関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P19-5 COVID-19 流行下において家族との対面が制限された中での退院支援について:症例報告
遠藤 永
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p. 217-

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抄録

【目的】 厚生労働省は、チーム医療のあり方としてリハビリテーションにおける家族参加の重要性を報告している。

本症例の家族は介護に対し不安を感じると発言があり、不安解消の取り組みとして家族との情報共有は重要だと考える。当院では、COVID-19 流行により面会を制限され、情報共有の機会が減少した。今回、オンライン面会や電話、一度の対面で情報共有を行い家族の介護負担感が改善されたため報告する。

【方法】 対象は回復期病棟に大腿骨転子部骨折で入院された90 歳代の女性である。入院時は全ての日常生活動作に介助を要した。初回の電話では移動と排泄の介助、仕事の継続が可能か不安との発言があった。情報共有と収集のため10 分程の電話4 回と、問題の移動と排泄に関して力をいれてアプローチを行った。また本人同行のもと家屋調査を行った。介助指導内容を書面にまとめたものを配布し、実際に動作を見て頂いた上で介助指導と福祉用具の選定を行った。

【倫理的配慮】 本研究は症例とその家族に対し、ヘルシンキ宣言に基づいた研究の主旨を口頭、書面にて説明を行い同意を得て行った。

【結果】家族の仕事内容を変更せずに自宅へ退院した。家屋調査時には「想像以上に歩けていて驚いた。パッドの交換ならできそう。」と発言があり、徐々に不安が軽減された様子であった。

【考察】 介護者の心理的負担を減らすことは重要だと考える。先行研究では、訪問理学療法士による1 回5 分の家族指導が介護負担感を減らすという報告がある。今回、家屋調査の他に電話での情報共有を行ったことで、退院の準備と心構えが行いやすかったのではないかと考える。

【結論】 介護負担感の軽減には動作能力の向上の他に、家族指導や見学を行うことが関与している可能性がある。

新型コロナウイルス流行下での退院支援方法の見直し、またオンライン面会等を駆使して介護者の負担軽減を目指す必要があると考える。

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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