関東甲信越ブロック理学療法士学会
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スペシャルオーラル
  • 篠原 智行, 齊田 高介, 田中 繁弥, 村山 明彦, 目崎 智恵子, 石井 純子, 鳥塚 典恵, 青木 久美, 樋口 大輔
    p. 1-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】COVID-19 拡大予防の自粛生活によって、フレイル増加が懸念される。今回、新規フレイル発生のスクリーニング法を、探索的に示すことを目的とした。

    【方法】コホート研究を実施した。地域在住高齢者1,953 名に質問紙を配布し、郵送にて回収した。調査は2020 年

    5-7 月(一次)と2020 年11 月-2021 年1 月(二次)に実施した。質問紙はフレイル評価のためのFrailty Screening Index(FSI)、後期高齢者の質問票、作成した生活変化の質問票で構成した。生活変化の質問票は自覚的な身体活動量、下肢筋力、食事量、不安、コミュニケーション機会に対して5 段階のLikert scale の回答肢を設けた。一次でフレイルでなかった者を対象に、二次調査での新規フレイルの有無を従属変数、質問紙の各項目を独立変数とする多重ロジスティック回帰分析を行った(年齢、性別、併存疾患、家族構成で調整)。

    【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言を遵守して計画され、高崎健康福祉大学研究倫理委員会審査会の承認を得た(許可番号2009 号)。研究参加の同意取得は質問紙への氏名の記載をもって行った。

    【結果】492 名を解析対象とした。平均年齢78.6 歳、女性は380 名(77.2%)、平均調査期間は186.5 日であった。新規フレイルの発生は48 名(9.8%)であった。多重ロジスティック回帰分析の結果、後期高齢者の質問票の転倒

    (Odds Ratio(OR):2.26、95%confidence interval(CI):1.08-4.47)、物忘れ(OR:2.74、95%CI:1.00-7.51)、生活変化の質問票の下肢筋力の弱り(OR:1.83、95%CI:1.05-3.21)であった。3 項目全てに該当した場合の新規フレイルの感度は66.7%、特異度は90.9%、正確度は90.7%であった。

    【考察】半年間の自粛生活中の新規フレイルのスクリーニングを、転倒、物忘れ、自覚的な下肢筋力の弱りの3 項目を用いて行える可能性が示唆された。感染症拡大が考慮される状況では、実測が不要の評価の開発が期待される。

  • 小島 将, 臼井 直人, 椿 淳裕, 繁竹 真人, 稲津 昭仁, 上畑 昭美
    p. 2-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【背景】 血液透析(HD)患者では,一般集団とは異なりBMI が低く,かつ腹囲の増加した腹部肥満患者が最も予後不良であり,これはBMI パラドックスとして知られている.腹部CT は骨格筋量に加え,内臓と皮下脂肪,筋内脂肪の指標である骨格筋密度(SMD)など詳細な脂肪組織の分布が評価可能である。従って,BMI の低いHD 患者の中でも特に予後不良な患者特性を明らかにできる可能性がある.本研究の目的は,適正体重未満のHD 患者を対象に腹部CT で得られた骨格筋量と脂肪組織分布が生命予後へ与える影響を検討することである.

    【方法】 対象は,2013 年1 月~2019 年12 月に腹部CT 検査をしたHD 患者368 名の内, BMI 22 kg/m2 未満の

    216 名を対象とした.第三腰椎レベルの横断像から総骨格筋面積(CSA),皮下脂肪面積(SFA)と内臓脂肪面積

    (VFA)を算出した.SMD はCSA のCT 値を平均して算出した.また,VFA/SFA 比を算出した.CSA とSMD,VFA/SFA 比と生命予後との関連について,従属変数を全死亡,共変量を年齢,性別,透析歴,糖尿病・心血管疾患の既往,アルブミン,C 反応性タンパクとしたCOX 比例ハザード解析を用いて解析した.

    【倫理的配慮】 本研究は,嬉泉病院倫理委員会の承認(2020-06-002)を得て実施された.

    【結果】 観察期間中央値は3.2(1.6-5.0)年であり,108 名が死亡した.単変量解析ではCSA,SMD,VFA/SFA 比のすべてが生命予後と独立して関連しており(p<0.01),共変量調整後もCSA(HR:0.97[0.96-0.99]),SMD

    (HR:0.95 [0.93-0.98]),VFA/SFA 比(HR:1.06[1.02-1.11])ともに独立した生命予後予測因子だった(p<0.01). 【結語】 適正体重未満のHD 患者では,骨格筋量が低く,筋内脂肪が多い,かつ内臓脂肪に対して皮下脂肪の割合が少ない患者が最も予後不良であることが示唆された.適正体重未満のHD 患者においては,骨格筋量の増加と各脂肪組織分布の改善を達成できる包括的な介入が必要であると考えられる.

  • 樋口 大輔, 田中 繁弥, 齊田 高介, 村山 明彦, 篠原 智行
    p. 3-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】本研究の目的は、介護保険を申請していない地域在住高齢者をフレイルのありさまに基づいてサブグループ化を試み、当該高齢者のフレイル対策の充実に向けた基礎資料を得ることであった。

    【方法】ある中核市在住の高齢者に対し、第1 次緊急事態宣言中に実施された調査研究のデータベース(1623 人)から、介護保険を申請しておらず、データ欠損のない1009 人(77.6±6.0 歳;男性253 人・女性756 人)を抽出し、「後期高齢者の質問票」の回答を分析した。日本老年医学会マニュアルに準拠し、質問4・5 をオーラルフレイル

    (OF)、質問6~9 を身体的フレイル(PF)、質問10・11 を精神的フレイル(MF)、質問13~15 を社会的フレイル(SF)に相当する質問とした。フレイルを示す回答項目数をフレイル種別ごとに求めた。階層的クラスター分析(ウォード法、ユークリッド距離)で得られたデンドログラムからクラスター数を任意に決定し、各クラスターの特徴を確認した。

    【倫理的配慮】高崎健康福祉大学倫理委員会の審査を受け、研究実施の承認を得た(2009号)。対象者が質問紙に回答したことを研究参加の意思表示とみなした。

    【結果】デンドログラムの観察により、(1)PF 主体(133 人、13.2%)、(2)MF 主体(73 人、7.2%)、(3)OF 主体(193 人、

    9.1%)、(4)SF 主体(74 人、7.3%)、(5)PF・MF 合併(73 人、7.2%)、(6)PF・OF 合併(65 人、6.4%)、(7)MF・OF 合併

    (78 人、7.7%)、(8)・(9)フレイル徴候不明確(2 クラスター;178 人、17.6%;142 人、14.1%)の9 クラスターに分類された。PF、MF、OF は、うち2 つが合併して現れる場合があったが、SF は他のフレイルと組み合わされることはなかった。なお、残差分析より(1)は女性が、(4)は男性が有意に多かった。

    【結論】介護保険を申請していない地域在住高齢者におけるフレイルの発現型は多様である。ただし、SF は他のフレイルと比べ異質であり、SF に特化した対策の必要性が示唆される。

  • 奥山 創太, 中川 慎也, 小串 健志
    p. 4-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】運動失調に対しHybrid Assistive Limb(以下:HAL)を使用し歩行機能改善,バランス能力向上を示した報告はいくつか散見される.今回,脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:以下SCD)により運動失調を呈した外来患者1症例に対し,HAL を用いた歩行訓練を実施し,筋力,バランス,歩行能力の変化について検討した.

    【方法】対象は当院外来リハビリテーションを利用されている40 歳代女性のSCD(SCA3)患者,International Cooperative Ataxia Rating Scale(以下,ICARS)24 点,Functional Ambulation Categories(以下:FAC)5,歩容はワイドベースであるが,屋内独歩,屋外T-cane にて自立,ADL 自立,社会的役割は主婦であり,IADL は自立している.介入内容はHAL を使用しての歩行訓練を実施した.HAL の設定は両側Cybernic voluntary control(以下:CVC)モードにした.介入時間は20~60 分/回,介入頻度は週1~2 回,9 回2 クール,合計18 回実施し,実施前,各クール最終日実施前にて10m歩行試験,Functional Balance Scale(以下,FBS),Hand Held Dynamometer(以下,HHD)を用いた筋力測定を実施した.

    【倫理的配慮】本報告は当院倫理委員会の承認を得た(承認番号21-002).

    【結果】ICARS,FAC は変化なく経過していた.10m最大歩行速度は14.9 秒,26 歩→11.8 秒,22 歩→8.6 秒,18 歩であった.FBS41 点→43 点→43 点,HHD での筋力は(R/L)股関節屈曲10.2/11.4→14.2/12.4→17.6/16.0kgf,膝関節伸展20.1/21.1→22.4/22.3→20.8/18.9kgf であった.

    【考察】今回,HAL を使用したことで効率的かつ律動的な歩行運動の繰り返しが可能となり,Interactive Bio Feedback hypothesis(以下,IBF)仮説に基づいて上位・下位歩行システムが活性化され,歩行能力向上に寄与したと考える.また,筋力やバランス能力が維持・向上していることから疾患の進行を遅延させることも可能であると考える.

  • 藤澤 俊介, 古谷 英孝, 五十嵐 秀俊, 大森 圭太, 星野 雅洋
    p. 5-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】 COVID-19 感染拡大が人々への心理的,身体的影響を引き起こすことが報告されている.研究の目的は,COVID-19 感染症に対する不安や恐怖が,腰椎術後患者のOswestry Disability Index(ODI)スコアに関連するか調査をすることである.

    【方法】 横断的研究にて実施した.対象は腰椎変性疾患に対して手術を施行された者とした.再手術,骨腫瘍,感染,外傷に対する脊椎手術,重篤な併存疾患,認知症を有する者は除外した.従属変数はODI,独立変数は年齢,性別,BMI,術後期間(日数),COVID-19 に対する不安や恐怖感を評価できるThe Fear of COVID-19 Scale(FCV

    19S),精神的健康度(SF-36 Mental component summary),感覚障害の有無,Functional Reach Test(FRT),30 秒椅子立ち上がりテスト(CS30),腰痛,下肢痛とした.統計解析は,単変量解析により要因を抽出し,抽出された要因を独立変数とした多変量解析を行った(有意水準は5%).

    【倫理的配慮】 本研究はヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則に従い実施した.

    【結果】 210 名(女性132 名,平均年齢±標準偏差72.9±10.5)を対象とした.単変量解析の結果,FCV-19S,性別,下肢痛,腰痛,感覚麻痺,FRT,CS30 が抽出された.多変量解析の結果,FRT(p=0.016,β=-0.245), CS30

    (p=0.024,β=-0.231),FCV-19S(p=0.016,β=0.215),腰痛(p=0.038,β=0.202)の順に抽出された(寄与率

    48%).

    【考察】 術後のODI スコアは心理面の影響を受けることが報告されている.今回,COVID-19 に対する不安がODI

    スコアに関連することが示された.コロナ感染者を対象としたメンタルヘルスの介入研究では,予防方法の提示やマインドフルネスが不安,うつの軽減に効果的であることが報告されている.このことより,腰椎変性疾患術後患者のアウトカム向上にはCOVID-19 の正しい知識の情報提供が必要である可能性が考えられる.

スペシャルポスター
  • 舘 智憲, 奥野 由佳, 大村 有希, 牧田 彩加, 橘 昌利, 江渕 貴裕, 高山 祐子, 寺澤 泉, 金丸 晶子
    p. 6-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】座位・立位で低酸素血症を来たし,臥位で酸素化が改善するPlatypnea-Orthodeoxia Syndrome(以下POS) を伴う脳梗塞症例の理学療法(以下PT)を経験したので報告する.

    【症例紹介】左内包後脚-左放線冠の脳梗塞で当院神経内科に入院した80 代後半女性.安静度拡大に伴いギャッジアップ姿勢や座位姿勢にて,再現性のあるSpO2 低下(80%)を認めた.姿勢による酸素化不良に関し,精査目的で

    26 病日に循環器内科へ転科.心エコーで卵円孔開存/臥位時左右シャント・座位時右左シャント,X 線で上行大動脈蛇行,右心カテーテルで座位時に右房圧上昇を認め,POS と診断.POS は家族の希望により保存的加療となった.

    【経過】循環器内科転科時(26 病日)は意識清明,右下肢BRS lll,trunk control test(以下TCT)37 点で端座位は体幹右崩れの姿勢を呈しSpO280%まで低下.体幹中間位の端座位に修正するとSpO290%以上で5 分間の保持が可能であった.PT ではSpO2 低下を伴わない座位保持獲得を目標に体幹筋群の筋出力向上を目的とした立位・歩行練習,車椅子座位のポジショニングを実施した.転院時(67 病日)には右下肢BRS lll~lV,TCT74 点に改善.疲労で姿勢が崩れると容易にSpO2 は低下するが,10 分程度はSpO2 の低下なく車椅子座位が可能となった.

    【考察】本症例は脳梗塞発症前から卵円孔開存,上行大動脈の蛇行があったと思われるが,無症状でADL 自立していた.脳梗塞による中等度の右片麻痺によって座位時に体幹右崩れが生じ,右胸郭が圧排され,その影響が右房に及び右房圧上昇・座位時に右左シャントの増加を引き起こしたと推察された.PT での体幹機能向上を目的とした介入により,座位時の体幹右崩れが軽減し上記機序が抑制され,一定時間はSpO2 の低下なく車椅子座位が可能になったと考えられた.

    【結論】POS 保存例において,姿勢が循環に及ぼす影響を鑑みたPT 介入が奏功した. 【倫理的配慮】書面にて説明し同意を得た.

  • 井上 桂輔, 中村 悠真, 箱守 正樹, 豊田 和典, 尾形 朋之
    p. 7-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【背景】COVID-19 により体外式膜型人工肺 (ECMO)を導入した場合、治療や隔離による筋力低下により理学療法が必要となることが想定されるが、回復経過を示した報告は少ない。今回、COVID-19 により約1ヶ月間ECMO を導入後、離脱後から理学療法を実施した症例を経験した。回復期リハビリテーション病棟を経て社会復帰までの運動機能、心理面における理学療法の経過を報告する。

    【症例】40 歳代男性で発症前の日常生活動作は自立していた。X-51 日に発症、X-45 日に他院に転院しVenoVenous (V-V) ECMO 導入後、X-17 日にV-V ECMO を離脱、X 日に当院に再入院となりレッドゾーンで理学療法を開始した。X+3 日のMedical Research Council(MRC):48 点、30 秒立ち上がりテスト(CS-30):0 回、Berg Balance Scale(BBS):7 点、FIM 運動項目(FIM-M):15 点であった。

    【倫理的配慮】本発表にあたりご本人に書面で説明した同意を得た。

    【経過および結果】X+11 日の隔離解除時はMRC:50 点、CS-30:0 回、BBS:20 点、FIM-M:63 点、6 分間歩行:

    20m、Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS):34 点(不安:16、抑うつ:18)であり、EuroQol viusal analog scale

    (EQvas)は呼吸困難:20、倦怠感:10、めまい:0であった。X+26 日の急性期病棟転出時はMRC:55 点、CS-30:16

    回、FIM-M:80 点、6 分間歩行:150m、HADS:23 点(不安:10、抑うつ:13)であり、EQvas は呼吸困難:20、倦怠感:

    10、めまい:40 であった。X+99 日の自宅退院時はMRC: 55 点、CS-30: 30 点、BBS: 56 点、FIM-M:88 点、6 分間歩行:500m、HADS:12 点(不安:5、抑うつ:7)、EQvas は呼吸困難:80、倦怠感:100、めまい:100 であり、X+130

    日に復職した。

    【結論】自宅退院時に筋力や運動耐久性、呼吸困難感や抑うつ傾向は残存した。しかしながら、隔離中からの早期離床および継続的な理学療法により、運動機能だけでなく、心理面やQOL にも改善があり、社会復帰をすることできた。

  • 芳井 あかり, 佐藤 和命, 北原 エリ子, 藤原 俊之
    p. 8-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】視床下核刺激療法(以下STN-DBS)はパーキンソン病(以下PD)の運動合併症を軽減するための外科的治療法であり、姿勢異常への効果を示した研究は少ない。また、PD が呈する姿勢異常に対するSTN-DBS 術後理学療法の効果は未だ不明確である。

    【症例紹介】10 年前にPD と診断された61 歳の女性を対象とした。今回STN-DBS は腰曲がり症状の改善を目的とはしておらず、ドパミンアゴニストの減薬とジスキネジアなど運動合併症の改善を目的に行われた。入院時ADL は自立しており、Hoehn and Yahr 重症度分類3 であった。立位姿勢で体幹左側屈20°のピサ徴候と前屈20°の軽度腰曲がりを認めた。

    【説明と同意】本報告の趣旨をヘルシンキ宣言に基づき患者に説明し同意を得た。

    【経過・結果】STN-DBS 術後に60 分間の理学療法を週5 回実施した。理学療法内容はストレッチ、体幹筋力強化練習、バランス練習、姿勢矯正練習を行った。STN-DBS 術前日と術後18 日目の退院時に身体機能評価を実施し、立位姿勢は体幹左側屈20°から左側屈5°、体幹前屈20°から0°に改善した。Trunk Impairment Scale は5点増加し、体幹正中覚は左側屈40°から0°に改善し、Mini-Balance Evaluation Systems Test は5 点増加した。下肢筋力は不変であった。

    【考察】STN-DBS は運動合併症の改善と減薬に効果的であるが、体軸症状や姿勢反射障害への効果は不明確とされている。本症例の姿勢異常は、PD 自体の進行に伴うものや、ドパミンアゴニストの副作用により生じた可能性が考えられたが、STN-DBS を行うまでは薬剤調整単体での改善を行うことが困難であった。そのため、本症例における姿勢異常の改善にはSTN-DBS 自体の効果やドパミンアゴニストの減薬が与える影響はもっとも大きいと考えられた。

    しかし、術後に理学療法を併用することで、二次的に生じてしまった可動性低下や筋力低下、体幹正中軸の偏位に対して、短期間での改善が望める可能性が示唆された。

  • 小幡 加奈, 片倉 哲也, 三木 啓嗣
    p. 9-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】透析日の血液透析患者の訴えとして力が入りにくい事や疲労感があるといった内容があり,実際の動作場面においても観察上そのように感じられる.先行研究において血液透析患者の透析日と非透析日の身体機能について調査したのは単一症例報告において認めるのみである。今回,当院入院中の透析患者に対して透析日と非透析日における身体機能の関係を検討することとした.

    【方法】本研究は前向き観察研究とした.対象は2019 年10 月から2020 年4 月末までの期間当院に入院しリハビリテーション処方を受けた血液透析患者のうち,整形疾患等を有しておらず歩行可能な者 5 名とした.調査項目は患者の年齢,透析日と非透析日に連続でSPPB,握力,平均血圧,倦怠感としてBorg Scale を測定した.統計処理はSPSSVer.24.0 を使用し,透析日と非透析日の差をウィルコクソンの符号順位検定を用いて算出し,有意水準は5%とし,10%を有意傾向とした.なお本研究は,東京都済生会中央病院倫理審査委員会の承認を得た上で実施した. 【結果】対象者の年齢中央値 66.0(IQR59.5-80.5),透析日SPPB 9.0 点(3.0-11.5),非透析日SPPB 9.0 点(3.0-

    10.0),透析日握力 16.0kg(12.7-19.5),非透析日握力17.5kg(14.2-20.0),透析日平均血圧 85.0mmHg(66.0-

    99.0),非透析日平均血圧 96.0mmHg(79.0-114.0),透析日倦怠感 13(10.0-13.0),非透析日倦怠感 12.0(8.0-

    12.0)だった.平均血圧のみ有意差を認め、握力と倦怠感には有意傾向がみられた.

    【考察】透析日と非透析日の身体機能に有意な変化はみられなかったが握力と倦怠感において有意傾向がみられたため,症例数を増やすことで透析日と非透析日の身体機能の差が明らかになると思われる.

  • 鈴木 幸宏
    p. 10-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】新人理学療法士研修ガイドラインでは,新人教育で学習する事は膨大であり,ポートフォリオを作成し情報の蓄積・整理を行ない,何度も振り返る事が重要であると述べている.今回,当クリニックで行った,Google classroom を利用したe ポートフォリオの新人教育方法・効果について報告する.

    【方法】対象は,経験年数2 年目の理学療法士2 名に対して,経験年数10 年目の理学療法士1 名の指導者とした.令和2 年6 月から令和3 年3 月までの9 ヶ月間,Google classroom を利用したe ポートフォリオにて新人教育を実施した.開始時に目標設定のための「ゴールシート」,1ヶ月ごとの振り返りのための「振り返りシート」,9か月間のまとめとしてポートフォリオ発表会を実施した.新人教育の効果判定は,初回と4 ヶ月目と9 ヶ月目に理学療法における臨床能力評価尺度(以下,CEPT),簡易版臨床能力評価法(以下,Mini-CEX)を使用した.

    【倫理的配慮】対象者に口頭にて同意を得て,ヘルシンキ宣言に基づきプライバシーの侵害がないように十分配慮

    した.

    【結果】新人1 のCEPT(初回:129 点,4 ヶ月目:147 点,9 ヶ月目:167 点),Mini-CEX(初回:16 点,4 ヶ月目:29

    点,9 ヶ月目:32 点),新人2 のCEPT(初回:129 点,4 ヶ月目:141 点,9 ヶ月目:161 点),Mini-CEX(初回:18 点,

    4 ヶ月目:25 点,9 ヶ月目:29 点).

    【考察】両名のCEPT・Mini-CEX 共に向上が見られた.e ポートフォリオは,指導・学習した記録が蓄積され,1ヶ月ごとの振り返りにより,現状の把握を行い指導・学習方針を見直すことができ,より適切な指導に繋がった可能性がある.さらに,場所や時間帯に制限されずに評価や指導を容易に行うことができ,多忙な臨床業務のため新人教育との両立が難しいクリニックでも新人教育管理が可能であったと考える.

    【結論】Google classroom を利用したe ポートフォリオは,クリニックにおける新人教育に有用である可能性が示唆された.

口述
  • 新井 則善
    p. 11-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的と方法】 第34 回関東甲信越ブロック理学療法士学会において『入院時血清アルブミン値とFIM の関連性-入院時データからの転帰先予測-』を報告した。第2 報として、新たに対象者を拡大し検討したので報告する。対象は第1 報にて報告した当院回復期病棟を退院した整形外科疾患患者でデータに不備のなかった132 名(以下、前回群 平均年齢81.7±8.9)と、今回新たに収集した155 名(以下、新規群 平均年齢81.1±10.9)。前回群の入院時Alb 値、年齢、性別、入院時FIM(FIM 合計、運動項目、認知項目)から求めた回帰式Z=-0.425+1.244×性別+0.078×年齢+(-1.136×Alb 値)+(-0.044×FIM 合計)を使用し、転帰先(在宅、非在宅)の判別的中率を求めた。

    次に前回群と新規群の集団特性の違いを分析し、回帰式の有用性について検討した。尚、本研究はヘルシンキ宣言および臨床研究に関する倫理指針に基づき、当院倫理審査委員会の承認を得ている。

    【結果】 判別的中率は、前回群79.5%、新規群80.0%となり、ほぼ同様の結果となった。2 群間において、性別とFIM

    合計、運動項目で有意差がみられた。新規群において女性の比率が約1 割低下したが、年齢で有意差は見られなかった。また、入院時Alb 値、認知項目でも有意差は見られなかった。

    【考察】 2 群間で明らかな違いは見られず、高齢者が大半を占める当院の患者特性による影響が大きいと思われるため、現状における回帰式の一般化は難しい。今後、対象者の年齢が異なる群に対する検証を行うとともに、対象者数を積み重ねることで予測式の一般化が図れるか検討していきたい。しかし、回帰式による転帰先予測は8 割程度の確率で可能であることから、回復期病棟における予測式の妥当性は高いと考える。今後、臨床場面で試用していくことで式の有用性や妥当性の検討を行っていきたい。

  • 林 翔太, 岩本 紘樹, 篠原 智行, 大角 哲也, 原田 大樹, 萩原 紗貴, 大橋 賢人
    p. 12-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】本研究では基本動作およびバランスに関する評価指標の各病期での使用状況を明らかにすることを目的とした。

    【方法】対象は群馬県の267 施設、理学療法部門責任者とし、回答方法は郵送にて依頼し、Web 回答とした。調査対象とした評価指標は15 指標とし、5 件法(1:名称を知らない、2:名称は知っているが内容は知らない、3:内容は知っているが使用していない、4:時々使用する、5:よく使用する)にて理解・使用度、所属機関の病期(急性期/回復期/生活期)を調査した。統計解析は各病期での各評価指標に対してFisher 正確確率検定を実施した。統計ソフトはEZR ver. 1.54 を使用し、有意水準は5%とした。本研究はヘルシンキ宣言に基づき、高崎健康福祉大学研究倫理審査委員会の承認(承認番号:2037)を得て実施した。

    【結果】回答施設は101 施設であった(回答率37.8%)。各指標の理解・使用度(1/2/3/4/5、n)は、片脚立位テスト

    0/0/12/38/51 、Timed Up & Go test 0/0/26/24/51 、歩行速度 3/7/35/22/34 、Functional Reach Test

    0/1/44/33/23、Berg Balance Scale(BBS)3/11/42/28/17、Romberg test 9/6/42/32/12、Functional Movement Scale 39/25/25/7/5 、重心動揺測定 0/12/82/5/2 、Mini-Balance Evaluation Systems Test (BESTest )

    60/19/16/4/2、BESTest 45/26/25/5/0、Short Physical Performance Battery 78/11/8/1/3、Dynamic Gait Index

    62/22/14/3/0、Four Square Step Test 66/19/14/1/1、Performance Oriented Mobility Assessment 65/23/12/1/0、Clinical Test of Sensory Interaction and Balance 84/8/8/1/0 であり、BBS の病期別理解・使用度は、1:2/0/1、

    2:3/1/7、3:9/6/27、4:5/3/20、5:6/8/3 であり病期との有意な関連を認めた(回復期>生活期、p=0.009)。

    【考察】病期全体の理解・使用度は簡便な評価指標で高い傾向が示唆されたが、指標の簡便さと使用される病期において関連性は乏しい可能性がある。

  • 立石 晃大, 池谷 祥吾, 杉山 眞二郎, 金井 章, 小菅 健太, 鈴木 遼, 松宮 巧
    p. 13-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】Mini Balance Evaluation Systems Test(Mini-BESTest)は動的バランス評価に特化したツールであり,天井効果を認めにくいが,急性期病院における報告は少ないのが現状である.本研究の目的は,Mini-BESTest を用いたバランス評価を基に,退院時のバランス構成要素と転倒リスク患者の特徴,そしてADL との関連について探索的に検証し,退院時の患者の全体像を捉えることである.

    【対象と方法】退院時にMini-BESTest を実施した65 歳以上の113 名を対象とし,Mini-BESTest の各構成要素間を比較.また,Mini-BESTest 値19 点以下を転倒リスクあり群,20 点以上をなし群とし背景因子を比較した.さらには,退院時の機能的自立度評価法(FIM)との関連性を検討するため,転倒リスクの有無を状態変数としたFIM のROC 曲線評価を行い,転倒リスクの有無を最適に分類するためのcutoff 値を求めた.

    【倫理的配慮】本研究を行うにあたり当院の倫理委員会の承諾を受けた.

    【結果】各構成要素間の得点率は,予測的姿勢制御68.9%,反応性姿勢制御50.3%,感覚機能84.9%,動的歩行

    70.3%であり,反応性姿勢制御は他の項目と比較して有意に低値であった(P<0.001).転倒リスク有り群は全体の

    47%であり,高齢女性に多く,退院時FIM の得点が低く,入院日数は長く,歩行補助具の使用率が高かった.また,FIM による転倒リスクのCutoff 値は115 点であった(AUC76.5%,感度52.8%,特異度93.3%).

    【考察】転倒リスクを抱えた47%の多くは,歩行補助具の処方を受け退院しており,FIM が高値であったとしても,反応性姿勢制御をはじめとした各構成要素を考慮したバランス能力評価を行う重要性が改めて示唆された.

  • 木村 航汰, 廣江 圭史, 田中 和哉, 吉田 寛
    p. 14-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【はじめに】動作解析をする際に三次元動作解析装置を用いる事がある.臨床現場で三次元動作解析装置を使用するには様々な障壁があり,臨床場面での普及に至っていないのが現状である.近年,Openpose というAI による深層学習を用いたソフトウェアが注目されている.Openpose は市販のデジタルカメラなどの動画からウェアラブルな姿勢動作解析が可能なソフトであり,簡便なことから実用性の高さが期待されている.そこで,当院での臨床応用に向けた取り組みについて報告する.なお,本研究はヘルシンキ宣言に基づき,症例に目的および方法を十分に説明し書面にて同意を得た.

    【方法】対象は交通外傷による右下肢機能不全,歩行障害に対して長下肢装具を使用している症例とした.計測はデジタルビデオカメラ(Sony 社HDR-CX680)を用い,平行棒内での快適歩行を前額面から撮影した.計測条件は左下肢の補高なし,5mm 補高,10mm 補高の3 条件をそれぞれ3 施行とした.解析はOpenpose を用いて得られた動画データから位置データ,関節角度,仮想重心点の算出をした.算出したデータより各条件での1 歩行周期を切りだし3 条件で比較した.今回は重心側方動揺と体幹の側方傾斜について検討した.

    【結果】長下肢装具を使用する患者の歩行であっても,下肢関節点の同定が可能であった.また,補高なしに比べ補高5mm,10mm で,重心の左右動揺と左立脚中期での体幹側方傾斜の改善がみられた.

    【考察】Openpose は深層学習を用いて動画内の人物の関節などのキーポイントを認識できる手法である.今回算出したされたデータを用いて,3 条件での変化を捉えることができた.さらに歩行時の重心移動を可視化することができ,視診で確認することのできない重心移動を簡便に可視化できることは臨床的に有用であると考えられる.

  • 富樫 遼太郎, 富樫 美和子, 竹内 真太, 河野 健一, 西田 裕介
    p. 15-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】レジスタンス運動(以下RT)と有酸素運動(以下AT)の組み合わせは,神経筋機能および心肺機能の両方を改善し,老化中の機能的能力を維持するために最適な戦略であると報告されている.臨床現場においてもRT とAT を組み合わせて実施するが,順序の違いによって筋疲労や全身疲労感の訴えが異なる場面に遭遇する.疲労は,理学療法や日々の活動に対する意欲・継続性に影響を及ぼすと考えられる.そこで本研究では,最適な理学療法プログラムの構築を検討するための基礎研究として,健常成人におけるRT とAT の実施順序の違いが筋疲労,全身疲労,筋力へ及ぼす影響を検証した.

    【方法】対象は健常男性11 名(平均年齢26±2.5 歳)とした.AT はリカンベントエルゴメータを用いて最大負荷の60% で10 分間(回転数60rpm)実施した.RT は膝関節伸展運動機器を用いて最大随意収縮の50%で10 秒間の等尺性収縮と10 秒間の休息という運動を10 セット実施した.対象者はAT 後にRT を実施する条件と,RT 後にAT を実施する2 条件を別日に実施した.測定指標は,膝関節伸展筋力,握力,主観的疲労感(全身疲労感・大腿部の筋疲労),筋疲労感(S スケール)とし,各条件における運動前後の測定指標の差を,Wilcoxon の符号順位和検定を用いて比較した.有意水準は5%未満とした.

    【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言を遵守し,対象者へ研究の目的及びプライバシー保護等の内容を説明した後,同意を得て実施した.

    【結果】全ての測定指標の差において条件間で有意差を認めなかった.

    【考察】RT とAT の実施順序の違いは,運動直後の主動作筋の筋疲労や全身疲労感に影響を与えないことが示唆された.このことから,理学療法プログラムの順序を検討する上で,RT とAT の順序については考慮する必要性が低いと考えられる.しかしトレーニング効果なども考慮した長期的な観点での疲労については不明であるため,今後継続した検討が必要である.

  • 原田 拓実, 渋谷 悠太, 妹尾 賢和
    p. 16-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】本研究の目的は,ACL 再建術後6 カ月時のACL-RSI に影響する術前機能を明らかにし,術前理学療法の一助とすることである.

    【方法】2018 年1 月から2020 年3 月までに当院にて半腱様筋腱,薄筋腱による初回ACL 再建術を施行した71 例

    (男性25 例,女性46 例),平均年齢28.2(13~57)歳を対象とした.調査項目はBMI,術後6 カ月時のACL-RSI,術前のHeel Height Difference(以下HHD),膝関節前後動揺性健患差,大腿周径左右差,Tegnar activity score,等速性膝関節伸展運動および膝関節屈曲運動における最大トルクの健患比,交絡因子として性別,年齢,罹病期間を調査した.術後6 カ月時のACL-RSI はkate らに準じて62 点をカットオフとした.従属変数をカットオフ達成群と未達成群,独立変数を各術前調査項目とし,単変量ロジスティック回帰分析を行った.次に有意な変数に交絡因子を強制投入し,多重ロジスティック回帰分析を行い,その後の検定としてROC曲線分析を用いてカットオフ値を算出した(p<0.05). 【倫理的配慮】当院倫理委員会の承認を得て被験者に研究の意義・目的について十分に説明し同意を得た後に実施した(承認番号:2001004).

    【結果】単変量ロジスティック回帰分析よりHHD(OR:0.87)が有意な関連性を認めた.また,交絡因子を強制投入し多重ロジスティック回帰分析をしたところHHD(OR:0.86),罹病期間(OR:0.98)に有意な関連性を認めた(モデルχ二乗検定:p<0.05,Hosmer-Lemeshow の検定:p=0.35).カットオフ値はHHD1.4mm(AUC:0.64,感度:64.5%,特異度:68%),罹病期間69.4 日(AUC:0.68,感度:50%,特異度:80%)であった.

    【考察】術後6 カ月時のACL-RSI に影響する術前因子はHHD と罹病期間であった.術後6 カ月時のACL-RSI の成績を改善するには,罹病期間を考慮し,術前における患側の膝伸展制限を改善した上で手術に臨むことが重要と考える.

    【結論】術後6 カ月時のACL-RSI に影響する術前因子はHHD と交絡因子である罹病期間であった.

  • 松井 建興, 大森 章一, 国司 俊一, 橋川 拓史, 寺門 淳
    p. 17-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【はじめに】トミージョン手術の後療法は野球選手症例の文献は散見されるがバドミントン選手に関する文献は渉猟しえなかった.今回バドミントン選手のトミージョン手術後症例を経験し,1 年間機能評価と患者立脚型評価を実施したので報告する.尚,ヘルシンキ宣言に基づき本人に説明と同意を得た.

    【症例】19 歳女性,左利き.練習中転倒し受傷.保存療法で症状改善せず受傷10 ヶ月後に他院でトミージョン手術を施行した.術前は手尺側痺れがあり,競技レベルは地区大会出場レベルであった. 当院初回受診は術後1 ヶ月であり初回評価は,動作時痛NRS5,痺れなし.可動域は肘屈曲85°伸展-40°,前腕回内45°回外45°.前腕最大周経

    21.5/22.5cm,握力24.9/16.7kg.JOA-JES sports score27 点,Quick DASH 機能障害/症状70 点・スポーツ/芸術100

    点.術後6 ヶ月より荷重解除,バドミントン復帰し痺れ,疼痛なし.術後10 ヶ月手尺側痺れ,疼痛が出現しNRS3.milking test・moving valgus stress test 陰性,tinel 徴候陽性.これより運動強度調整を実施した.術後12 ヶ月,痺れ消失,バドミントン時NRS1.milking test・moving valgus stress test・tinel 徴候陰性.肘屈曲155°伸展20°,前腕回内90°回外

    100°,前腕最大周経21.5/23.5cm,握力28.7/32.9kg であった.JOA-JES sports score75 点, Quick DASH 機能障害/症状5 点・スポーツ/芸術19 点.

    【考察】本症例は術後痺れは消失していたが,術後10 ヶ月頃からバドミントン中に再度痺れが出現した.原因として強度を上げすぎたことで肘屈伸運動が多用されたことによる尺骨神経の伸長ストレスが増大した可能性が考えられた.これより運動強度を疼痛,痺れがない範囲まで制限することにより術後12 ヶ月では疼痛,痺れは軽減しレクリエーションレベルまで回復した.尺骨神経障害はトミージョン手術後合併症の中で最も多いものの1つであり,術後合併症にも留意しながらリハビリテーションを実施することが必要であると考える.

  • 宮川 万里子, 小倉 征慈
    p. 18-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【はじめに】膝関節離断術(以下:膝離断)は、断端荷重が可能なことが利点とされているが、末梢循環障害患者には不適当と言われている。今回糖尿病壊疽による膝離断症例を入院から外来まで経験した。ソケットの不適合、複数回に及ぶ治療を要し、義足作成やリハビリに難渋したため、考察を含めて報告する。

    【症例提示】40 代男性。右足底皮膚壊死、ガス壊疽がみられ救命目的にて右膝離断施行。その際、膝蓋骨は温存している。術後5 週目に当院転院、21 週目に仮義足(二重ソケット)完成し、独歩自立にて自宅退院。その後外来リハビリを開始したが42 週目に創部感染を認め、デブリードマン及び閉創術施行。59 週目に本義足(有窓式ソケット)完成。しかし、滑液包炎の診断により86 週目に滑液包切除術施行。91 週目にチェックソケットを再作成し、現在は断端損傷や疼痛なく生活されている。今後、再度本義足を作成予定。

    【倫理的配慮】当院倫理委員会にて承認を得た。本人に趣旨と目的を説明し承諾を得た。

    【考察】主治医や義肢装具士を含めて患者の状態について話し合い、適合性の高い義足作成に努めた。本症例は膝蓋骨が温存されたことで歩行時に膝蓋骨が動き、膝蓋骨やハムストリングス腱の疼痛が生じやすかった。対処として、パットで膝蓋骨上部を押さえ、腱チャネルを作成することで症状改善に至った。患者教育に関しては、入院中に断端管理指導を、退院時に自主トレーニング指導や栄養指導を実施した。しかし退院後、食事管理や運動不足、患者自身が断端損傷に気づかないなど断端管理不足がみられた。結果、断端損傷が頻回に生じ、治療やソケットの作成を複数回要したため義足未装着時期が続いた。今回の主な課題としては、退院後の患者教育不足が挙げられる。

    外来介入中も断端管理方法や運動頻度の確認、トレーニング内容の見直し、栄養管理を行うなどして患者教育を継続する必要があったと考える。

  • 丸山 拓也, 伊藤 渉, 三富 咲恵, 金子 未来, 佐藤 俊光, 渡部 莉那, 江玉 睦明, 山本 智章, 大森 豪, 富山 泰行
    p. 19-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】ACL 再建術後のリハビリテーションでは,患側および対側のACL 再損傷,受傷前の競技レベルでのスポーツ復帰が難しいことが問題としてあげられ,これらの問題は再損傷の恐怖感と関連することが報告されている.近年,ACL 再建術後の再損傷の恐怖感の評価としてACL-Return to Spot after Injury scale(ACL-RSI)が用いられることが多くなっている.当院にてACL 再建術を施行したスポーツ選手を対象としてACL-RSI スコアと膝関節屈曲・伸展等速性筋力との関係について検討することを目的とした.

    【対象と方法】当院にてACL 再建術を施行したスポーツ選手18 名(男性8 名女性10 名,年齢20.3±5.4 歳,身長

    164.8±6.3cm,体重63±7.5kg)を対象とした.ACL-RSI スコアはスポーツ復帰許可時の術後8 ヶ月時点に実施した.膝関節屈曲・伸展等速性筋力(60deg/sec,300deg/sec)は術後8 ヶ月時点の患健比を結果として用いた.McPherson et al.の研究を参考にACL-RSI スコア75 点未満(リスク群)と75 点以上(非リスク群)に分けた.膝関節屈曲・伸展等速性筋力の群間の差について対応のないt 検定を用いた.有意水準は5%とした.

    【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言および当院の臨床研究に関する倫理指針に従って実施した.

    【結果】ACL-RSI スコアの平均値はリスク群10 名53.8±15.3 点,非リスク群8 名87.4±7.5 点であった.すべての膝関節屈曲・伸展等速性筋力について群間に有意差は認められなかった.

    【考察】スポーツ復帰時のACL-RSI スコアの違いと膝関節屈曲・伸展等速性筋力に関連がないことが示唆された.ACL 再建術後の理学療法では,膝関節機能を代表する膝関節屈曲・伸展等速性筋力について復帰基準を設けてトレーニングを実施していることから,膝関節機能の評価項目のひとつである膝関節屈曲・伸展等速性筋力と関連が小さいことが考えられる.ACL-RSI スコアと関連する理学療法評価項目について検討することが今後の課題である.

  • 宮谷 洋平, 豊田 裕司, 高須 孝広
    p. 20-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【はじめに】内側半月板縫合術を施行し,術後に伏在神経領域に疼痛と知覚鈍麻を呈した症例を経験した.創部周囲の介入が症状緩和を認めたため報告する.

    【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき目的及び方法を十分に説明し同意を得た.

    【症例紹介】50 代男性.右膝内側半月板の水平断裂と診断され,鏡視下半月板縫合術を施行した.術後プランは4 週間装具着用,術後1 週より屈曲60 度の可動域練習開始であった.伏在神経領域の疼痛と知覚鈍麻は術後4 日目以降認めた.

    【理学療法所見】評価は術後11 日目に行った.疼痛部位は右下腿近位内側から下腿遠位内側に認めた.疼痛強度はVisual Analogue Scale(以下VAS)で65mm であった.圧痛は内転筋管,縫工筋,創部周囲に認めた.再現痛は右股関節外旋位の屈曲動作で認めた.右股関節内旋位と中間位の屈曲動作や股関節外転動作で疼痛増強は認めなかった.感覚は伏在神経領域に知覚鈍麻(3/10)を認めた.周径は内外側膝関節裂隙上で右39.5cm、左

    38.5cm であった.介入で縫工筋と内転筋管へ滑走促通後に症状の変化は認めなかった. 【治療】創部周囲皮膚へ縦横方向の運動と摘み運動

    【結果】疼痛はVAS で65mm から45mm,知覚鈍麻は3/10 から5/10 へ変化を認めた.

    【考察】本症例の障害部位は内転筋管と縫工筋に対してアプローチ後改善が乏しかったこと,症状が下腿内側近位から遠位まで認めたことから,内側下腿皮枝で症状が引き起こされていると考えた.術後よりコラーゲン線維は生成し,装具着用と術後1週より可動域訓練開始で創部周囲の動きが不足していること,腫脹によるコンパートメントの内圧が高いことが皮下組織の滑走を低下させ伏在神経の症状を引き起こしたと考えた.本症例より同症状を呈する症例は,手術侵襲や神経走行を解剖学的に考慮する必要があると考える.

  • 岡 大地, 大坂 祐樹, 古谷 英孝, 星野 雅洋
    p. 21-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】後弯症患者の歩行距離改善には,体幹伸展筋持久力トレーニングが有効と報告されている.今回,脊柱矯正固定術後患者に対する体幹伸展筋持久力トレーニングの効果をAB 法にて検証した.

    【方法】症例は,変性後弯症に対して脊柱矯正固定術を施行された70 歳代男性である.術後約1 年経過し,脊柱後弯により歩行能力が低下していた.介入デザインはAB 法を用いた.A 期は通常介入,B 期はA 期介入に加え体幹伸展筋持久力トレーニングを実施した.各介入頻度は,週3 回,3 週間とした.評価項目は,6 分間歩行距離

    (6MWD),Timed Loaded Standing(TLS),Oswestry Disability Index(ODI),腰痛VAS,体幹伸展筋力(ハンドヘルドダイナモメータ使用),体幹可動域(屈曲/伸展)(デジタルインクリノメータ使用)とした.評価時期は,介入前(A’),A 期介入後(A),B 期介入後(B)とした.6MWD,ODI,腰痛VAS の効果判定には臨床的最小重要変化量(MCID),体幹伸展筋力には最小可検変化量(MDC),TLS,体幹可動域には記述統計量を用いた.

    【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき,対象者に説明と同意を得た.

    【結果】6MWD[m](A’:60→A:137→B:334)は各時期でMCID(50m)を上回り,B 期では大幅な改善を示した.TLS[秒](A’:20→A:30→B:60)はB 期で大幅な改善を示した.ODI[%](A’:16→A:14→B:13)は各時期でMCID(10%)に満たなかった.腰痛VAS[mm](A’:50→A:33→B:19)と体幹伸展筋力[kgf](A’:21→A:30→B:44)は,各時期でMCID(12mm)とMDC(2.2kgf)を上回った.体幹可動域[°](屈曲/伸展)(A’:50/20→A:58/27→B:51/25)は著名な改善は示さなかった.

    【考察】6MWD はA 期と比較しB 期で大幅な改善を示し,高齢者平均(295m)を上回った.この結果は,B 期でのTLS の大幅な改善が関与していると考える.術後に脊柱後弯を呈した症例への体幹伸展筋持久力トレーニングは,歩行能力改善に有効と考える.

  • 渡部 莉那, 岡邨 直人, 石川 末和, 富山 泰行, 大森 豪, 山本 智章
    p. 22-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】体外衝撃波治療(以下ESWT)は,難治性足底腱膜炎の疼痛軽減に有効とされている.今回は当院での治療経験から,疼痛軽減に関与する因子について報告する.

    【方法】対象は2019 年10 月~2020 年12 月に足底腱膜炎に対しESWT を行った,男性13 名15 足,女性23 名26

    足,平均年齢48.0±14.2 歳である.ESWT にはDuolith SD1(ストルツメディカル社)を使用し,1 週または2 週に1 回の頻度で圧痛点に照射した.1 回の治療で2500 発,照射強度は最大0.25mj/mm2 までとし,患者が我慢できる最高出力強度にて照射した.疼痛評価にはVisual analogue scale(以下VAS)を用い,初回と最終についてVAS 平均とVAS 変化量を比較した.また,治療開始時に1 日における平均立位時間,活動時間について聴取,エコー画像にて足底腱膜の最大厚を測定した.これらのデータに対し,VAS 変化量を従属変数,立位時間,活動時間,足底腱膜の最大厚,初回VAS を独立変数とした重回帰分析を実施し,VAS 変化量への影響因子を検討した.統計学的処理は,VAS 平均の比較には対応のあるt 検定,VAS 変化量に関与する因子の分析にはStepwise(BIC)法による重回帰分析を用い,有意水準は5%未満とした.

    【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言および当院の臨床研究に関する倫理指針に従って実施した.データは個人情報保護に十分に注意して調査した.

    【結果】治療前VAS 平均は57.4±21.4mm であり,治療後VAS 平均は26.3±18.8mm と,有意に改善がみられた(p<

    0.001).重回帰分析では,VAS 変化量と関連がある項目は初回VAS(標準回帰係数0.67,p<0.05),立位時間(標準回帰係数-0.36,p<0.05)であった.

    【考察と結論】当院において足底腱膜炎に対するESWT は有効であった.また,疼痛改善に関与する因子として,初回VAS が高値であること,立位時間が短いことが検出された.VAS については先行研究に一致している.長時間の立位は足底腱膜炎の発症原因に挙げられており,ESWT の新たな予後予測因子として有用である可能性が示唆された.

  • 竹内 伸行, 松本 昌尚
    p. 23-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】疼痛部位と異なる部位の刺激で疼痛が抑制される現象はconditioned pain modulation(CPM)と呼ばれる。

    CPM は"痛みで痛みを抑制する"と表現されるように、その刺激は主に侵害刺激が有用であるとされてきた。しかし本邦において非侵害刺激によるCPM 効果が報告された(大野ら,2017)。一方、筆者らは10W 半導体レーザーによる疼痛緩和を検証しその有用性を報告してきたがCPM 効果は未検討であり、関連する報告も見当たらない状況であった。本研究は10W 半導体レーザーによるCPM 効果を検証することを目的とした。

    【方法】健常成人10 人の前腕掌側を対象とし、全員にレーザーを照射する照射群とダミー照射する対照群に参加してもらった。両群への参加順序は無作為とし、一週間以上の間隔をあけて実施した。対象にはどちらの群に参加しているか伝えなかった。左右どちらの前腕に照射(計測)するのかは無作為に決定し、各対象における照射群と対照群は左右を逆にして実施した。圧痛計にて圧痛閾値、知覚痛覚定量分析装置にて電流痛覚閾値と電流知覚閾値を計測した後、対側同部位に10W 半導体レーザーを照射し、その後、同様の計測を行なった。各指標は照射前後の値を対応のあるt 検定で解析し群内比較した(有意水準5%)。

    【倫理的配慮】全対象に書面にて同意を得て実施した。本研究は本庄総合病院倫理委員会の承認を得て実施した。

    【結果】照射群、対照群共に、圧痛閾値、電流痛覚閾値、電流知覚閾値の全項目で照射前後の有意な変化を認めなかった。

    【考察】非侵害性の温刺激および冷温同時刺激によりCPM 効果を認めたとの報告(大野ら,2017)がある。本研究で用いたレーザー光は非侵害刺激といえるが、今回の照射条件ではCPM 効果を認めなかった。非侵害刺激のCPM 効果に関しては曖昧な部分も多く、レーザーを用いた更なる検証も必要と考えられた。

    【結論】本研究の条件ではレーザー照射によるCPM 効果は得られないと示唆された。

  • 木村 亮介, 伊藤 晃弘, 三浦 弘司, 山本 瑚伯
    p. 24-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに,目的】Braden Scale(以下BS)は皮膚や栄養状態,活動性から褥瘡発生リスクを評価でき,日本褥瘡学会にて高い位置づけで行うように勧められている評価法である.合計点は6~23 点で病院では14 点,施設では17 点以下で褥瘡が発生しやすいといわれている.BS は褥瘡発生予測を簡便に行なえる方法ではあるが,さらに評価時間を短くできる方法はないかと考えた.そこでBarthel Index(以下BI)でBS の点数を予測できれば多くの医療,介護現場で褥創発生予測をより簡便に行うことが出来るのではないかと考えた.

    【方法】対象は2020 年5 月1 日から2021 年3 月31 日の間に疾患別リハビリテーションが処方された16 歳以上の入院患者436 名(年齢83±12.5)とした.方法はリハビリテーション初回介入後の48 時間以内にリハビリテーション担当者がBI,研究担当者と分担者がBS を測定しそれぞれの合計点を算出した.統計処理は説明変数をBI,目的変数をBS にした単回帰分析を行った.なお統計学的有意水準は全て5%未満とした.

    【結果】BI の中央値は40±30 点,BS の中央値は17±7.64 点であり単回帰分析を行った結果,統計学的有意差は5% 未満であった.

    【結論】BI とBS の点数は高い関係性があり,BI が褥瘡発生予測評価として使用可能であると考えた.またBS の14 点と17 点はそれぞれBI で27.5 点,35 点が中央値となった.このことからBI の値が病院では27.5 点以下,施設では35

    点以下の症例は褥瘡発生リスクが高いと言えるのではないかと考えた.今回はBI,BS 共に中央値のバラつきが大きかったため,今後は年齢,診断名,介護度,認知機能等,対象を絞り詳細なデータを得ることでBI を信頼して使用できる褥瘡発生予測評価法にしていきたい.

    【倫理的配慮】本研究は賛育会病院倫理審査委員会の承認を得て実施した.対象者は本研究の主旨を十分に説明した上で同意の得られた者とした.また対象者が同意の行為を行うことが困難な場合は代諾者に同意を得ることで対象者としてみなす事とした.

  • 高野 秀人, 兼岩 淳平, 竹内 大樹, 平田 正純
    p. 25-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【背景】拘縮肩を形成する要因は様々であり多角的な評価が必要である。今回超音波診断装置(US)を用いた評価により可動域制限因子を視覚的に特定しCHL 切離術を追加することで可動域制限が改善した症例を経験したため報告する。

    【症例】本症例は49 歳女性。2019 年12 月から明らかな誘因なく疼痛発症。趣味のバドミントンは継続出来ていたが、スマッシュで右肩前上方の疼痛が生じていた。理学所見での可動域制限とUS 評価ではLHB、RI の炎症所見を認め、拘縮肩と診断しリハビリ開始となった。可動域は屈曲165/180、外転160/180、第一肢位外旋(1stER)50/50 であった。圧痛はLHB、RI、CHL に認め、SulcusSign 陽性であった。その後改善傾向であったが、2020 年4 月誘因なく疼痛悪化し、1 ヶ月運動休止した。動作時痛は軽減したが1stER(0/50)のみ著明に増悪した。SulcusSign は陰性、圧痛部位はRI、CHL に認めた。US 評価では1stER でのCHL の伸張性低下、周辺組織の滑走不全を認めた。5 ヶ月のリハビリテーションに抵抗したため、CHL にUS 下生理食塩水注入(HR)を実施したが滑走性、外旋可動域ともに改善に至らなかった。そのためUS 下CHL 切離術を追加した。

    【結果】CHL 切離術後、1stER 40 に改善、疼痛消失しバドミントンに完全復帰したため通院終了した。

    【考察】炎症や疼痛により関節を不動にすることで組織の線維化が生じ疎性結合組織の密性化が生じると報告されている。本症例は疼痛増悪による安静期間に組織変化が生じ、可動域制限が増悪した。1stER 制限因子としてCHL が挙げられるが、手術により瘢痕組織を切離すると内・外旋運動が改善するという報告がある。今回、組織間の滑走性改善を目的にHR を実施したが、組織の密生化が強く可動域改善を認めなかった。そこでCHL 切離術を追加することで瘢痕組織の離解が生じ可動域改善を認めた。

    【倫理的配慮】 本症例には実験の趣旨と目的について口頭にて説明し、書面で同意を得た。

  • 保地 真紀子, 中山 裕子
    p. 26-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】骨粗鬆症を起因とする脆弱性骨折の内,脊椎圧迫骨折は中長期的にADL を低下させ,新たな脆弱性骨折のリスクを高めるとされる.本研究の目的は,圧迫骨折受傷後,再骨折を来した症例について調査し,その特徴を明らかにすることである.

    【方法】対象は2015.1~2016.1 に当院に入院した脊椎圧迫骨折症例128 名の内,高エネルギー外傷例,遷延治癒や遅発性麻痺などで手術に至った症例を除いた保存例71 名(男性16 名,女性55 名,80.8±10.5 歳)とし,退院後

    5 年間の再骨折を調査した.また再骨折受傷者について,圧迫骨折時の退院時歩行能力,Barthel Index(以下B.I),認知機能,L2-4 及び大腿骨頸部骨密度をカルテより後方視的に比較検討した.尚,本研究は当院の倫理規定に則り行った.

    【結果】退院後5 年間に何らかの骨折を来した症例は22 名,内9 名が大腿骨近位部骨折(FNF 群:男性1 名,女性

    8 名,85.7±6.2 歳),圧迫骨折が10 名(VCF 群:男性4 名,女性6 名,82.1±8.7 歳),その他が3 名であった.再骨折までの平均期間はFNF 群2.0±2.2 年であり,1 年以内に受傷した症例は5 名,VCF 群では1.5±1.4 年,6 名であった.圧迫骨折時の退院時歩行能力は,FNF 群で歩行自立3 名(33.3%),歩行介助4 名(44.4%),車椅子2 名

    (22.2%),VCF 群では8 名(80.0%),2 名(20.0%),0 名(0%)であり,B.I はFNF 群60.0±30.4 点,VCF 群80.5±16.2 点であった.認知機能はFNF 群で低下有7 名(77.8%),低下無2 名(22.2%),VCF 群では5 名(50.0%),5 名(50.0%)であ

    った.骨密度(%YAM)はL2-4 ではFNF 群73.9±18.3%,VCF 群74.6±14.4%であり,大腿骨頸部では58.8±12.0%,

    70.0±11.8%であった.

    【結論】再骨折の多くは脆弱性骨折の代表とされる大腿骨近位部骨折と脊椎圧迫骨折であり,約半数は退院後1 年以内の受傷であった.また近位部骨折に至った症例は,退院時歩行能力,B.I が低く,頸部の骨密度が低値であり,認知機能低下の割合が高い傾向にあった.

  • 石津 克人, 中山 裕子, 溝内 龍樹
    p. 27-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】腰部脊柱管狭窄症(以下LCS)の一般的な矢状面アライメントは,腰椎前弯減少,骨盤後傾,体幹前傾を呈するが,稀にスウェイバック(以下SB)姿勢も認める.われわれは,LCSにおいてSagittal vertical axis(以下SVA)が95mm

    以上を呈する体幹前傾姿勢は,歩行能力が有意に低下することを報告した(第28 回日本腰痛学会).しかし,SB 姿勢については検討しておらず報告もみられない.本研究の目的は,SB 姿勢を呈したLCS における歩行能力と疼痛について体幹前傾例と比較検討することである.

    【方法】対象は,2015 年10 月から2019 年12 月に術前評価を実施し,歩行が自立していたLCS151 例(男性85 例,女性66 例,平均71.0 歳)とした.検討項目は10m 最大歩行時間(以下10m 歩行),Timed Up&Go Test(以下TUG),腰痛・下肢痛VAS とした.尚,本研究におけるSB 姿勢はSVA:0mm 未満と定義した.次に,対象をSVA<0mm であるSB 群30 例,0≦SVA<40mm であるアライメント良好群32 例,40≦SVA<95mm である不良群49 例,95mm 以上である重度不良群40 例の4 群に分類し,多重比較検定を実施した(有意水準5%).

    【倫理的配慮】本研究は当院の倫理規定に則り行った.

    【結果】10m 歩行(秒)はSB 群7.2,良好群6.9,不良群7.4,重度不良群10.2,TUG(秒)は11.2,10.3,11.2,14.6 であり共にSB 群と重度不良群,良好群と重度不良群,不良群と重度不良群で有意差を認めた.腰痛VAS(mm)は

    31.1,34.4,34.2,43.8,下肢痛VAS は51.8,53.0,54.5,50.1 であり各群間に有意差を認めなかった.

    【結論】スウェイバック姿勢群の歩行能力は,良好群および不良群と同様の傾向を示した.疼痛は有意差がなく,スウェイバックは体幹前傾と共にLCS の症状を回避する姿勢戦略であることが考えられた.

  • 堀口 康太, 坂井 怜, 大坂 祐樹, 古谷 英孝, 星野 雅洋
    p. 28-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】腰椎術後の運動継続は,腰痛やADL を改善させると報告がある.近年,遠隔地より運動指導を行うTelerehabilitation(TR)が注目されている.今回,腰椎術後患者の運動指導に,動画によるTR を実施した結果,運動順守率が向上したため報告する.

    【方法】症例は,腰部脊柱管狭窄症に対し腰椎固定術を施行された70 歳代女性である.退院後,運動習慣定着を目的に外来リハビリテーションを実施していた.介入方法はAB 法で,各期3 週間とした.A 期はパンフレットを配布,B 期は動画を配布し,運動指導を実施した.内容はストレッチ,スクワット,体幹筋エクササイズとした.評価項目は運動順守率,Oswestry Disability Index(ODI),Functional Reach Test(FRT),体幹筋力(屈曲/伸展)とした.運動順守率は11 段階(0:出来なかった,10:出来た)で,毎日記録させた.評価時期は介入前(A’),A 期終了時(A),B 期終了時(B)とした.効果判定は運動順守率を2-Standard Deviation法(2SD),ODIを臨床的最小重要変化量(MCID),体幹筋力を最小可検変化量(MDC),FRT を同年代平均値で比較した.

    【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき,症例に説明と同意を得た.

    【結果】運動順守率[点](平均値±標準偏差)(A:7.8±0.6→B:9.6±0.5)はB 期でA 期平均値の2SD を上回った.ODI[%](A’:22→A:6→B:2)は各時期でMCID を上回る改善が得られなかった. FRT[cm](A’:23→A:23→B:30)はB 期で同年代平均値を上回った.体幹筋力[kgf](屈曲/伸展)(A’:11.7/13.3→A:9.2/13.1→B:17.8/20.5)はB 期で屈曲,伸展ともにMDC を上回った.

    【考察】動画によるTR は,映像の模倣により簡便に実施でき,運動内容を理解しやすく,本結果に至ったと考える.ODI はA 期介入後に低値であったことから,天井効果によりB 期介入効果を示さなかった.動画を用いたTR はパンフレット使用よりも運動順守率の改善に有用な指導方法である.

  • 神田 賢, 北村 拓也, 津布子 夏実, 佐藤 成登志
    p. 29-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】立位での異なる体幹肢位における健常者の腰部多裂筋の組織血流量を経時的に測定し,腰痛の原因になりうる筋血流量の変化を検証することを目的とした.

    【方法】対象者は,過去に腰痛症状のない健常な男女12名(男7名,女5 名,平均年齢20.9±0.4)とした.携帯型近赤外線組織血液酸素モニター装置(NIRS)を用い,第5 腰椎-第1 仙椎間の腰部多裂筋のヘモグロビン濃度変化

    (組織血液量:以下total-Hb,組織酸素化血液量:以下oxy-Hb)を,体幹中間位,屈曲60 度(以下屈曲位),伸展

    20 度(以下伸展位)で測定した.対象者は3 秒間かけて,立位中間位から屈曲位もしくは伸展位に動作を行ってもらい,その肢位を30 秒間保持させた.腰部多裂筋のoxy-Hb およびtotal-Hb の変化をそれぞれ中間位,肢位直後,

    10 秒後,20 秒後,30 秒後で測定を行い,その差の比較を行った.

    【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に則り,全対象者に研究内容の説明を行い,書面で研究への参加の同意を得た上で実施した.

    【結果】屈曲動作では,腰部多裂筋のtotal-Hb で,中間位から屈曲位保持までに,有意な減少(p=0.01)を認めた.oxy-Hb では,中間位から屈曲位保持までおよび,屈曲位保持20 秒から30 秒後において,有意な減少(p=0.008,

    p=0.003)を認めた.しかし他の測定時には有意な差を認めなかった.伸展動作では,腰部多裂筋のtotal-Hb で,中間位から伸展位保持および,伸展位保持直後から10 秒後に,有意な増加(p=0.003,p=0.003)を認めた.oxy-Hb では,伸展位保持直後から10 秒後に有意な増加(p=0.002)を認めた.しかし他の測定時には有意な差を認めなかった.

    【考察・結論】立位での体幹屈曲動作では,動作開始直後から屈曲位保持までに,腰部多裂筋のtotal-Hb およびoxy-Hb が減少することが示唆された.立位での体幹伸展動作では,伸展肢位保持後から10 秒後まで,腰部多裂筋のtotal-Hb およびoxy-Hb が増加することが示唆された.

  • 佐藤 俊光, 岡邨 直人, 山本 智章
    p. 30-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】成長期腰椎分離症(分離症)は12 歳~17 歳の成長期における発生が9 割を占めている。分離症と下肢の柔軟性の関係についての報告は多く聞かれているが、癒合・非癒合患者における身体機能的特徴を示す報告は少ない。本研究の目的は癒合・非癒合患者の外来受診時における身体機能的特徴を後ろ向きに調査することである。

    【方法】対象は2015 年9 月~2020 年1 月に当院で分離症と診断され、通院終了までリハビリを行うことができた小中高校生53 例(男性47 例、女性6 例)とした。対象に対して指床間距離(Finger Floor Distance:FFD)、体幹伸展角度、下肢伸展挙上角度(Straight Leg Raising:SLR)、踵殿間距離(Heel-Buttock Distance:HBD)を計測した。統計処理は対応のないt 検定、Mann-Whitney U 検定を用いた。有意水準は5%とした。

    【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に沿って対象者の倫理的配慮を行った。

    【結果】当院における癒合患者は28 名(52.8%)非癒合患者は25 名(47.2%)であった。身体機能面ではFFD において、癒合群9.0±13.3cm,非癒合群18.4±18.4cm となり癒合群で有意に低値を示した(p=0.04).他の計測項目において有意差は見られなかった。

    【考察】FFD において癒合患者では非癒合患者よりも柔軟性が高い結果となった。先行研究では分離症の病期は初期、進行期、終末期に分類され、骨癒合は初期の片側分離で癒合率が高く、病期が進んだ状態かつ両側分離になるにつれて癒合率は低くなっていく。本研究の癒合患者は初期の片側分離が多く(57.1%)、非癒合患者では進行期の両側分離が多い(68%)結果となった。初期分離症は初発時の腰痛が軽微であることが多く、安静で軽快し日常生活レベルでの支障も少ない。一方、進行期分離症は安静で軽快しない腰痛が多く、日常生活レベルにも影響を与えることからFFD における制限因子は癒合患者では非癒合患者より少なかったことが考えられる。

  • 田中 康雄, 岡邨 直人, 関根 裕之, 西沢 岳之, 大野 健太, 遠藤 一樹, 大石 泰輔, 小林 凛, 山本 智章
    p. 31-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】成長期に生じる野球肘障害の一つとして上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(以下,OCD)があり,発見が遅れると重篤な関節障害をもたらす可能性がある.新潟県ではOCD の早期発見・早期治療を目的に,2006 年から野球肘検診の開催を継続している.今回,COVID-19 感染予防対策を講じて野球肘検診を実施した取り組みと検診結果について報告する.

    【対象と方法】対象は検診を希望した新潟県内の小中学生36 チームで,各チーム選手の上限を3 名までとした.検診は理学療法士による肘関節の関節可動域検査,圧痛・外反ストレス時痛検査と医師,検査技師による肘関節の超音波検査を実施した.異常の疑われる選手に対して,医療機関の受診を勧めた.COVID-19 感染予防対策として,選手はマスクを着用し入口にて看護師による検温と手指消毒を実施してからの入室.検診スタッフはマスク,ゴーグル,手指消毒剤を携帯した.その他に検診会場を広く取り,常時出入口を開放した.密を避けるため入室人数を制限し,間隔はテープで目印をした.

    【倫理的配慮】事前に各チームの監督,保護者に対して検診の目的,内容について説明し同意を得た.

    【結果】104 名(6年生:40 名,5年生:50 名,4年生:12 名,3年生:1名,2年生:1 名)の検診を実施し,4 名(3.8%)のOCD を発見できた.OCD 4 名それぞれの保護者に対して医療機関の受診を勧めた.そのうち,現在肘の痛みのある選手は1 名であった.

    【考察】野球肘検診の目的は障害の早期発見である.今年度は投手を中心に限られた人数に対して検診を行い,4名のOCD を発見することができた.また疼痛を有していた選手が4名中1名であったことから,OCD 初期は無症候性で進行していることが考えられる.そのためCOVID-19 感染禍であるが,検診を開催し4名のOCD の早期診断と治療が行えたことは大きな意義がある.

  • 齊藤 光志, 西元 淳司, 森本 貴之, 倉坪 亮太, 増間 弘祥, 渡邊 裕之
    p. 32-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】スポーツ活動中に生じる筋痙攣は運動誘発性筋痙攣(EAMC)と呼ばれる。EAMC の原因の一つに内科的要因(電解質異常、脱水等)が報告されているが、体力的要因(筋形態)について述べられた報告は少ない。本研究の目的は腓腹筋の筋形態(筋束長:FL、筋厚:MT、羽状角:PA、腱膜角:AA)とEAMC 発生との関連を明らかにすることとした。

    【方法】中学サッカー部に所属する男子選手72 名144 脚を対象とした。筋形態の評価方法は、超音波断層撮影装置を用いて行い、脛骨長軸にプローブを配置し、腓腹筋の長軸像を描出させた後に筋束が最長、高輝度の画像を左右2 枚ずつ撮影した。腓腹筋内側頭の近位4 分の1 のMT、PA、AA を計測し、FL は sin(AA+90°)×MT÷ sin{180°-(AA+180°-PA)}の計算式にて算出した。参加した選手にEAMCの既往について調査し、既往歴の有無から痙攣群(n=50)と非痙攣群(n=94)の2 群に分けた。2 群間の筋形態の差について対応のないt 検定を行なった。

    【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者と家族に書面にて説明し同意を得た。

    【結果】痙攣群の腓腹筋のFL(7.51±1.49cm)は、非痙攣群(8.18±2.42cm)に比べて有意に短縮していた(p=

    0.042)。MT、PA、AA では有意差を認めなかった。

    【考察】痙攣群ではFL の有意な短縮を認め、MT、PA、AA には有意な差を認めなかった。過去の報告では、EAMC

    は短縮位で筋収縮を生じさせることで発生することが明らかとなっているが、同時にEAMC は予測不可能で、様々なメカニズムと状況によって引き起こされると言われている。EAMC 発生メカニズムの更なる追求が今後の課題であり、EAMC と関連があるとされる脱水や電解質異常等の要因についても検討していく必要がある。

    【結論】EAMC を認めた中学男子サッカー選手は、FL が有意に短縮していることが明らかとなった。今後は、EAMC

    発生の原因を脱水や電解質異常の有無も含めて多角的に検討する必要がある。

  • 青木 優, 大山 祐輝, 本間 佑介
    p. 33-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】今回,小学生野球選手を対象に,Functional Movement Screen(以下FMS)と筋の柔軟性検査から複数ポジション(以下 複数)と単一ポジション(以下 単一)における身体機能の特性について関連を明らかにすることを目的とした.

    【方法】対象は,当院で実施した2015~2018 年の各年11 月にメディカルチェックへ参加した少年野球選手281 名

    (複数:153 名、単一:128 名)とした.調査項目は年齢,野球歴,野球開始年齢,FMS 合計点,筋の柔軟性検査とした.筋の柔軟性検査はSLR,FFD,HBD,腸腰筋は膝抱え姿勢での床~膝窩までの距離で計測,下腿三頭筋は立位膝伸展位での足関節最大背屈角度で計測した.FMS に関しては全7 項目の21 点満点で採点した.今回,複数群と単一群でのFMS 合計点,筋の柔軟性検査の群間比較をMann Whitney の検定で算出した.

    【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に沿って研究計画を作成し,当院倫理委員会にて承認を得た(202102).測定にあたり,本研究の趣旨を説明し,同意署名を得た.

    【結果】 対象者の年齢は10.4±0.68 歳,野球歴3.12±11.4 年,野球開始年齢7.41±1.05 歳,複数内の投手の人数は131 名(86%),単一内の投手人数は33 名(26%)であった.各項目の中央値(四分位範囲)は複数群/単一群でFMS 合計点:16(15-17)/16(14-17)点,FFD:投球側0.5(-3-3)/1(-2-4)cm,非投球側0(-3-3.12)/0.75(-2.5-4)cm,下腿三頭筋:投球側40(30-45)/40(15-45)(°),非投球側40(35-45)/40(15-45) (°),腸腰筋:投球側4(2-5)/4(0-5)cm,非投球側4(2-5)/3(0-4.5)cm,大腿四頭筋:投球側70(60-75)/70(35-75)(°),非投球側70(65-80)/70(40-80)(°),HBD:投球側0(0-2)/0(0-2)cm,非投球側0(0-2.5)/0(0-2.5)cm であった.両群で有意な差を認めなかった.

    【考察】今回,複数と単一ポジションにて,身体機能面での有意な差は認められなかった.これは,全選手281 名中164

    名(58%)の選手が投手をしており,ポジションごとの特性による身体機能への影響が少なかった可能性が考えらえる.

  • 池津 真大, 兼岩 淳平, 竹内 大樹
    p. 34-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【はじめに】今回,我々は投球時に右肘内側および外側部に疼痛を訴える中学生野球選手の症例を経験したので報告する.

    【倫理的配慮】本報告は「ヘルシンキ宣言」を遵守しており,本症例には発表の趣旨を十分に説明し同意を得た.

    【症例】14 歳,男性,キャッチャー.現病歴は,2020 年11 月中旬に投球30 球程度行った際,徐々に右肘内側および外側部痛が出現.その後も投球時痛があり,リハビリ開始となった.主訴は,投球時のlate cocking~acceleration phase にかけての右肘内側および外側部痛であった.画像所見では,X 線,MRI,US いずれも異常所見を認めなか

    った.肩水平外転位での肩外旋強制で疼痛の再現がされ,肩甲骨後傾誘導でNRS6 から2 に疼痛軽減した.圧痛は,前腕屈筋群,尺骨神経,橈骨神経,小胸筋,肋鎖間隙に認めた.アライメントは,右肩甲骨外転・下方回旋,胸椎後弯角34°であった.右小胸筋長は9.8cm,左小胸筋長は11.5cm であり,右小胸筋長の短縮を認めた.右肘関節可動域は屈曲90°,伸展0°であり,疼痛による制限を認めた.右肩甲骨周囲筋筋力はMMT4 であった.整形外科テストは,尺骨神経伸張テスト,Wright test,Roos test 陽性であった.治療は右肩甲骨マルアライメント改善を目的とした介入を行った.治療介入1 週間後には,圧痛消失,右小胸筋長11.9cm,右肘関節屈曲140°,全ての整形外科テストが陰性となった.

    【考察】本症例は,投球時に右肘内側および外側部に疼痛を訴える中学生野球選手であった.先行研究では,オーバーヘッドスポーツ選手の肘痛と胸郭出口症候群に関係性があることが報告されている.胸郭出口症候群の絞扼部位には,斜角間隙,肋鎖間隙,小胸筋下間隙があり,本症例は小胸筋下間隙での絞扼が肘痛の主原因であると考えられた.今後は本症例の結果を基に,野球選手における肘痛の原因を解明していく必要がある.

  • 柴崎 章文, 平木 達也, 加藤 宗則, 中村 真寿美, 鷲澤 秀俊
    p. 35-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
    会議録・要旨集 フリー

    【目的】投球動作などの肩関節運動障害の発生には、肩の内外旋筋の筋力や筋力比が原因となることがあるが、これらを外転位において異なる回旋角度で評価する方法は報告されていない。今回肩関節90°外転位における外旋

    45°、外旋90°の肢位で等尺性内旋筋力と外旋筋力を計測する方法を考案し、その信頼性を明らかにすることとした。

    【方法】対象は肩関節に既往のない男女19 名(平均年齢29.7±8 歳)とした。計測はアニマ社製ハンドヘルドダイナモメーターμTasF-1 を使用し、5 秒間の等尺性運動を30 秒間の休息を設けて2 回ずつ行った。内旋筋力は肩関節を外旋45°、90°に固定できる傾斜のついた計測台に取り付けたセンサーを前腕腹側部で押すように計測した。

    外旋筋力はベッド脚に固定した治療ベルトによって外旋角度を45°、90°に調整し、ベルトの端に取り付けたセンサーを前腕背側部で押すように計測した。1 時間以内に2 人の検査者が計測し、24~48 時間以内に再計測を行った。計測値の平均を元に、日を改めた2日間の検者A の検者内信頼性と、検者AB の同日内の検者間信頼性を級内相関係数(ICC)にて検討した。

    【倫理的配慮】本計測はヘルシンキ宣言に則り行った。また、計測に伴って生じるリスクについて事前に説明をし、口頭による同意を得た。

    【結果】各計測におけるICC(1,1)、(2,1)は以下の通りであった:外旋45°位での内旋筋力:0.92、0.95、外旋45° 位での外旋筋力:0.92、0.85、外旋90°位での内旋筋力:0.95、0.89、外旋90°位での外旋筋力:0.66、0.78。

    【結論】内旋と外旋45°における外旋筋力計測で高い信頼性を得ることができた。外旋90°における外旋筋力のICC が低値である原因としては、角度調整が治療ベルトのみで行われていることや、同肢位では外旋可動域の影響で筋力の発揮が不十分であることなどが示唆される。

  • 小川 幸恵, 保地 真紀子, 中山 裕子
    p. 36-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】骨粗鬆症は骨折のリスクを高め,骨折を生じるとADL・QOL が低下することが報告されているが,大腿骨近位部骨折術後の歩行能力への影響については明らかでない.大腿骨近位部骨折術後の歩行能力と骨粗鬆症の関連を調査した.

    【方法】対象は2018.4~20.3 に入院した大腿骨近位部骨折症例175 名(男性29 名,女性146 名,平均年齢83.2±

    8.6 歳)とした.受傷前車椅子の症例は除外した.退院時の歩行能力により,歩行群99 名(平均79.9±8.1 歳)と車椅子群76 名(平均87.6±7.3 歳)の2 群に分類,さらに歩行群を,杖自立群57 名,歩行器自立群18 名,歩行器介助群24 名の3 群に分類した.調査項目は,大腿骨頚部の骨密度(大腿骨BMD),年齢,受傷前歩行能力,歩行群の最終的な歩行手段を獲得するまでの期間(歩行獲得期間)とした.統計学的検討は,ピアソンの相関係数,t検定及び一元配置分散分析を用い,有意水準は5%とした.尚,本研究は当院の倫理規定に則り行った.

    【結果】歩行群と車椅子群の比較では,大腿骨BMD は歩行群0.615±0.129g/cm2,車椅子群0.536±0.111g/cm2

    であった.両群とも骨粗鬆症に該当し,車椅子群は有意に低かった.さらに歩行群内の比較では,杖自立群0.635±

    0.125g/cm2,歩行器自立群0.609±0.113 g/cm2,歩行器介助群0.572±0.143 g/cm2 であり,有意差を認めなかった.受傷前歩行能力は,歩行群は全例自立(フリーハンド81 名,杖12 名,歩行器6 名)であったのに対し,車椅子群は自立66 名(フリーハンド39 名,杖16 名,歩行器11 名),歩行器介助10 名であった.年齢と歩行獲得期間及び大腿骨BMD はそれぞれ有意な相関(r=0.45, r=-0.41)を示したが,大腿骨BMD と歩行獲得期間は相関が見られなかった.

    【結論】大腿骨近位部骨折術後の歩行能力と骨粗鬆症は,歩行が可能であるか,車椅子レベルかには関連するが,自立の可否や補助具の種類など歩行手段には関連しない可能性が考えられた.

  • 金子 翔, 齋藤 彰誉, 宮内 秀徳, 妹尾 賢和, 平尾 利行
    p. 37-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】術後3 ヵ月時の自覚的脚長差(以下PLLD)に影響する因子を明らかにすることである.

    【方法】対象は2017 年から2019 年までに当院にて片側人工股関節全置換術を施行し,術後の構造的脚長差を認めていない(涙痕を結ぶ線と小転子の距離を5mm 以内と定義)438 名438 股の女性とした.このうち術後3 ヵ月時のアンケートにて自覚的脚長差を認めた群をPLLD 有群(A 群),認めなかった群をPLLD 無群(B 群)とした.調査項目は基礎項目として術前の年齢・BMI,構造的因子としてCrowe 分類(1・2・3 以上),術後3 ヶ月時の股関節可動域

    (伸展・外転・内転),歩行時痛(Visual analog scale)とした.統計解析は従属変数をPLLD の有無,独立変数は股関節可動域(伸展・外転・内転),歩行時痛とし,単変量ロジスティック回帰分析を行った後,独立変数に対して術前のCrowe 分類・年齢・BMI を共変量として強制投入し,多重ロジスティック回帰分析を実施した.(統計ソフトR コマンダ

    ー 4.0.2,有意水準5%)

    【倫理的配慮】当院倫理委員会の承認を得て被験者に研究の意義・目的について十分に説明し同意を得た後に実施した(承認番号2020053).

    【結果】A 群は187 例(42%),B 群は251 例(58%)であった.単変量ロジスティック回帰分析より内転可動域(or0.93)が有意な関連性を認めた.また術前因子を強制投入し多重ロジスティック回帰分析をしたところ,同様に内転可動域

    (or0.94)に有意な関連性を認めた.この際,共変量であるCrowe 分類(or2.11)にも有意な関連性を認めた.

    【考察】先行研究ではPLLD の因子として股関節内転可動域が関連していると多く報告されている.本研究においても同様の結果となった.また術前因子のCrowe 分類が有意な関連性を認めたことで術前の構造的脚長差が,術後のPLLD 残存に影響することが示唆された.

    【結論】3 ヵ月時のPLLD 残存には術後の股関節内転可動域および術前の構造的脚長差が関連していた.

  • 松井 拓巳, 平尾 利行, 妹尾 賢和
    p. 38-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】当院における人工股関節全置換術(THA)患者は1 週間以内のクリニカルパスを用いており、歩行能力の向上やADL 能力の向上は急務である。そのため、今回の研究では、THA 術後早期の症例に対し、股関節内転筋群への介入方法の違いが歩行に及ぼす影響を明らかにすることである。

    【方法】対象は、2019 年7 月から10 月に寛骨臼形成不全症を起因とし初回片側THA を施行した患者30 名をダイレクトストレッチ群(DS 群)15 名、スタティックストレッチング群(SS 群)15 名に分類した。年齢およびBMI に有意差は認めなかった。評価項目は、術後3 日目における4m 歩行速度 、立位骨盤アライメント、外転筋力を介入前後で実施した。評価と介入は同一検者が行い、薄筋と長内転筋に対し、DS またはSS を30 秒2 セットずつ実施した。統計解析は、群間と時期の2 要因で分割プロットデザインによる分散分析を用いて検討し、交互作用を認めた項目に対し下位検定を行った(P<0.05)。

    【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に基づき、当院の倫理委員会の承認(承認番号:2019033)を得て実施した。

    【結果】分割プロット分散分析の結果の平均は(DS 介入前/介入後、SS 介入前/介入後)、 4m 歩行では群間と時期の主効果認め、交互作用を認めた(3.45 秒/2.91 秒、 3.71 秒/3.45 秒)。立位骨盤アライメントでは群間の主効果を認めず、時期の主効果、および交互作用を認めた(12.7°/9.3°、8.3°/7.7°)。外転筋力では、時期の主効果を認め、群間の主効果および交互作用は認めなかった。

    【考察】内転筋への介入は、骨盤を前傾方向へ牽引していた内転筋の伸張性が増したことによって骨盤が中間位方向へ是正され、外転筋力が向上し、歩行速度が改善したものと考える。また、4m 歩行速度では、SS よりもDS の方が有意に改善したことからDS は術後早期において有用な介入方法と考える。

    【結果】THA 術後早期における内転筋へのDS は、歩行能力向上に寄与することが示唆された。

  • 立花 祥吾, 浦田 龍之介, 梅木 伽那, 岩本 航平, 釜野 洋二郎, 増田 司, 木村 郁夫
    p. 39-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【背景】大腿骨転子部骨折術後の急性期リハビリテーションは早期離床が推奨されているが、術後に心不全が増悪した患者に対する介入は確立されていない。心不全に対する急性期リハビリテーションは、角谷らの早期離床プログラムがADLの改善に有効と報告されている。今回、大腿骨転子部骨折術後に慢性心不全の急性増悪を呈した症例に対し、角谷らの早期離床プログラムに基づいた介入を行った結果、ADL の改善を認めたため報告する。本発表はヘルシンキ宣言に則り実施した。

    【症例紹介】慢性心不全、重症大動脈弁狭窄症、胸部大動脈瘤、心房細動を有する80 歳代の女性。ADL は介助歩行レベルであった。

    【経過および結果】右大腿骨転子部骨折を受傷し、3 日後に観血的整復固定術(γ-nail)が実施された。術後翌日に胸水貯留と呼吸困難が出現し、慢性心不全の急性増悪(NYHA4 度)と診断された。心不全症状に基づく段階的な離床と運動療法からなる早期離床プログラムを、術後翌日より開始した。術後14 日目に立位保持まで可能となり、股関節可動域訓練や下肢抵抗運動、平行棒内歩行を実施した。術後19 日目に3 日以内の1.8kg 以上の体重増加、23

    日目に重度の貧血を示したため、離床は座位保持までに制限し、抵抗運動以外の下肢機能訓練を実施した。最終的には、術後48 日目に移乗までの離床段階で施設退院となった。初期評価時にNRS8 であった創部痛は退院時に

    1 へ改善した。右股関節屈曲可動域は60°から105°、外転は20°から40°へ拡大し、伸展は退院時に0°であった。MMT は右腸腰筋、大腿四頭筋はGrade2 から4 へ向上し、中殿筋は退院時にGrade 3 であった。移乗動作時のBorg scale は15 から11 へ減少し、FIM 運動項目は24 点から36 点へ改善した。

    【考察】本症例に対して早期離床プログラムに基づいた介入を実施した結果、心負荷に配慮しながらADL を改善することができた。今後は症例数を増やし、プログラムの効果について検討する必要がある。

  • 津村 諒, 高野 義隆, 丹田 萌絵, 高林 知也, 山本 智章
    p. 40-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】近年,術後患者において基本動作能力を評価するツールとしてCumulated Ambulation Score(以下,CAS)が用いられている.特に大腿骨近位部骨折術後ではCAS が術後合併症や生存率の有意な予測因子であり,自宅退院率とも相関があることから,転帰の予測に有用と報告されている.しかしCAS と退院時歩行能力との関連は明らかになっていない.そこで本研究は,CAS と退院時歩行能力との関連性について検討した.

    【方法】対象は2020 年8 月から2021 年3 月までに当院で手術を行い、退院時の歩行評価が可能であった大腿骨近位部骨折患者17 名である.評価項目は年齢,受傷前移動能力,CAS,退院時の屋内歩行能力とした.CAS は術後1 日目からPT 介入時の端坐位,移乗,歩行動作を,不可:0 点,要介助:1 点,自立:2 点としてスコア化し,介入

    7 日目までの合計点を算出した.退院時の歩行能力は独歩・T 字杖群と歩行器以下群の2 群に分けCAS との関連を検討した.統計学的手法はMann-Whitney のU 検定による2 群間の比較を行い,有意水準は5%とした.なお,本研究は対象者の倫理的配慮を行い検討した.

    【結果】独歩・T 字杖群は6 名(男性:2 名,女性4 名,平均年齢79.2±7.7 歳)であり,全員が受傷前独歩レベルであ

    った.歩行器以下群は11 名(男性:2 名,女性:9 名,平均年齢86.5 歳±9.0 歳)であり,受傷前移動能力は独歩が2 名,伝い歩きが2 名,歩行器が3 名,車椅子が4 名であった.年齢では2 群間で有意差は認められなかった.CAS は独歩・T 字杖群で30±12.2 点,歩行器以下群で19.6±6.7 点であり,独歩・T 字杖群が歩行器以下群と比較して有意にCAS が高値を示した.

    【考察】本研究では独歩・T 字杖群においてCAS が有意に高値を示し,退院時歩行能力との関連が示された.よってCAS は術後早期より退院時歩行能力の予測が可能な評価ツールとして活用できる可能性が示唆された.今後は症例数を増やし,更なる有効性を検討していく必要があると考える.

  • 加藤 綾華, 河原 佳希, 小串 健志
    p. 41-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【はじめに】下腿切断者のリハビリテーションでは,切断側の筋力低下や車椅子生活が長く膝関節の自動伸展不全

    (以下,extension lag)を呈している症例を経験する.今回,下腿切断者のextension lag に対しsingle-joint type of Hybrid Assistive Limb(以下,HAL-SJ)を使用し角度の改善を認めた症例を経験したので報告する.

    【症例紹介】40 歳代前半女性.線路に飛び込み右下肢完全断裂,左下腿不全断裂を受傷.受傷後2 日右大腿切断,左下腿切断及び断端部形成術施行.受傷後66 日当院へ転院.急性期病院から断端部へのシリコンライナー着用.断端部痛,幻肢痛なし.受傷後94 日左下腿義足作成.作成時の左膝関節伸展角度は自動で-8 度,他動で0 度,下肢筋力は徒手筋力計にて計測し左膝関節伸展20.9kgf であった.本人から「膝の伸ばし方がわからない」などの訴えがあり,左膝関節のextension lag に対してHAL-SJ を実施した.

    【方法】HAL-SJ はHAL 自立支援用単関節タイプを使用.下腿義足を使用した状態でHAL-SJ を装着し,座位にて足部は床から浮かせた状態とした.HAL-SJ のアシスト量は膝関節最大伸展位まで運動可能な範囲に設定をした.単関節の運動学習訓練を40 分/回,3-4 回/週の頻度で実施し,計7 回,2 週間実施した.実施中はモニター画面を確認し視覚的FB を用いながら訓練を実施した.実施前後で膝関節伸展筋力,座位での膝関節自動伸展角度を測定した.

    【説明と同意】本報告は当院倫理員会の承認を得た(承認番号21-001).

    【経過】介入後,膝関節伸展筋力は22kgf,左膝関節伸展角度は自動で0 度となった.本人の訴えとしては「伸ばしている感じがする.楽に伸ばせる」などが聞かれた.

    【考察】切断側に義足を装着しHAL-SJ を実施したことで切断部分の下腿の動きをイメージでき,運動学習効果を得ることが出来たと考えられる.切断側の運動学習訓練では,義足とHAL-SJ の組み合わせも切断者の訓練の一助となると考えられる.

  • 仲山 勉, 塚田 幸行, 小川 博之, 西野 正洋, 青山 広道, 黒坂 健二, 平澤 直之
    p. 42-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【背景,目的】変形性膝関節症(Knee OA)の発症・進行因子に,肥満度(BMI)が挙げられる。Knee OA 患者の体重管理は,疼痛緩和や機能改善に関連することが報告されている。しかし,起立・着座動作を含んだパフォーマンステストに対するBMI の影響は不明である。本研究の目的は,Knee OA 患者の関節可動域・歩行速度・動的バランスについて,BMI の違いによる影響を明らかにすることである。

    【方法】対象は,2019 年1 月~2020 年12 月に人工膝関節全置換術を控えた片側Knee OA 患者とし,診療録に基づき後方視的に検討した。除外基準は,他の整形外科疾患や脳神経疾患を合併している症例とした。評価項目は,術前日の膝関節可動域(屈曲・伸展),Timed Up and Go Test(TUG),10-meter Walk Test(10MWT),Functional Reach Test(FRT)とした。これらの評価項目のデータ正規性を確認した後,有意水準5%として非肥満群(BMI30 未満)と肥満群(BMI30 以上)で比較(対応のないt-test)した。

    【結果】対象者は,非肥満群192 名(平均年齢75.1 歳,女性165 名 男性27 名)と肥満群58 名(平均年齢70.8

    歳,女性50 名 男性8 名)であった。各評価項目の平均値±標準偏差を,非肥満群/肥満群(p 値)で示す。屈曲可動域(°)は122.3±25.6/111.7±20.5(p=0.0001),伸展可動域(°)は-7.4±7.5/-10.4±8.8(p=0.01),TUG

    (秒)は10.3±4.8/11.8±4.3(p=0.02),10MWT(秒)は10.7±4.7/11.8±4.3(p=0.06),FRT(cm)は19.5±7.9/

    19.5±7.1(p=0.97)であった。

    【考察,結論】Knee OA 患者の膝関節屈曲・伸展可動域とTUG は,非肥満群と比較して肥満群において有意に低値を認める結果であった。一方,10MWT とFRT は,BMI の違いによる有意差を認めない結果であった。

    【倫理的配慮】本研究は観察研究かつ後ろ向き研究であり,データは診療に必要な評価結果を,ヘルシンキ宣言および個人情報保護法の趣旨に則り使用している。

  • 礒 秀昭, 斎川 大介
    p. 43-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】 当院における人工膝関節全換術(以下TKA)術後の1)膝屈曲ROM の推移を明らかにし,2)ROM の推移に影響を与える因子を明らかにすることである.

    【方法】 対象は2020 年10 月~2021 年5 月までに行われたTKA16 例17 膝.男性5 例5 膝,女性10 例11 膝,年齢は63 歳~87 歳で平均74.56 歳±6.01,経過観察期間は膝屈曲ROM がプラトーに達するまでとした. 以上の症例に対して術前の膝屈曲ROM とJOA,術後1 週ごとの膝屈曲ROM を測定した.計測は理学療法介入前とした.最終ROM に到達するまでの期間にかなりのばらつきがみられたため,膝屈曲ROM がプラトーに達するまでの期間で正規化し,膝屈曲ROM が最終可動域の80%,90%,100%に到達するまでの各因子の影響についても検討した. 術後の可動域に影響を与えると思わる因子として先行研究をふまえ年齢,術前膝屈曲ROM,術前FTA,術前後のFTA の差,術前後の膝蓋骨の厚さの差,術前後のJoint Line の高低差,術前JOA 点数,BMI を比較し検討した.

    【倫理的配慮】 ヘルシンキ宣言に基づき対象者には研究内容を十分に説明し同意を得た.

    【結果】 全ての対象において,TKA 術後の目標膝屈曲ROM である120°に達した.術前後のFTA の差(P 値0.047,相関係数0.50),Joint Line の高低差(P 値0.0194,相関係数-0.576)の項目で膝屈曲ROM との有意な相関を認めた. 【考察】 術中矯正角度が大きいものほど早期にプラトーに達した.同様の報告をしている先行研究では矯正角の強い群では内側広筋の侵襲に加え,筋切離部の離開面積が大きく疼痛を発生させる筋緊張が増加するため,3~4 週で停滞すると述べられている. 本研究では術前後Joint Line の高低差が少ないものほど早期に膝屈曲ROM がプラトーに達した.本研究においては全症例で術後のJoint Line の下降がみられた.その中で,早期にROM の改善が得られた群では術前後のJoint Line の高低差の変化が少なかった.これは骨切り量が少ないため侵襲が少なく,早期にROM の改善が認められたためと考える.

  • 伊東 恒輝, 伯川 聡志, 石渡 正浩, 深江 航也, 小倉 征慈
    p. 44-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】本邦では、年間約9 万件の人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty;以下TKA)が行われている。中でもTKA 術後患者に剥離骨折が生じるケースは稀であり、その治療についてリハビリテーションの観点から検討されている報告は渉猟する限り見当たらない。本症例ではTKA 術後において膝関節を含めた機能は良好であったが、歩行時に疼痛が生じ、疼痛部位は術後早期より骨剥離を認めていた。骨剥離部に対する理学療法評価、治療について報告する。

    【症例紹介】70 代女性。術前はT 字杖を用いて歩行は自立しており、農業や酪農に従事していた。変形性膝関節症発症し左膝関節痛出現。およそ10 年後に両TKA 施行。術後4 週、リハビリ目的に回復期病院である当院へ転院となった。

    【倫理的配慮】発表に際し、ヘルシンキ宣言に基づき症例には内容を十分に説明し書面にて同意を得た。また。当院倫理委員会にて承認を受けている。

    【経過】当院転院時、歩行は両T 字杖で自立しており、疼痛無く可能であった。術後6 週より歩行時に大腿遠位部にNumerical Rating Scale(以下NRS)8 程度の疼痛あり。前医のX 線画像より左大腿骨外側顆付近に骨剥離を確認した。理学療法介入は超音波エコーを用い、疼痛との関連を調べた。特に座位にて股関節内旋位での膝関節伸展動作時に外側広筋を優位に収縮させると骨剥離の僅かな動きを認めた為、剥離骨の動きを確認しながら、運動療法を展開し、疼痛のコントロールを行うことに努めた。術後7 週では、独歩可能となり、疼痛はNRS2 と軽快した。

    【結論】TKA 術後患者において骨剥離が生じた症例を経験した。TKA 施行後に骨剥離による疼痛が生じるという稀な症例に対し疼痛のコントロールを工夫して介入することで疼痛は軽快し、独歩での退院が可能となった。

  • 小林 柾貴, 豊田 剛, 松井 克明, 中曽祢 博史
    p. 45-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】今回,Double Level Osteotomy(以下,DLO)後症例に対して,反重力トレッドミル(以下,AlterG)での歩行練習を施行し,歩行能力の改善を認めた症例を経験したので報告する.

    【症例紹介】57 歳男性.主訴は右膝内側痛.診断は右特発性大腿骨内顆骨壊死症及び右変形性膝関節症.術前ADL は独歩で全自立.職業復帰を希望していた.

    【術前評価】右膝関節可動域(以下,ROM)は屈曲135°伸展-5°,右膝自動伸展不全5°,疼痛はVisual Analog Scale(以下,VAS)で30mm,10m 歩行は快適速度1.23m/s(8.1 秒),最大速度1.45m/s(6.9 秒),6 分間歩行距離

    (以下,6MD)は460m であった.

    【介入内容及び経過】術後翌日より患肢免荷で後療法開始.術後1 週半から松葉杖歩行練習を開始するも,「不安定で松葉杖は怖い」との発言があった.術後3 週より1/3 荷重を開始するも,不安感の訴えは継続してあり,AlterG を用いて歩行練習を開始した.パスに準じて荷重量を変更しながら,術後6 週までAlterG での歩行練習を継続した.術後7 週で独歩で自宅退院となった.

    【退院時評価】右膝ROM 屈曲135°伸展0°,右膝自動伸展不全5°,VAS10mm,10m 歩行は快適速度1.23m/s

    (8.1 秒),最大速度1.92m/s(5.2 秒),6MD は465m と概ね術前と同等に維持されていた.

    【考察】体重免荷歩行は変形性膝関節症患者の歩行恐怖感を軽減し,歩行速度や耐久性の改善に効果的であるとの報告がある.本症例においても部分荷重時期のAlterG の使用により,一定の歩行距離を確保でき,歩行能力が改善した可能性があると考えた.

    【結論】DLO に対し,AlterG を使用し後療法を行った一例を経験した.部分荷重時期の歩行不安感に対してAlterG を使用することで,一定の歩行練習を行うことができた.術後7 週で独歩で自宅退院し,術前と同等の歩行能力に改善した.

    【倫理的配慮】対象症例には,書面を用いて報告の趣旨を説明し同意を得た.

  • 井村 洋之, 小川 直人, 久保田 雅史, 田代 章子, 小林 昌子, 三原 かおり, 佐藤 満美, 川合 暢
    p. 46-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】心不全症例におけるSMI に影響を与える因子を明らかにすること。

    【方法】2020 年7 月から2021 年3 月まで当院で外来心臓リハビリテーション(外来心リハ)を実施した心不全症例(n =50)を対象とした。また体組成計による検査を外来心リハ初回と約4 ヶ月後の2回実施することができた症例であり、生化学データなどデータ欠損の無い(n=33)を解析対象とした。当院の外来心リハでは準備体操、レジスタンストレーニング(RT)、自転車エルゴメーターによる有酸素運動を毎回実施している。4 ヶ月後再評価を行い、SMI の増加群(n=16)とそれ以外の低下群(n=17)に群分けした。それぞれの外来心リハ実施回数、CPX 実施の有無、基本情報、身体機能、体組成、外来心リハ開始時期の生化学データ、合併症や冠危険因子の有無、栄養評価としてCONUT スコア、GNRI について後方視的に調査し群間比較を行った。更にSMI に関わる因子についてロジスティック回帰分析を用いて解析した。

    【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に基づき、個人が特定されないように情報の取り扱いには十分に配慮し、後方視的に情報を収集して実施した。本研究において利益相反に関する開示事項はない。

    【結果】単変量解析の結果、SMI 低下群ではCPX の実施件数が有意に少なかった(p<0.05)。またSMI 低下群では脂質異常症(p<0.05)と虚血性心疾患(p<0.05)を有した症例が有意に多かった。ロジスティック回帰分析の結果からはSMI 低下に関わる因子としてCPX が実施された件数が少ないことが抽出された(オッズ比:10.7、95%信頼区間

    1.52-75.8、p=0.0172)。

    【結論】CPX の結果から得られるAT レベルでの運動処方ができない場合、RT の負荷量が同一であってもSMI が維持もしくは低下してしまう可能性があることが示唆された。

  • 中山 穂香, 宮下 美奈, 酒井 康成, 山本 周平, 三田 篤義, 副島 雄二, 大野 康成, 堀内 博志
    p. 47-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】肝移植患者の筋力低下や運動耐容能低下は複合的な要素から構成され,術後も改善しにくいことが特徴的である.その一要因にタンパクエネルギー低栄養が考えられており術後の筋力を含めたリハビリテーション(以下リハ) 経過の把握が重要と考える.しかし,これまでに肝移植患者の術後経過の特徴,特に急性期領域でのリハ経過の報告はない.そこで,術後リハ経過の特徴に関して経時的に評価することができた症例を経験したためここに報告する. 【症例紹介】31 歳.男性.生後2 ヶ月で先天性胆道閉鎖症と診断され葛西手術を施行,10 歳で脾臓摘出術を施行.X

    年に食道静脈瘤破裂に対し内視鏡的静脈瘤結紮術施行されたが,その後胆管炎発症,腹水の増悪あり,生体肝移植施行に至った.術後2 日より理学療法介入開始し,筋力トレーニングおよび有酸素運動を中心に,運動強度はborg13

    前後を指標として実施した.握力および膝伸展筋力を随時測定し,血液検査データはカルテより調査した. 【倫理的配慮】対象者にはヘルシンキ宣言に基づき趣旨を説明し,口頭及び書面にて同意を得て実施した.

    【経過】離床は比較的順調に進行し,術後25 日に術前ADL を獲得.術後81 日で自宅退院となる. 一方で筋力回復は遷延しており,初回から術後40 日までの変化量は握力が0kg,膝伸展筋力が-0.9kgf, 術後40 から65 日にかけての変化量は握力が5.5kg,膝伸展筋力は9.6kgf であった.血液検査データについて,アルブミン(以下Alb)は術後40

    日まで2.6 から2.9 を推移し,術後40 日から65 日にかけて3.6 まで改善した.CRP は術後40 日から65 日にかけて徐々に減少し陰転化した.γ-GT,AST,ALT は術後40 日まで減少傾向でありその後大きな変化は見られなかった. 【考察】本症例から肝移植後のリハ経過として肝機能の改善に伴って筋力も回復するという特徴が見られており,その中でもAlb の推移に類似した筋力の変化が認められた.よって,プログラムを立案する際に肝機能指標も考慮するべき可能性がある.

  • 橋本 純平
    p. 48-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【はじめに】大腸がんの多発脊椎転移により,易疲労性と歩行時の左右同様が顕著であった症例に対し,歩行自立と自宅退院を目標に介入した.多発脊椎転移によりコルセット着用となり体幹動作が制限されている中,禁忌姿位を考慮し膝立ち位の運動療法を実施した.実施後の有害事象は無く,歩行能力が改善し自宅退院へ至ったため報告する.

    【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき,対象者に説明し同意を得た.

    【症例】60 代男性,病前ADL 自立.直腸がん(ステージ4),多発脊椎転移(第4・7・8・10 胸椎,第3 腰椎以外).主治医より手術は困難で今後は延命,QOL 向上を目的に化学療法を実施すると本人へ説明.HOPE は家に帰る為に一人で歩けるようになりたい,治療の為に体力が欲しい.

    【経過】入院X 日+12 日理学療法介入,化学療法開始.X+13 日より段階的離床を進めるがX+15~30 日で白血球,血小板,ヘモグロビン低下,眩暈等の自覚症状を認め離床に難渋.X+33 日歩行練習再開.X+37 日T 字杖歩行近位見守りで可能も立脚中期~後期に左右動揺著明.同日に10m 歩行速度,10m 歩行分の加速度左右成分(以下RMS),6 分間歩行距離(以下6MD)を測定.X+39 日より立脚期に着目した膝立ち位の運動療法を追加.

    【初期評価】10m 歩行速度0.23m/s, 最大0.24m/s,RMS7.8m/s2, 最大時6.4 m/s2,6MD は疲労感から25m で中断.

    歩行時に「横に揺れてすぐ疲れる」と主訴有り.

    【方法】全身状態が安定したX+31 日~38 日はストレッチ,四肢体幹運動,起立・歩行動作練習を行い,X+39 日から膝立ち位で左右重心移動,一側下肢踏み出しを実施.

    【最終評価】X+55 日,10m 歩行速度0.51m/s, 最大0.76m/s,RMS2.3m/s2, 最大時1.9 m/s2,6MD150m と歩行能力が改善し,「安定して楽になった」と主訴有り.翌日に自宅退院となった.

    【考察】関節自由度を制限し, 膝立ち位で荷重の反復を行った事により体幹-股関節筋収縮,立脚期の学習に繋がり歩行能力が改善したと考える.

  • 井上 真聡, 本島 直行
    p. 49-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【はじめに】大動脈解離は高血圧が原因として知られているが、発症後対麻痺を呈した患者の具体的な理学療法に関する報告は少ない。今回、大動脈解離術後の対麻痺を発症した1 症例に対し血圧管理の元、積極的な運動療法を行った結果、機能改善に繋がったため報告する。

    【症例紹介】40 代前半、男性、StanfordA 型大動脈解離を発症し、前医で弓部置換術を施行し、術後に対麻痺を認めた。長期的なリハビリテ―ションを目的に回復期病院に転院。

    【経過】介入前の身体機能は、臨床的体幹機能検査 (以下FACT 奥田ら2006)9/20 点、MMT は右下肢2~3level、左下肢は0~1level、体幹2level、平行棒内歩行中等度介助level であった。大動脈解離術後のため血圧管理には十分注意する必要がある(渡辺ら2004)。本症例も、大動脈解離術後の対麻痺患者で収縮期血圧<130mmHg の実施基準とし訓練を行った。介入は前期と後期に分けて実施し、初期では、前述の筋力低下に対し歩行・姿勢に関わる、大殿筋、中殿筋に着目しCKC での訓練を中心に行った。初期の介入後は、MMT は右下肢3level、左下肢2level まで改善した。後期では体幹に着目し、足部を浮かした座位で輪入れ動作を行った。速度を落としたリーチとリターン動作を実施した。後期の介入後は、FACT19/20 点、MMT は右下肢4level、左下肢2~3level。歩行は短下肢装具、片杖を使用して監視level となった。尚、本症例発表は個人情報収集の目的と利用の範囲について説明と同意を得た。

    【考察】本症例に対して実施した段差ステップ、横歩きは遠心性収縮が中心であり、血圧に影響する最大収縮力と活動筋群(白土ら)の大きさを抑えられたと考える。また,輪入れ動作は血圧上昇が少なく筋量と筋力の増加があると報告されているスロートレーニング(Tanimoto ら2006)と類似した訓練であったと考える。これら2 つの訓練内容が、本症例に適切な負荷量であったと推察され,機能の向上に繋がったと示唆される。

  • 清水 直之
    p. 50-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/28
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    【目的】魚沼市の高齢化率は2020 年に36.9%,当院入院患者の平均年齢は80.3 歳に達している.そのため当院リハビリ対象者は大半が様々な疾患を並存している高齢者であり,単一疾患の評価のみでは適切な身体機能面の問題点を表出できないことも多い.そこで疾患ではなく総合的な心身機能面から評価する「身体機能評価」を作成し,各項目とBarthel Index:BI との関連を調べたため報告する.

    【対象】2019 年10 月~2020 年12 月のリハビリテーション処方患者で,立位保持が可能であった男性276 件,女性

    375 件,計651 件から集計した.

    【方法】性差を考慮し男女に分け,年齢,体重,HDS-R,BI,歩行速度,下肢筋力,バランス能力,筋パワー,敏捷性の項目各々を集計しグラフ化した.また各々の相関係数,目的変数をBIにして多変量解析を行った.欠損値はペアワイズ法を用いて除外した.

    【結果】各項目とBI との相関は,男性が歩行速度:0.59,女性が歩行速度:0.58,タンデム立位:0.56 と相関を示し,その他は弱い相関関係であった.多変量解析の結果BIに関連する項目は男女ともに歩行速度,HDS-R の関与が有意に高かった.

    【結論】フレイルや転倒予防対策で筋力向上に関する報告が多いことから,当科でも筋力低下はADL能力低下の重要因子ととらえて介入してきたが,当院の患者層では歩行速度と認知機能が重要因子であった.歩行を構成している機能として片脚立位>立ち上がり・坐位ステップ>筋力であることが今回の調査で示唆された.

    【倫理的配慮】得られたデータは匿名化し,患者のプライバシーに十分配慮した.また開示すべき利益相反状態は

    ない.

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