関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-061 異なる筋収縮形態における機械的負荷がEnthesis 構造に及ぼす影響について
小曽根 海知国分 貴徳岡 優一郎桑原 希望加納 拓馬黒尾 元基金村 尚彦
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キーワード: Enthesis, 遠心性収縮, 運動
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p. 161

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抄録

【序文】

腱骨付着部における障害は成長期におけるスポーツ障害として、数多く目にする疾患である。この腱骨付着部はEnthesis と呼ばれ特異的4 層構造を呈し、変形や炎症の好発部位として報告されている。その発症起因として機械的負荷が関連していると報告されているが、筋収縮形態の違いが同部構造にどの様な影響を及ぼすかは報告されていない。本研究の目的は、収縮形態の違いがEnthesis 構造にどの様な影響を及ぼすのか、組織学的解析によりその特異性を把握する為の一部となるデータを提示することとした。

【方法】

ICR マウス30 匹(4 週齢) を対象とし、平地走行(Level) 群、下り坂走行(Down) 群、非運動群、各10 匹ずつ分類。対象は右棘上筋腱付着部とした。介入は、小動物用トレッドミルを使用し15m/min にて60 分の走行を週5 日4 週間実施した。先行研究に基づきトレッドル傾斜角度はLevel 群0 度、Down 群マイナス16 度と設定し、走行角度を変えることで収縮形態を変え、負荷量に変化を与えた。組織学的解析として、介入後採取した組織を固定・脱灰後パラフィン包埋し5 μm にて薄切した。トルイジンブルー染色後、各群1サンプルずつ巨視的観察を行い、画像解析ソフト(WIN-ROOF) を用いて、非石灰化線維軟骨層

(UFC) の面積比率を線維軟骨層(FC) 一部の面積を元に算出した。本研究は大学動物実験倫理委員会の承認を得て実施した( 承認番号28-7)。

【結果】

組織学的解析結果として、Level 群のUFC は36.02%、Down 群のUFC は63.67%、非運動群のUFC は39.68% であった。

【結語】

結果よりDown 群のUFC 比率が他群よりも拡大していた。先行研究において求心性収縮よりも遠心性収縮(EC) が腱組織へ負荷を強く生じさせる事が報告されている。よって本研究結果と関連付けると、Enthesis 構造における変形にはEC 優位の運動に付随する機械的負荷が関与し、特に同部UFC に影響を及ぼすことで変形を生じさせる可能性を示唆する結果となった。

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© 2017 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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