 4 点法で回答する指標であり、得点が高いほど生活満足度が高いことを示す。フレイルは J-CHS、性格は the Japanese version of the Ten Item Personality Inventory (TIPI-J)にて評価した。 J-CHS に基づいてロバストと非ロバストに群分けし、LSS 合計点と下位項目(Bonferroni 補正あり)については Mann-Whitney の U検定にて群間比較を行った。LSS と TIPI-J の 5 つの性格特性の関係については Spearman の順位相関係数を算出した。有意水準は 5%とし、統計解析には jamovi(version2.6.26)を用いた。
【倫理的配慮】
本研究はヘルシンキ宣言を遵守して計画され、演者の所属施設の研究倫理委員会の承諾を得た(2457 号)。対象者には参加同意書に署名を得たうえで測定を実施した。
【結果】
ロバストは 42 人、プレフレイルは 35 人、フレイルは 4 人であった。LSS の中央値は全体で 39.0 点、ロバスト群で 40.0 点、非ロバスト群で 38.0 点であった。ロバスト群、非ロバスト群において、 LSS 合計、および下位項目ともに有意差は認められなかった。 LSS と TIPI-J の関連については、神経症傾向以外の 4 項目で有意な相関が見ら れ、勤勉性で最も相関が強かっ た(rs=0.34、 p<0.05)。
【考察】
仮説とは異なり、J-CHS にて評価された身体的フレイルの状態は生活満足度には影響を及ぼさないことが示唆された。勤勉性が高い高齢者は、日々の日課を守りながら生活していることなどが想定され、生活満足度が高い可能性がある。また、生活満足度は、身体的機能よりも心理状態や生活環境の影響を受けると考えられる。そのため、今後は生活満足度と精神・心理的、社会的フレイルとの関係について検討していく必要がある。
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今野 涼佳, 飯塚 壮太
原稿種別: 口述 7 ビギナーズ
セッションID: O-07-02
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【目的】
脳卒中後の深部感覚障害は,運動学習を阻害し,歩行能力の回復を困難にする要因の一つである.特に歩行中に麻痺側下肢の位置や関節運動を正確に知覚できないことは,麻痺側への荷重を妨げ,結果として歩行速度の低下につながると報告されている.このような感覚障害に対し,これまで視覚や聴覚によるフィードバック(以下: FB)を活用した動作再学習の有効性が示されている.しかし,注意障害を併発する症例では,それらの FB の活用が困難な場合がある.近年,足圧情報を骨盤帯に振動刺激としてFB 可能な装置(Arbre)が開発され,臨床応用が行われている.過去に立位下での重心動揺を振動刺激による FB にて改善が得られたと報告されているが,現在歩行への影響は明らかにされていない.そこで本研究は,深部感覚障害により歩行速度の低下を呈した症例に振動触覚 FB を活用し,歩行に対する効果を明らかにすることとした.
【症例紹介】
60 代男性.深部感覚障害により,歩行中「足の動きが分からない」等の訴えがあった.非麻痺側荷重が優位な歩容であった.
【倫理的配慮】
ヘルシンキ宣言に基づき対象者に説明し同意を得た.
【介入内容と結果】
Arbre は足圧センサ付きシューズと振動ベルトで構成され,足圧情報を振動により FB する装置である.足圧に応じて振動の強弱が変化するように設定し,振動刺激は右下肢の踵接地時と蹴り出し時とした.事前検証にて,Arbre の有無で歩行時の左右足圧平均差を比較したが 28.8hPa の左右差減少がみられた.(非着用時:39.3hPa,着用時:10.5hPa). 訓練内容は Arbre 使用下で,麻痺側下肢 Step 訓練を 20 回×3 セット,歩行訓練を 5 分×2 セット,14 日間実施.評価は下肢 FMA, 10m 歩行テストにおける最大歩行速度,TUG,左右足圧平均差とした. 介入前/介入後の順に示す.下肢 FMA(点)22/22,最大歩行速度 (m/s)0.41/0.74,TUG(s)21.48/13.56,左右足圧平均差(hPa)39.3/5.45.
【考察】
最大歩行速度,TUG,左右足圧平均差に良好な変化を認めた.歩行速度,TUG は先行研究で報告されている臨床的に意義のある最小差を超える変化をもたらした.その要因として,障害された下肢の感覚を腰からの振動刺激として代償し,歩行中の姿勢制御に影響を与えた可能性が考えられる.また,振動刺激下での訓練により,運動学習が促され,歩行速度の向上がみられた.
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濵田 海星, 秋月 千典
原稿種別: 口述 7 ビギナーズ
セッションID: O-07-03
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに、目的】
理学療法の臨床において対象者の動機づけの状態は、運動療法の効果を左右する重要な要因である。先行研究では、成功基準の厳しさが対象者の動機づけや運動学習に影響を与えることが明らかにされているが、失敗基準の効果はこれまでに解明されていない。本研究では、課題遂行成績に対する判断基準(成功・失敗)が対象者の内発的動機づけと運動学習に与える影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
健常若年者 34 名が目標点に向かってお手玉を投げる運動課題を実施した。お手玉の投げ方は非利き手での下投げとし、対象者から着地点が見えないように、対象者と目標点の間にパーティションを設置した。目標点と着地点の乖離距離に応じて得点を与えた(最大 10 点)。対象者は得点が 7 点以上で「成功」と伝えられる成功基準群と、6 点未満で「失敗」と伝えられる失敗基準群のいずれかに無作為に振り分けられた。実験はプレテスト、練習試行、練習終了 24 時間後の保持テスト、重量の異なるお手玉を使用する転移テストで構成した。練習試行でのみ毎試行後に課題得点と成功あるいは失敗についての情報を与えた。練習試行終了直後に内発的動機づけ尺度と課題遂行によって生じる精神的負担感(NASA-TLX)を測定した。統計解析では、課題遂行成績、内発的動機づけ尺度得点、 NASA-TLX 得点に対する群間比較を実施するとともに、保持・転移テストにおける課題得点と内発的動機づけ尺度および NA- SA-TLX の偏相関分析を実施した。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき、対象者には事前に本研究の内容について口頭および書面で説明し、同意を得た。
【結果】
両群においてプレテストと保持・転移テストの間で課題得点の有意な上昇を認めたが(ps<0.001)、有意な群間差は認められなかった。内発的動機づけ尺度の得点に有意な群間差は認められなかった。 NASA-TLX では、成功基準群の精神的負担(p =0.018)および身体的負担(p=0.029)は失敗基準群よりも有意に高値であった。偏相関分析の結果、基準の性質によって保持・転移テストの課題得点と関連する要因が異なることが示された。
【考察】
本研究の結果、判断基準の性質は対象者の内発動機づけや運動学習に直接的な影響は与えないものの、精神的負担感に異なる影響を与えることが明らかとなった。また、対象者の特性によって効果的な判断基準が異なることが示唆された。
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近藤 研太郎, 奥田 蒼太, 上村 春花, 唐澤 築史, 長井 心, 廣居 世渚, 樋口 大輔, 高橋 裕子
原稿種別: 口述 7 ビギナーズ
セッションID: O-07-04
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【はじめに、目的】
健常者において視覚誘導性自己運動錯覚を用いた介入(Vection 介入)により運動イメージ関連領域の神経活動が促進されることが報告されているが、実際の運動や運動イメージの改善に及ぼす効果は十分に解明されていない。そこで、本研究では、健常大学生において、足部の反復円運動に対する Vection 介入が足部運動の滑らかさと足部の運動イメージに与える影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】
A 大学理学療法学科学生 30 名(男子 15 人、女子 15 人、年齢 20~ 22 歳)を対象とした。運動課題は足部の反復円運動とし、苦手側 (滑らかさが劣った側)に実施した。Vection 介入として得意側の足部反復円運動を左右反転させた動画を 5 分観察させた。評価項目は①加速度逸脱係数(運動の滑らかさ)、メンタルローテーション (MR)課題の②正答数、③完答時間とし、Wilcoxon の符号付順位検定を用いた。加速度逸脱係数とは、運動課題中に母趾先端に装着したマーカーの前額面上の位置変位から、2 次元動作解析ソフト (Kinovea)を用いて算出した加速度データ(8 秒間・240 点)の二乗平方根を算出したものとした。有意水準は p=0.05 とした。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には、本研究の目的と方法を書面および口頭にて説明を行った。個人情報や得られたデータの取り扱いには十分に配慮し、研究の目的以外には使用しないことを説明し書面にて同意を得た。
【結果】
加速度逸脱係数は介入前後で有意な差はなかったが(介入前: 1.390±0.761m/s2、 介 入 後:1.301±0.665m/s2、p=0.376、r= 0.114 [95% 信頼区間-0.137~0.352])、MR 課題の正答数(介入前 22.5± 1.7 個:、介入後 23.4±1.1 個、p=0.007、r=-0.348[-0.110~-0.549])、完答時間(介入前:51.2±13.8 秒、介入後:43.9±11.5 秒、p<0.001、 r=0.566[0.370~0.713])には有意な差があった。
【考察】
Vection による視覚や前庭覚、固有受容感覚に限定されたフィードバックは、本研究課題のような精緻な運動制御が要求される反復円運動を円滑にするには不十分だった可能性があった。一方、Vec- tion で誘発された視覚情報は後頭葉で処理された後、頭頂連合野で前庭覚、固有受容感覚と統合され、運動錯覚が起こり、運動イメージが向上したことで MR 課題の成績向上に寄与したと推察した。
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石井 大悟, 大島 奈緒美, 松井 剛
原稿種別: 口述 7 ビギナーズ
セッションID: O-07-05
発行日: 2025年
公開日: 2026/02/10
会議録・要旨集
フリー
【目的】
脳卒中後の重度片麻痺患者において、立ち上がりや移乗動作の獲得は、日常生活の自立度に大きく影響する。とくに重度麻痺では身体機能の制限に加え、認知的要因や学習方略の在り方がリハビリ成果に関与する。応用行動分析の視点に基づく介入技法の一つであるプロンプトフェイディングや、動作全体を通して訓練する総課題提示法は、必要最小限の介入にとどめつつ、自発的な遂行能力を高める有効な手法とされる。本研究では、これらの技法を立ち上がりおよび移乗訓練に応用し、その効果を一症例にて検討した。
【症例紹介、方法】
対象は、インフルエンザ肺炎に伴う DIC の経過中に出血性脳梗塞を発症した 40 代男性で、左上下肢に Brunnstrom Recovery Stage (BRS)Ⅱの重度片麻痺を呈していた。左半側空間無視や軽度の失語傾向も認められた。介入期間は病日 143~175 日で、143~147 日をベースライン期とした。立ち上がり訓練では、座面高や支持物の条件を段階的に調整し、疲労感(VAS)や反復回数を記録した。移乗訓練では、7 つの行動要素を設定し、総課題提示法により全体動作の流れを維持したうえで、各要素の遂行レベル(1~5 点)と必要なプロンプト(身体的・視覚的・言語的)を毎回の訓練で評価した。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は,対象者と家族に,文書による説明と承諾を得た.また 「ヘルシンキ宣言」の精神に基づき,厚生労働省告示「臨床研究に関する倫理指針」に沿って行われた.
【結果】
起立回数はベースライン期の 3 回から介入終期には 18 回に増加し、座面高は 55cm から 40cm へと段階的に低下しても反復回数は維持された。VAS による主観的疲労感は当初 8 点と高かったが、介入後半には 5~7 点で安定していた。移乗動作 7 要素の総合遂行度は 10 点から 32 点へと大きく向上し、「立ち上がり」「立位保持」「足の移動」などでとくに顕著な改善がみられた。プロンプトの種類は、身体的ガイドから視覚的プロンプト・言語教示へと漸減し、プロンプトフェイディングの過程が観察された。運動 FIM は 23 点から 48 点、BRS も改善したが、認知 FIM の変化は軽微であった。
【考察】
本研究では、患者と協議しながら課題条件(座面高や反復数)を設定し、移乗訓練において総課題提示法とプロンプトフェイディングの併用によって自立性を促進できた点が、臨床的意義として示された。
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