関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O4-2 スウェイバック姿勢を呈する腰部脊柱管狭窄症の歩行能力
石津 克人中山 裕子溝内 龍樹
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p. 27-

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抄録

【目的】腰部脊柱管狭窄症(以下LCS)の一般的な矢状面アライメントは,腰椎前弯減少,骨盤後傾,体幹前傾を呈するが,稀にスウェイバック(以下SB)姿勢も認める.われわれは,LCSにおいてSagittal vertical axis(以下SVA)が95mm

以上を呈する体幹前傾姿勢は,歩行能力が有意に低下することを報告した(第28 回日本腰痛学会).しかし,SB 姿勢については検討しておらず報告もみられない.本研究の目的は,SB 姿勢を呈したLCS における歩行能力と疼痛について体幹前傾例と比較検討することである.

【方法】対象は,2015 年10 月から2019 年12 月に術前評価を実施し,歩行が自立していたLCS151 例(男性85 例,女性66 例,平均71.0 歳)とした.検討項目は10m 最大歩行時間(以下10m 歩行),Timed Up&Go Test(以下TUG),腰痛・下肢痛VAS とした.尚,本研究におけるSB 姿勢はSVA:0mm 未満と定義した.次に,対象をSVA<0mm であるSB 群30 例,0≦SVA<40mm であるアライメント良好群32 例,40≦SVA<95mm である不良群49 例,95mm 以上である重度不良群40 例の4 群に分類し,多重比較検定を実施した(有意水準5%).

【倫理的配慮】本研究は当院の倫理規定に則り行った.

【結果】10m 歩行(秒)はSB 群7.2,良好群6.9,不良群7.4,重度不良群10.2,TUG(秒)は11.2,10.3,11.2,14.6 であり共にSB 群と重度不良群,良好群と重度不良群,不良群と重度不良群で有意差を認めた.腰痛VAS(mm)は

31.1,34.4,34.2,43.8,下肢痛VAS は51.8,53.0,54.5,50.1 であり各群間に有意差を認めなかった.

【結論】スウェイバック姿勢群の歩行能力は,良好群および不良群と同様の傾向を示した.疼痛は有意差がなく,スウェイバックは体幹前傾と共にLCS の症状を回避する姿勢戦略であることが考えられた.

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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