関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第33回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: P-004
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ポスター発表(一般)
大腿骨近位部骨折患者における日常生活自立度(寝たきり度)別のBerg Balance Scaleの特徴
*吉田 啓晃石川 明菜川幡 麻美三小田 健洋中山 恭秀
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抄録
【目的】 大腿骨近位部骨折患者のバランス能力の評価指標として Berg Balance Scale(BBS)を用いることが多いが、活動度 に応じた得点の特徴は明らかではない。本研究の目的は、大 腿骨近位部骨折患者を対象に、日常生活自立度別のBBS合計 点および下位項目の差、下位項目の構成要素を検討すること とした。 【方法】 当院でリハビリテーションを施行した大腿骨近位部骨折患 者106名(頸部82名、転子部24名、女性83名、平均80.2±8.2歳) を対象とし、退院時の寝たきり度とBBSを調査した。日常生 活自立度(寝たきり度)判定基準に基づき、生活自立群(J群)、 準寝たきり群(A群)、寝たきり群(B群およびC群)に分類し、 群間のBBSを比較した。尚、C群は立位保持ができず、評価 に適さない者が多いことから、分析からは除外した。分析は、 BBS合計点および下位項目得点の差の検討にKruskal Wallis 検定(危険率5%)、下位項目の構成要素の検討に因子分析を 行った。本研究は、当大学倫理委員会の承認を受け、ヘルシ ンキ宣言に則り施行した。 【結果】 BBS合計点は、J群49.7±5.1点(33名)、A群31.5±11.2点(38 名)、B群10.7±6.6点(28名)であり、各群に有意差が見られ た。下位項目は、坐位保持以外はJ群-A群-B群の群間に有意 差が見られた。因子分析では、2因子が抽出され、第1因子に は360°回転、リーチ、振り向きなどの10項目(因子寄与率70.6%) と、第2因子は立ち上がり、着座などの4項目(9.9%)が抽出 された。 【考察】 大腿骨近位部骨折患者における日常生活自立度別のBBSの 得点分布が明らかとなった。下位項目をみると、第1因子は 立位保持を前提とし、静止保持や重心移動を伴い患肢支持性 を必要とする動作であった。第2因子は日常行う基本動作で あり、下肢の粗大筋力を表す項目と解釈された。得点分布か ら見ると、第1因子はJ群とA群、第2因子はA群とB群に差が 生じやすい項目であり、屋内外の歩行自立度を判断する項目 となりうると考えられた。
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© 2014 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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