関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P1-3 変形性膝関節症動物モデル間での軟骨下骨骨梁構造変化の違い
荒川 航平高畠 啓榎本 沙彩村田 健児金村 尚彦国分 貴徳
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p. 128-

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抄録

【目的】変形性膝関節症(膝OA)の動物モデルとして膝前十字靭帯断裂(ACL-T)モデルと内側半月板不安定性

(DMM)モデルがある。両モデルで軟骨変性の進行速度の違いは明らかになっているが、軟骨下骨の変化に着目した研究はみられない近年、膝OA 進行を早期から予防する指標として注目を集めている軟骨下骨の変化の違いに着目した研究はみられない。よって、本研究の目的は2 つのモデルの軟骨下骨骨梁構造変化の違いを明らかにすることとした。

【方法】ICR 系雄性マウス30 匹を対象としACL-T 群とDMM 群、Sham 群の計3 群に分類した(各群n=10)。4・6 週時点で膝関節を採取し、μCT にて骨梁構造の骨梁幅(Tb.Th)、骨梁数(Tb.N)、骨梁間隔(Tb.Sp)を解析した。その後、Safranin-O Fast Green 染色を行い、軟骨変性をOARSI スコアリング法にて解析した。

【結果】軟骨変性のスコアリングの結果、4・6 週時点ともに各群間でスコアに有意差はみられなかった。また,骨梁構造解析結果について,Tb.Th は4 週時点においてACL-T 群がSham 群と比較して低値を示し(p<0.05)、6 週時点においてDMM 群がSham 群、ACL-T 群と比較して高値を示した(p<0.05)。

【考察】3 群間での軟骨変性の重症度に有意差はみられなかったが、骨梁構造変化はACL-T 群、DMM 群で異なる特徴を示した.ACL-T モデルはDMM モデルと比較して関節不安定性が大きいこと(Adebayo et al. 2017)、DMM モデルは早期に半月板変性が生じることが報告されている(Kwok et al.2016)。よって,ACL-T 群のTb.Th の減少には関節不安定性が関与し,DMM 群のTb.Th 増大には半月板変性が関与することを示唆し,モデル間で膝OA 発症・進行プロセスに違いがあることが推察された。

【結論】ACL-T・DMM モデル間で関節軟骨変性に差が生じるより早期の段階で軟骨下骨の骨梁構造変化に異なる変化が生じることを示した。

【倫理的配慮】本研究は埼玉県立大学動物実験倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号2020-1)。

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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