関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第25回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 96
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右大腿骨顆上骨折に伴い大腿四頭筋を断裂した一症例
*大山 朋彦橋本 貴幸豊田 和典大西 弓恵村野 勇中安 健小林 公子山口 梢秋田 哲瀧原 純矢口 春木岡田 恒夫杉原 勝宣
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抄録
【はじめに】大腿骨顆上骨折の治療では、解剖学的整復と安定した内固定を行い、これにより早期の関節可動域訓練を開始する事が望ましく、AO分類typeA1は比較的良好な結果が期待できるとされている。今回、右大腿骨顆上開放骨折に大腿四頭筋断裂を合併した症例を経験し、関節可動域(以下ROM)改善を得たので報告する。
【症例紹介と経過】30歳代 男性 診断名:右大腿骨顆上開放骨折、大腿四頭筋断裂Gustilo分類II AO分類A1現病歴:H17.7.14清掃車のローラーに右膝を挟まれ受傷。手術所見:膝蓋骨上約7cmの所で大腿直筋全周、外側広筋一部に断裂を認め筋縫合、大腿顆部遠位海綿骨screw3本、近位皮質骨screw6本、プレート固定。整復良好。経過:H17.7.14受傷し同日、洗浄・デブリートメント、受傷筋縫合術施行し閉創。7.20鋼線牽引施行。7.28観血的整復固定術施行。術翌日7.29より理学療法1)Quad setting2)膝蓋骨モビライゼーション実施。受傷後21日目3)膝関節ROM とMCLブレース装着し4)SLR5)筋力強化開始。受傷後23日目屈曲90°伸展-15°、受傷後32日目屈曲120°伸展-10°、受傷後43日目1/4PWB(以下1週ごとに1/2PWB・2/3PWB・3/4PWB・FWB)実施、受傷後50日目屈曲150°伸展-5°獲得。9.10両松葉歩行にて退院、外来リハ1回施行しPT終了。
【関節可動域開始時理学的所見】(H17.8.4)視診・触診:熱感は右膝関節周囲(+) 腫脹は右大腿~膝関節周囲(+)関節可動域:右膝関節屈曲75°伸展-35°疼痛:膝蓋骨上部、大腿後面に軽度痛みの訴えあり
【退院時評価】(H17.9.9)視診・触診:熱感は右膝関節周囲(-) 腫張は右大腿~膝関節周囲(-)関節可動域:右膝関節屈曲150°伸展-5°  筋力:4疼痛:(-)
【考察】理学療法の工夫は、骨折部・筋断裂部のストレスを軽減させながらROMを実施した。操作として1、大腿直筋抑制肢位は大腿直筋を座位にて股関節最大屈曲位とし、更に股関節外転位にする事で大腿筋膜張筋より起始を持つ外側広筋を弛緩させた。断裂部の上を指で固定し断裂部を引き寄せストレスを軽減し再断裂に注意しながら筋に抵抗が無い範囲でROM実施した。また、膝関節伸展自動運動時に筋出力低下がみられた為、4週後より自動介助運動にて段階的に大腿直筋の筋活動量を増加させていった。再断裂に注意しROM改善を図り、結果ROM膝関節屈曲150°獲得したが、筋力低下、膝関節伸展-5°残存した。今後、筋力については回復されると思われるが、伸展制限については歩行時の負担を考慮すると早期に0°まで改善する必要があり、今後の治療に生かしていきたい。
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© 2006 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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